税制メリットはどのくらい? 普通口座と個人型DCをシミュレーション

確定拠出年金の税制メリットは、①掛金の拠出時、②運用時、③運用終了時の3つの局面で得ることができる。以下では、普通口座と確定拠出年金で運用する場合、どの程度違いがでるのかシミュレーションしていこう。

ここでは、
・ 被保険者:勤め先に確定拠出年金制度が無い会社員(個人型DC)
・ 課税所得:500万円
・ 掛金  :2万円/月額
・ 運用期間:30年間
・ 想定運用利回り:年複利3%
・ 受け取り時は一時金として受け取る(年金形式で受け取ることもできる)
の条件を想定する。

一つめの「掛金の拠出時」の税制メリットに関して、個人型DCの場合は、掛金が全額所得控除されるため、「2万円×12ヵ月=24万円」が所得から控除される。課税所得が500万円の場合、所得税率は20%、住民税は10%のため、単純計算で「24万円×30%=7万2,000円」が非課税となる。30年間課税所得が変わらないと仮定すると、「7万2,000円×30年=216万円」の差がつくことになる。

二つめの「運用時」の税制メリットに関して、普通口座の場合は、運用益に20.315%の税金がかかるため、それを考慮した場合、30年間の運用益は「328万8,660円」になる。一方の確定拠出年金の場合は、運用益が非課税となるため「440万3,376円」となり、「111万4,716円」も違ってくる。

三つめの「運用終了時」の税制メリットに関して、年金を一時金として受け取るなら「退職所得控除」、年金として受け取るなら公的年金のように「公的年金等控除」が使える。ここでは、一時金で受け取る場合でみていこう。また、退職金と個人型DCを同年に受け取る場合は合算し、退職所得控除を受けることが出来る(ここでは計算の便宜上、退職金は0円とする)。

退職所得控除の計算式は勤続年数(拠出年数)によって変わるが、20年以上の場合「800万円+70万円×(勤続年数(拠出年数)−20年)」で求めることができる。上記の計算式に当てはめると、「800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円」が控除されることになる。

上記の条件で見た時に、個人型DCと普通口座での運用とでは単純計算でも300万円以上の違いが生じる(メリット1・2)。また、今回のケースでは、退職所得控除として1,500万円が控除されるため、受取金にも税金が掛からないことになる。

このように、確定拠出年金は運用の自由度が高く、税制メリットの大きい制度といえるだろう。リスクをとりたくない方は、預金で運用することもできる。どのような運用商品があるのか調べ、確定拠出年金を老後準備の選択肢のひとつとして考えてみてはいかがだろうか。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ