税の軽減効果について

個人型DCのメリットでも紹介したが、①掛金を支払う段階、②運用段階、③年金の受け取り段階の3段階で税の軽減効果がある。具体的には、①掛金全額が所得控除の対象になっており、②運用益についても非課税で、③年金の受け取りでは一時金でもらう場合には「退職所得控除」、年金でもらう場合には「公的年金等控除」の対象となっている。

「月2万円積み立てて3万6,000円が戻ってくる」のはどうして?

掛金が全額所得控除の対象なので、掛金として払った分は全額所得から差し引くことができる。「月2万円積み立てて3万6,000円が戻ってくる」というのはどういうことなのかを説明する前に、知っておきたい計算式をお伝えしよう。

◯ 掛金の拠出による税メリットの計算法
「税メリット=掛金合計額×(所得税率 XX % + 住民税率 10 %)」
※所得税率は、課税所得によって変わる

掛金2万円/月、課税所得195万円(所得税率5%)を前提に計算してみよう。毎月2万円の積み立てをすると、掛金合計額は年間24万円になる。所得税の最低税率である5%と住民税10%を合わせると15%になるので、24万円×15%=3万6,000円が税の軽減額となるということだ。所得税は、所得の金額に応じて税率が変わる累進課税制度を採用しているので、所得が高くなるほど税率が高くなる。自分の税率がいくらになるかは、国税庁HPから確認いただきたい。

国税庁「 No.2260 所得税の税率

税金は課税所得(所得から所得控除等を差し引いた金額)に税率を掛けて算出するので、税率が高い人ほど税の軽減効果が高い。月2万円を積み立てた場合、最低税率では3万6000円の軽減効果であったが、たとえば課税所得が1,000万円のような高額所得者の場合、所得税が33%、住民税が10%なので、24万円×43%=10万3,200円も税の軽減効果がある。

税率もそうだが、掛金が多くなればそれだけ税の軽減効果も増えるので、余裕があれば掛金を多くすると効果が大きくなるだろう。ただ、個人型の掛金限度額は、自営業者等が6万8,000円、その他が2万3,000円になっているのでその点は注意が必要だ。

個人型DCに注意点はないの?

確定拠出年金は運用の自由度が高く、掛金の全額所得控除だけでもかなりのメリットがある。ただ、元本が保証されているわけではないので、選択する金融商品によっては大きく資産を減らしてしまうこともある。投資信託などは種類も多くある程度金融の知識がないとリスクをしっかり見極めることは難しい。運用で失敗しないか心配な人は、預金で運用するということもできるので、自分に合った金融商品は何かをしっかり考えて選択することが重要になる。

以上のとおり、今回は個人型DCの税の軽減効果における3つのメリットのうち所得控除について特に詳しく紹介した。さまざまなメリットがある中、所得控除だけを見ても十分魅力的な商品なので、自分ならいくら掛けていくら税金が減るのか一度計算してみてはいかがだろうか。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ