「億り人(おくりびと)」――。 そう呼ばれる資産1億円超えを達成した投資家は、多くの個人投資家にとって憧れの的だろう。常に勝ち続けられるほど甘くない世界でどのようにして億り人なれたのか、投資手法は普段どのように編み出しているのか、損失に直面した時のメンタルコントロールはどうしているのか……。
IPO投資法で資産2億円超を築いたJACKさんが、投資仲間としても親交がある専業投資家の夕凪さんから投資哲学を引き出していく。第一弾は「夕凪さんのお金と時間の使い方」や「投資資金が少ない人が持つべき発想」について。(聞き手:JACKさん、編集:押田裕太)※本インタビューは8月29日に実施されました
目次
兼業から専業になっての変化
専業のプレッシャー
――まずは兼業投資家から専業投資家になってからの変化を教えてください。兼業では儲からないときに相場を休んでも安定した給料などがありますけど、専業で稼げないと余裕資金を食いつぶすことになりますよね。プレッシャーはありませんか?
投資スタイルは変わっていませんが、相場に張り付くことができるので売買のタイミングは早くなりました。兼業時代には1日の間に購入して損切りすることはできませんでしたが、今は結構あります。入るときには1カ月〜2カ月持つつもりで買うのですが、自分で値動きが気に入らないとその日のうちに損切りします。それが投資成績に良い影響を与えているのかどうかは分かりませんが、株式相場を見るのが好きなので、張り付いています。
会社を辞めてから幸運なことに1年もたたないうちにアベノミクスがやってきたので、あまりプレッシャーを感じずに済みました。ただ、自分の投資手法がある日突然通用しなくなったらどうしよう、その結果お金が全部なくなったらどうやって生活していこうというのは専業投資家を意識した時点からずっと考えていました。
不動産投資よりも株式投資を選んだ理由
――一応、不動産投資も考えたと言っていましたよね?
そうそう。安定的な収入が魅力だし、会社員という信用枠が使えるうちにと。自分なりに不動産投資について研究しましたが、私の場合はリスク分を踏まえても資金効率や手間の点で株のほうが圧倒的に優位でした。それにもともと相場好きでしたので、不動産の売買や管理を極めようとするよりも、相場の方を極めようとする方が好きになれると思ったのです。まあ最終的には単純に好き嫌いの問題だけだったような気がしますけどね。
専業投資家になってメンタル面で変わったことは、仕事で使っていた分を、全部自分の好きな投資に振り向けられるので精神的にかなり楽になりました。朝通勤しなくていい、遅刻しても怒られない、上司からの評価を気にしなくていい、日曜日の夜でも楽しく過ごせるというのは大きな変化です。もっと早く会社を辞めたら良かったなと思った程です(笑)。
専業になって保有するようになった銘柄
――本業で働いている分、リスクは取りやすいですよね。
もうひとつ、兼業のときには本当に値動きがゆっくり目の銘柄しか保有していませんでした。専業になったら、少し値幅のある銘柄も遊びで保有しています。専業を決めたときには既に株主優待狙いやインデックスリバランスなど着実に利益を狙える投資手法が固まりつつありましたので、その中で値幅がある銘柄を狙えるようになりました。でも当初は本当にそれで食べていけるか分かりませんでしたから、アフィリエイト等もすごく勉強しました。偶然なのですが与沢翼さんがゲストで登場したセミナーに受講生として行ったことがあります。
たくさんの収入の道を勉強した結果、自分の得意分野とも重なって、やるならアフィリエイトだなと思っていました。もし専業で失敗してもアフィリエイトで生きていけるかなと。
【億り人の投資哲学 JACKが聞く「勝利の法則」】
・逆張り投資はお金持ちの戦略? お金持ちになるには順張り投資(夕凪さん)
夕凪さんのお金や時間の使い方
お金の使い方は?
――専業になって銘柄への資金配分がシビアになった、そんなことは?
確かに資金の投じ方は昔を思うと滅茶苦茶だったなと思います。過去に1回か2回くらい、1銘柄に100パーセント資金を振り分けたことがありますが、今はそんなことができなくなりました(笑)リスク分散しています。お金の使い方は普通で、稼いだ額以上には使わない、ただそれだけです。
優先順位として自分の健康です。稼ぎ方はJACKさんと力点が違っています。道に落ちている100円を拾うよりももっと大きなモノを取りにいきたいので、そこにあまり時間を使いたくない。そこがJACKさんと大きく違うところでしょうかね。