IPO投資法で資産2億円超を築いたJACKさんが、投資仲間としても親交がある専業投資家の夕凪さんから投資哲学を引き出していく。第二弾は「お金持ちになるには順張り投資」について。(聞き手:JACKさん、編集:押田裕太)※本インタビューは8月29日に実施されました
目次
夕凪さんの投資スタイル「高値ブレイクアウト」
地合いによって自分の投資セットは変化させる
――普段のトレードで意識していることは?
投資を長くやっていると、投資手法が効くとき、効かないときがありますよね。それは明らかに地合いが関係しているとの認識でいます。投資をやる以前に地合いの判断が必要です。地合いの判定があって、それから投資手法を考えます。地合いによって自分の投資セットを変えていくというわけです。専門用語で言うと、レジーム・スイッチと言われています。
あとは、機関投資家が入っている銘柄は避けます。彼らの都合で株価が振り回されやすいので。したがって時価総額の大きい銘柄は避けることが多いです。その文脈で考えると、個人投資家が好きな株主優待銘柄は良いと思います。
PERが異常に高くても個人投資家は平気で買えますが、説明責任のある機関投資家は買えませんから。そうなると個人投資家の心理状態や都合だけを考慮すればいいので株価の動きがわかりやすくなります。株価に対してノイズが入りにくくなるのです。自分にとっては、高PERは歓迎ですね。
高値ブレイクアウト、+αで意識していること
――夕凪さんの投資スタイルは順張りの高値ブレイクアウトですよね。詳しく教えてください。高値ブレイクアウト、高値を超えたということは損をした人がいないわけですから、上値をつけていくだろうと。
基本的にその通りです。単純に高値ブレイクアウトだけでなくプラスアルファの何か。たとえばその2カ月後に株主優待を控えているなどの材料を重視しています。プラスアルファは自社株買いかもしれません。ただ、ブレイクアウトだけでは買う理由として弱いので、もうひとつ、必ず先にこれが待っている材料を見つけます。
今年の相場環境は良い?悪い?
――直近の材料だと例えば?
直近だとノーベル賞受賞者の発表が10月(取材時は8月末)に迫っていますよね。その理由があって某バイオ関連株はブレイクアウトしているのではないかと思っています。年初来ブレイクアウトとプラス何かの材料のほうが株価の多少の値動きに動じることなく保有していられます。昔は統計上有利な日時だけ意識して売買していたのですが、年初来高値を目安に売買した方が効率が良いことが分かってきたんです。
――今年は気持ち相場が弱くないですか?
高値ブレイクアウト投資にも「良い環境」があります。年初来高値の銘柄数が1日で300〜400銘柄くらい出ると、凄くやりやすいです。現状は30〜40銘柄くらいしかありませんので。今は高値ブレイクとは言いつつも叩き落される可能性が高い相場です。ですから今は高値ブレイクをしていてもあまり資金を入れません。
――高値更新の銘柄数はどこかで見れるんでしたっけ?
『Yahoo!ファイナンス』で見れますよ。あとリアルタイムだと、カブドットコム証券の『kabuステーション』で出てきます。有料になりますがQuickコーポレートアラートも年初来高値に近づいている銘柄を表示したりできるので便利です。そういうのを見ながら、株主優待などの何らかのイベントが近ければ買います。そうでなければスルーします。
もちろん前々からマークしていて、それがブレイクアウトしそうだから買うこともあります。自信のある銘柄はそうします。ただ、銘柄を絞り込むためのフィルターとして年初来高値を見てから買うか買わないかを考えたほうが時間効率が良いです。