3月2日、海運大手の日本郵船 <9101> が一時1506円まで売られ、2012年11月以来8年ぶりの安値を記録した。背景には新型コロナウイルスの感染拡大で世界的な貿易縮小への懸念が指摘されている。ただ、後段で詳述するように先行指標となるバルチック海運指数は2019年9月の2518をピークに下降トレンドを形成、2020年2月10日の411まで84%も下落するなど新型コロナウイルスが表面化する以前から変調が見られていた。

投資初心者の中には「バルチック海運指数」を初めて聞いた人もいるかもしれないが、同指数は株式市場を分析するうえで重要な手掛かりの一つでもある。今回は日本郵船を始めとする海運株とともにバルチック海運指数についても解説したい。

海運大手が軒並み下落、日本郵船は8年ぶりの安値

(画像= Nightman1965 / shutterstock, ZUU online)

前述の通り、日本郵船の株価は2012年11月以来8年ぶりの安値を記録した。ちなみに、2012年12月は第2次安倍内閣が誕生、いわゆる「アベノミクス」が始まった時期であり、日本郵船の株価はアベノミクス以降の上昇をすべて吹き飛ばしてしまったことになる。

下落しているのは日本郵船だけではない。3月4日には海運第2位の商船三井 <9104> が一時2153円と2016年8月以来4年ぶりの安値を付けたほか、同3位の川崎汽船 <9107> も一時1187円と年初来の安値を更新している。また、TOPIX業種別株価指数の「海運業」も2012年12月以来の安値を記録している。

バルチック海運指数とは何か?

冒頭で述べた通り、海運大手が軒並み下落している背景には新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な貿易縮小への懸念が指摘されている。もっとも、先行指標となるバルチック海運指数は2019年9月をピークに下降トレンドを形成するなど、新型コロナウイルスが表面化する以前から変調が見られていた。

バルチック海運指数(以下、BDI)はロンドンのバルチック海運取引所の外航不定期船の運賃指数である。鉄鉱石や石炭、穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を海運会社やブローカーからヒアリングし、指数化したものだ。BDIは世界貿易のみならず、世界経済や株価の先行指標としても注目されている。