カメラの名門企業ニコン <7731> が苦境に直面している。カメラなど主力の映像事業の収益悪化が続いており、決算発表翌日の2月12日に株価は一時1240円と11年ぶりの安値を記録した。スマートフォンのカメラ機能が年々進化する一方で、デジタルカメラ(デジカメ)市場は直近10年間で約10分の1に縮小、消費者の「カメラ離れ」が逆風になっていると見られる。ちなみに、デジカメの売上がピークを迎えた2010年頃の売れ筋の画像数は800万〜1200万画素、これに対し昨年9月発売のiPhone11の画素数は1200万画素と当時のデジカメと引けを取らないスペックとなっている。

スマートフォンの普及に伴い、個人がカメラを持つ時代は終わりを迎えようとしているのだろうか? 今回は苦境に直面するニコンを取り上げたい。

ニコン、映像事業の営業利益94.5%減

ニコン,株価
(画像=StefanoGarau / shutterstock, ZUU online)

2月6日、ニコンは2020年3月期第3四半期まで(4〜12月)の決算を発表した。売上は前年同期比15.5%減の4444億円、本業の利益を示す営業利益は59.0%減の215億円と大幅な減収減益となった。ニコンは通期見通しについて、従来予想の売上12.5%減の6200億円、営業利益75.8%減の200億円を据え置いている。

注目されるのは主力の映像事業(コンデジ、レンズ交換式カメラ、交換レンズ)だ。同事業の第3四半期までの実績は売上が21.7%減の1890億円、営業利益は94.5%減の12億円に落ち込んでいる。通期の売上は20.6%減の2350億円が見込まれるほか、営業利益は50億円の構造改革費用を計上することもあって前期の220億円の黒字から100億円の赤字に転じるとの見立てである。ニコンの屋台骨である映像事業が赤字に転じると、セグメントが現在の区分になった1999年3月期以降で初めてのこととなる。

ニコンの株価は上記決算発表が重石となり、翌12日には2009年4月以来11年ぶりの安値となる1240円を記録、さらに2月17日には一時1177円の安値を付けている。

世界のデジカメ出荷台数は3年連続の2割減へ