昨年12月21日、住友林業 <1911> の株価が一時2285円まで買われ、26年ぶりの高値を記録した。同3月17日の安値1095円から9カ月ほどで約2倍の上昇である。住友林業といえば、未だに内需系の住宅メーカーのイメージを抱いている人も多いかもしれないが、近年は積極的なM&A戦略で米国を中心に海外事業を拡大、後段で述べる通り、海外住宅・不動産部門が売上・経常利益で国内を上回るグローバル企業に変貌している。

今回は住友林業の最新動向をお届けしよう。

グローバル企業に変貌、海外が業績をけん引

(画像=tomozone / pixta, ZUU online)

住友林業の2020年第2四半期累計(4〜9月)決算は、売上が前年同期比0.7%減の5259億円、本業の利益を示す営業利益は7.5%増の268億円だった。新型コロナ禍で国内の請負事業が減少したが、米国における販売戸数の増加やのれん償却額の減少で海外住宅・不動産事業が好調だった。

同業績をセグメント別にみると、売上は海外住宅・不動産部門が前期に比べ22.9%増の2168億円、国内住宅・建築部門は同10.7%減の2086億円で海外売上が国内を上回っている。ちなみに、海外住宅・不動産部門が売上全体に占める割合は41%だ。一方の経常利益は海外住宅・不動産部門が前期に比べ125.8%増の246億円、国内住宅・建築部門は同71.6%減の35億円で、海外が経常利益全体の86%を占めている。さらに、注目されるのが資源環境部門だ。資源環境部門は木材のチップを活用した木質バイオマス発電事業などで、再生可能エネルギーとして期待されている分野でもある。同部門の売上は14.1%増の103億円ながら、10%増の19億円の経常利益をだしている。

新型コロナ禍でも米住宅需要は堅調、日本も底打ちの気配

新型コロナ禍にもかかわらず、米国の住宅需要は堅調だ。米商務省が12月17日に発表した11月の米住宅着工件数(季節調整済)は、年率換算で前月比1.2%増の154万7000戸、住宅着工の先行指標である許可件数も同6.2%増の163万9000戸でともに市場予想(住宅着工件数153万戸、許可件数155万戸)を上回った。米国では新型コロナ禍で労働力の21.8%が在宅で勤務する中、都心部から郊外などへの引っ越しが増加しているほか、住宅ローン金利が過去最低水準にあることも追い風となっているようだ。