2006年から本格的に投資を始め、すさまじい勢いで資産を拡大してきたテスタさん。株で稼いだ収益の総額は実に35億円にのぼる。しかし、いまだ投資の手を止めないのには理由があった。テスタさんがここまで積み重ねてきた思考の数々から2020年の注目テーマに至るまで、赤裸々に語ってもらった。

テスタさんPROFILE
2005年秋、フリーターをしながら資金を元手に株式投資をスタート。2019年11月までに35億円を稼ぎ出した、すご腕トレーダー。メインはデイトレードなど短期投資だったが、2017年ごろより米国株や高配当株などを中心とした中長期投資も 始めるなど、投資に対する柔軟な思考、スタイルが強み。最近では中長期目的の銘 柄のパフォーマンスが短期投資を上回ることもあるという。

ここ数年で中長期投資に軸足。公募増資やIPOもチェック

株で1億円をつくった“億り人”トレーダーたちの素顔
(写真=末松正義)

――2017年から8億円台、7億円台といったように、年間に達成した収益が大幅に拡大していますね。

テスタ: 僕にとって2017年は大きな変化があったタイミングでした。その年から中長期スタンスの投資も始め、次第にそちらがメインになってきています。株式投資を始めたのは2005年からですが、最初のうちはさまざまな手法を試してみました。そのうち、2〜3ティックの株価変動で利益を確定させるスキャルピングが自分に合っていることに気づいたんです。それ以降、着実に利益が積み上がるようになりました。

中長期的には株価は業績に連動するとしても、時間軸が短いと必ずしもそうではなく、需給関係が及ぼす影響のほうが大きくなります。理由はともかく、投資家が殺到すれば株価はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に関係なく動く。これまではそういった銘柄をスキャルピングやデイトレードで売買してきました。

2017年から中長期のトレードにシフトし始めたのは、デイトレのような売買に投入できる資金の規模を超えてきたからです。2013年に信用取引の制度改正が行われ、ポジションを決済するとその新規建て玉(ぎょく)に対する必要保証金が解放され、直ちに建て玉の可能額が回復するようになりました。1日に同じ保証金で何度も何度も繰り返し取引を行えるようになって、資金効率が格段に向上したんです。その結果、前年までとは1ケタ違う5億円超の年間収益を達成できました。

ただ、スキャルピングで狙うような中小型の銘柄に大きな資金を投入すると、自分が需給そのものに大きく影響を及ぼしかねません。だから、狙える銘柄が限られるようになったんです。

実際、2014年ごろから勝ち負けが少しバラつくようになりました。そこで短期投資だけではなく、公募増資やIPO(新規株式公開)、高配当株などにも目を向けるようにしたんです。その流れで、2017年から中長期スタンスの投資も本格的に始めました。

大事なのは購入時の前提条件。中期狙いでも株価が上がれば利確

――中長期ではどのような銘柄に注目していますか?ゲーム株で大きな利益を出しているイメージがあります。

テスタ: 確かにゲーム株を売買することは多かったのですが、どちらかといえば、それらは短期売買が中心。目先で盛り上がっているので触っていたという感覚です。2019年9月には、『ドラクエウォーク』のヒットで注目されたコロプラで想定以上の利益を出すことができました。大きく勝つためには相応の値幅が求められるので、通常は時間軸が長めになります。だけど、コロプラは買った直後から無限と思えるほどの上昇を遂げました。9月末まで保有していたら、余裕で年間収益10億円を達成できたでしょうね。

中長期スタンスで狙う銘柄については、個別に着眼点が異なってきます。「ヒットしそうな商品が発売予定だから業績も伸びるだろう」とか、「これからこういう時代が訪れるから、この分野が脚光を浴びるはずだ」といったように、自分なりの予測を立てたうえで買います。もちろん、決算を見て次はもっと数字が伸びると見込んで買うケースもありますね。