7月8日、大手総合商社の伊藤忠商事 <8001> はファミリーマート <8028> を完全子会社化すると発表した。ファミリーマートは完全子会社化に伴い上場廃止となる。伊藤忠商事は1998年に初めてファミリーマート株を取得、2018年には約1200億円のTOB(株式公開買付け)で出資比率を50.1%に引き上げ子会社化していた。
今回のTOB価格は2300円で、買付期間は7月9日から8月24日まで、買付予定株数は約5011万株から約2億5255万株である。ちなみに、7月8日のファミリーマート株の終値は1754円で、TOB価格はこれに対して約31%のプレミアムだった。買付予定株数は発行済み株式数の60%を下限、100%を上限に設定している。仮に100%買付けた場合の総額は約5800億円となる計算だ。
発表翌日(9日)のファミリーマート株はストップ高の2154円を記録、さらに7月16日にはTOB価格を大きく上回る2473円まで買われる場面も観測されている。
なぜ、TOB価格を上回る水準でも買われるのか?
ここで一点、素朴な疑問が湧いてくる。ファミリーマートのTOB価格(2300円)を上回る高値で買っている投資家は何を狙っているのだろうか。まさか、損切りでTOBに応募するつもりなのだろうか? それともTOBに応じず、上場廃止を前にさらなる高値で売り抜ける自信があるのだろうか?
この疑問を解く手がかりがファミリーマートのTOBに関する開示にある。7月8日、ファミリーマートは『親会社である伊藤忠商事株式会社の子会社であるリテールインベストメントカンパニー合同会社による当社株券等に対する公開買付けに係る意見表明に関するお知らせ』をリリースしている。その中で下記の記述がある。