NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度です。お得な制度なため、ぜひ口座を開設してNISAをスタートしたいものです。ただしNISA口座は1人1つしか持てないため、慎重に証券会社を選ぶ必要があります。

証券会社は、大きく分けると「対面型の証券会社」「ネット証券会社」の2つ。対面型の証券会社よりもネット証券がいいでしょう。そこで今回は、NISA口座におすすめのネット証券をご紹介します。

ココをチェック!NISA口座を選ぶときの基準

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(画像=polkadot /stock.adobe.com)

ネット証券の中には、NISA口座での買付が無料であったり選択できる商品が多かったりする証券会社もあります。そのため対面型の証券会社よりもメリットが多い傾向です。

そこでここでは、「NISA口座をネット証券で開設するときに重視したいチェックポイント」を3つ紹介します。

NISA口座で効率よく資産運用をするために、証券会社ごとの手数料や取扱商品をしっかりと比較しましょう。

手数料をチェック

証券会社によっては、NISA口座での取引手数料プランを用意しているところもあります。ただし「手数料無料」とうたっていても、期限や条件がある場合もあります。本当に無料なのか、よく確認することが重要です。

また、投資には取引手数料以外にもかかる費用が多くあります。完全に無料で運用できるわけではないことを承知しておきましょう。

取扱商品をチェック

通常の証券口座で取り引きできる商品のすべてをNISA口座で取り引きできるとは限りません。

特に外国株式やIPO(新規公開株式)などは、証券会社ごとに扱いが異なります。目当ての投資商品がある場合は、ラインナップや取り扱い状況の確認が必要です。

サポート体制や独自サービスをチェック

ネット証券を利用する際の情報収集や分析は、自分で行わなければなりません。またそれらをもとに「買うか否か」の判断を行うのも自分自身です。

そのため「情報ツールやサポート体制が整っているかどうか」についてもネット証券を選ぶ際に重要なポイントです。

NISA口座におすすめのネット証券会社をピックアップ!

おすすめのネット証券会社を8社紹介します。特に「NISAについて」の情報をピックアップしますので「これからNISAを始めたい」という方は要チェックです!

SBI証券

【SBI証券 NISA口座のおすすめポイント】
・充実のNISA対象商品
・IPO取り扱い数は業界トップ、かつNISA口座でも運用可

商品ラインナップが豊富なことでも人気のSBI証券ですが、NISA口座の対象商品も充実しています。

国内株式はもちろん、9ヵ国もの外国株式や2,570本もの投資信託(2020年10月)など取扱商品のほとんどをNISA口座でも取り引きできます。また取り扱い数業界最多のIPO(新規公開株式)もNISA口座で運用可能です。

利益が非課税となるNISA 口座で商品の選択肢が多いことは、大きな魅力いえるでしょう。

<SBI証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF(上場投資信託)
・ETN(上場投資証券)
・J-REIT(不動産投資信託)
外国株式 米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、
インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア
投資信託 2,570本
(2020年10月7日現在)
IPO(新規公開株式) 85社
(うち主幹事15社)
※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料 無料
外国株式取引手数料 海外ETF買付:無料
その他:通常の取引手数料

楽天証券

【楽天証券 NISA口座のおすすめポイント】
・初心者にもわかりやすいNISAの解説ページあり
・投資信託約2,617本、すべてNISA対象!ノーロード ・楽天ポイントをNISA 口座でのポイント投資に利用できる

楽天証券は初心者フォローが手厚く、NISAについてもわかりやすい解説ページやヘルプが充実しています。専門用語に悩んだり、次に何をすればいいのか迷ったりすることもなく、スムーズに銘柄選択や取り引きが行えます。

投資信託の取り扱い数は約2,617本!(2021年3月25日現在)今回紹介している証券会社の中で最も多く、すべてがNISAの対象商品です。

なおつみたてNISAの取り扱い数も172本(2021年3月25日現在)とトップクラスで、積立金額は毎月100円から気軽に投資できます。また楽天カードや楽天銀行、楽天市場などを利用して獲得した楽天ポイントでの投資などお得感のある特典がたくさんあることも魅力の一つです。

ただしIPOはNISAでの取り扱いがありませんので注意しましょう。

<楽天証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
・ETN
・J-REIT
外国株式 米国株式、中国株式、
アセアン株式、海外ETF
投資信託 約2,617本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 取り扱いなし
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料 無料
外国株式取引手数料 海外ETF買付:全額キャッシュバック(実質無料)
その他:通常の取引手数料

マネックス証券

【マネックス証券 NISA口座のおすすめポイント】
・NISAでも米国株3,000銘柄以上に投資可能
・中国株は香港証券取引所に上場しているほぼすべての銘柄を取り扱い、NISAでも取引可能
・NISA口座で外国株式買付時の国内取引手数料が全額キャッシュバック
・NISA口座での国内株式売買手数料が恒久無料

マネックス証券の強みは、外国株式の取り扱い本数です。米国株は3,000銘柄以上、中国株は香港証券取引場に上場しているほぼすべての銘柄を取り扱っておりすべてNISA口座で取り引きができます。

しかも外国株式買付時の国内取引手数料が全額キャッシュバックされます。世界的大企業や成長余力が期待できる米国・中国株式に興味のある方に特におすすめの証券会社です。

NISA口座の国内株式売買手数料も恒久無料なので、外国株だけでなく国内株式もお得に取り引きできますね。

<マネックス証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
・ETN
・J-REIT
外国株式 米国・中国、海外ETF
投資信託 約1,171本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 50社
※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料 無料
外国株式取引手数料 買付時国内手数料:全額キャッシュバック(実質無料)

松井証券

【松井証券 NISA口座のおすすめポイント】
・三つ星評価のサポート体制
・NISA株式の買付時手数料、売却時手数料が恒久的に無料
・NISA初心者でも使いやすいロボアドバイザーが無料

松井証券は、2011~2020年まで10年連続で「問い合わせ窓口格付け」の三つ星評価を獲得するほどサポート体制が整っています。自分で調べて自分で判断することが運用の基本なことは変わりませんがNISA初心者のうちは頼ってみるのもいいのではないでしょうか。

また松井証券では、徹底した低コスト運用を目指しています。NISA株式取引手数料は、買付時・売却時ともに恒久的に無料です。証券会社によっては、買付時は無料でも売却時には手数料が必要であったりキャンペーンなどで安くしていたりするなど期間限定や条件つきの場合もあります。

もし同じように運用できたとしてもコスト次第で運用成績は大きく変わってしまうため、松井証券の「低コストへのこだわり」は投資家にとってうれしいですね。

<松井証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
・J-REIT
外国株式 取り扱いなし
投資信託 約1,410本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 18社※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料 無料
外国株式取引手数料

auカブコム証券

【auカブコム証券 NISA口座のおすすめポイント】
・NISAでの株式現物取引手数料、積立手数料が無料
・NISA口座の開設で、一般・特定口座の株式手数料が5%割引
・銀行口座からの自動引き落としサービス手数料無料

auカブコム証券では、NISAでの現物株式取引手数料が無料です。そのうえNISA口座開設者は、一般・特定口座での現物株式手数料も最大5%割引になる「NISA割」が適用されます。

これは、自動的に適用され他の割引とも併用可能です。NISAはもちろん一般・特定口座の取り引きまでお得になるのはうれしいですね。

毎月500円からの積立投資が可能で積立買付手数料は0円です。また積立金を提携銀行口座から無料で自動引き落とし設定することができます。

IPOもブックビルディング方式で扱うなど大手金融グループとしてのメリットを活かしています。

<auカブコム証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
外国株式 取り扱いなし
投資信託 約1,365本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 19社※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料 無料
外国株式取引手数料

岡三オンライン証券

【岡三オンライン証券 NISA口座のおすすめポイント】
・IPO取り扱い数39社、もちろんNISA対応
・IPOは事前入金不要、申込・購入手数料無料
・分析ツールが3年連続1位を獲得

岡三オンライン証券でもNISA口座でIPOを取り扱っています。岡三オンライン証券は、ここ数年でIPO取り扱い数を伸ばしており、2020年は39社のIPOを扱いました。

より多くの投資家にチャンスがある抽選方法で「事前入金不要」「申込・購入手数料無料」など初心者にもうれしい設定です。

また岡三オンライン証券の分析ツールは、オリコン顧客満足度調査で2019~2021年度3年連続1位を獲得しています。分析について勉強したい初心者は、試してみる価値があるのではないでしょうか。

ただし「NISA口座では外国株式の取り扱いがない」「投資信託はあるもののつみたてNISA口座は開設できない」といった点には注意が必要です。

<岡三オンライン証券のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF・ETN
・J-REIT
外国株式 取り扱いなし
投資信託 約560本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 39社
※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 99円~
(通常の取引手数料)
投資信託委託手数料 無料
(ブル・ベア型除く)
外国株式取引手数料

DMM株(DMM.com証券)

【DMM株NISA 口座のおすすめポイント】
・NISA国内株式の買付時・売却時の手数料が無料
・米国株式取引手数料が一律無料
・IPOもNISAで取り扱いあり、取引高に関係ない完全平等抽選

DMM株ではNISA口座を利用すると国内株式の手数料が買付時だけでなく売却時も無料です。また米国株式は、約定金額(取引成立金額)に関係なく一律0円で購入できます。

ただし2021年3月時点で投資信託の取り扱いがなく、つみたてNISAの扱いもないため、株式投資専門と割り切りましょう。

IPOは完全平等抽選でNISA口座の運用も可能です。委託販売のため、ブックビルディング方式とは日程が異なる点に注意しましょう。

<DMM株のNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
・ETN
・J-REIT
外国株式 米国株式・米国ETF
投資信託 取り扱いなし
IPO(新規公開株式) 5社
※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 無料
投資信託委託手数料
外国株式取引手数料 無料

SMBC日興証券 オンライントレード・ダイレクトコース

【SMBC日興証券オンライントレード・ダイレクトコース NISA口座のおすすめポイント】
・NISAでIPO取り扱いあり、実績53社、うち主幹事は最多の16社(2020年実績)
・ダイレクトコース限定のIPO優遇特典あり
・100円以上100円単位で投資できる

大手対面証券会社SMBC日興証券のインターネット取引専門コースです。ネット上で口座開設が完了するため、ネット証券のように気軽に利用できます。NISA口座では、国内株式やIPOも取り扱い可能です。

大手を利用するメリットの一つは、安定したIPO実績でしょう。取り扱い数こそSBI証券にはかないませんが2020年の主幹事引き受け社数は16件と最多でした。

ダイレクトコース限定でIPO抽選への優遇特典も用意されています。IPO獲得を目指す方にとって外せない選択肢ではないでしょうか。

<SMBC日興証券 オンライントレード・ダイレクトコースのNISA情報>

国内株式 ・国内株式
・国内ETF
・J-REIT
外国株式 取り扱いなし
投資信託 約1,019本
(2021年3月25日現在)
IPO(新規公開株式) 53社
(うち主幹事16社)
※2020年実績
口座開設費・管理手数料 無料
国内株式現物取引手数料 137円~
(通常の取引手数料)
投資信託委託手数料 通常の取引手数料
外国株式取引手数料

NISA口座の基本をおさらい

NISAとは、金融庁が主導する金融政策の一つです。あらかじめ設けられた非課税枠(金額・期間)内の投資について売買差益や配当金・分配金などといった運用利益が非課税になります。

2021年3月時点でNISA口座の種類は「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つです。2024年に一般NISAは、基本的なシステムは残したままで積立投資に適した改良点を加えた新制度へ移行し、未成年を対象としたジュニアNISAは2023年で終了します。

出典:金融庁『NISA特設ウェブサイト』

NISAとつみたてNISAの違い

NISAとつみたてNISAの違いも確認しておきましょう。

【NISA(一般NISA)】
・年間120万円・5年間の非課税枠
・投資商品は株式や債券、投資信託など多くの選択肢あり

2024年からは、非課税枠のうち20万円を積立投資枠、102万円を一般投資枠に変更となります。

【つみたてNISA】
・非課税枠が年間40万円・20年間
・投資商品は長期運用に適した投資信託が厳選されている

NISA(一般NISA)は積極的に投資したい方、つみたてNISAは低コストでコツコツと投資したい方に向いています。NISA口座は、どちらか一方しか持つことができないため、投資目的によって選択しましょう。

NISAとiDeCoの違い

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、積立投資の運用成果を年金で受け取るための「私的年金制度」です。「積立期間の運用益非課税」「受取時の税制優遇」「積立金全額が所得税控除対象」など大きな税制優遇措置が設けられているため、効率のよい資産形成が期待できます。

しかしiDeCoでは、60歳になるまで資産を引き出すことができない点に注意が必要です。

証券口座とNISA口座の違い

投資運用は、常に利益が得られるとは限りません。通常の証券口座では、1年間の利益と損失を相殺する「損益通算」をすることで課税対象となる運用利益額を減らすことが可能です。

これは、証券会社を問わず複数の証券口座間で行うことができます。

NISA口座では、もともと運用利益に税金がかからないため、損益通算は不要です。同時にNISA口座での損失を損益通算に含むこともできません。税法上、証券口座(特定口座や一般口座)とNISA口座は全くの別物と認識しておいたほうがいいでしょう。

NISA口座の金融機関は途中で変更可能

NISA口座では、開設先の金融機関を1年に1度だけ変更することができます。ただし取引を行った年は変更手続きができません。保有している商品を新しい金融機関に移すことはできませんが適用期間中の運用商品はそのまま非課税での運用を続けることが可能です。

また移管手続きに伴い手数料が発生します。手数料額は、移管元や移管先の証券会社によって異なるため、移管前に確認しておきましょう。

NISA口座の非課税期間が終わったらどうなる?

一般NISAでは、非課税期間終了後に保有している金融商品を翌年分の非課税投資枠に移し引き続き非課税運用することが可能です。これを「ロールオーバー」と呼びます。ロールオーバーしない金融商品は、自動的に課税口座へと移されます。

1度他口座へ移動した金融商品を再びNISA口座へ戻すことはできません。2024年からの新制度では、一般NISAの積立投資枠の商品をつみたてNISAへ移行することも可能になります。

NISAを利用することで、効率のよい運用ができる

投資運用を行ううえで税金の問題は常につきまといます。できるだけ節税しながら運用することが後のトータルリターンに大きな影響を及ぼすかもしれません。

投資商品や投資スタイルによっては、NISA口座が向かないものもあります。例えば短期間で売買をくり返す投資スタイルでNISA口座を利用するとすぐに非課税枠を使い切ってしまいかねません。

使った分の非課税枠は、NISA口座で買付した商品を売却したからといって復活しません。NISAの特徴を理解して、うまく使い分けましょう。

文・髙田麗子
国内保険会社で生命保険と損害保険の営業を兼務、外資保険会社では顧客相談室を経験。退職後は、保険についての「わからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険・金融記事の執筆を開始。関心分野は、保険ジャンル全般(生保・損保・社保)や、生活に密着した金融サービスなど。2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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