本サイトにはプロモーション広告を含みます。なお、掲載されている広告の概要や評価等は事実に反して優遇されることはありません。
投資を始めたばかりの初心者の多くは「どんな金融商品を選んでいいかわからない」と悩むことも多いでしょう。しかし、資産運用の失敗パターンは、成り行きで投資をしてしまったことから陥るものが大半です。まずは、投資の配分を決めるアセットアロケーションという考え方を学び、投資環境の土台をつくることが大事です。この記事ではアセットアロケーションの基本、そして、アセットアロケーションを実践できる投資商品を紹介します。
目次
投資の重要キーワード「アセットアロケーション」の意味
アセットアロケーションは、資産運用や投資をしていくうえで欠かせないキーワードです。ポートフォリオなどと近いニュアンスで使われることもありますが、両者の違いについても整理しておきましょう。
アセットアロケーションとは
アセットは「資産」、アロケーションは「配分」の意味です。すなわちアセットアロケーションとは「資産配分」になります。投資で目標を達成するには、下記のアセットクラス(投資対象となる資産や種類・分類のこと)から「どれを選ぶか」が重要です。まずはこのアセットクラスについて見ていきましょう。
▽主なアセットクラス
- 現金・預金
- 株式(国内・先進国・新興国)
- 債券(国内・先進国・新興国)
- 不動産(賃貸・住居・REIT)
- コモディティ(金・銀・プラチナなど)
このアセットクラスの選択とともに欠かせないのが、アセットクラスを「どんな割合で配分するか」です。つまり、「アセットクラスの選択と配分」を決定・組み替えする過程がアセットアロケーションなのです。
投資初心者は特に「どの銘柄を選ぶか」という視野が狭くなりがちです。それが原因でリスクを過大にとったり、効率的な投資ができなかったりといった失敗パターンにはまる人が少なくありません。アセットアロケーションを意識して成功確率を高めましょう。
アセットアロケーションとポートフォリオの違い
端的にいうと、アセットアロケーションは過程、ポートフォリオは結果です。まずは、アセットアロケーションで「投資の目的」と「リスク許容度」を整理し、これに基づいてアセットクラスの選択や割合を決定していきます。
そして、このアセットアロケーションに沿って、具体的な銘柄に投資した結果として、ポートフォリオが構築されます。ポートフォリオを成り行きで組んでも、投資の目的を達成することは難しいでしょう。アセットアロケーションという前段階があってはじめて、強固なポートフォリオを構築することができるのです。
アセットアロケーションで特に重要な3つの軸とは
アセットアロケーションを考えるときの要素はたくさんあります。そのなかでも重要なのが「投資の目的」「リスク許容度」「年齢」の3つの軸です。
アセットアロケーションの重要軸1:投資の目的
資産運用や投資の目的は人それぞれです。目的の一例としては「老後資金を堅実につくっていきたい」「早期のリタイアをしたい」「お金持ちになりたい」などがあります。アセットアロケーションではこの目的を叶えるために、どのアセットクラスを選び、それをどう配分していくかを考えていきます。
投資の目的がクリアになると、それを達成するためにどれくらいのお金が必要なのかがはっきりしてきます。併せて、資産をつくるために必要な期間も見えてきます。仮に、目標を達成するまでの期間が長いと感じるのであれば、リスクの高い資産の割合を増やすといった方向修正がしやすくなります。
アセットアロケーションの重要軸2:リスク許容度
リスク許容度をわかりやすくいうと、その人が「どこまでのリスクを受け入れられるか」ということです。リスクとリターンは相関関係にあります。ローリスクであればローリターンですし、ハイリスクであればハイリターンを狙うことも可能です。アセットアロケーションでは、その人のリスク許容度に合わせて、アセットグループの選択と配分を行ってきます。
アセットアロケーションの重要軸3:年齢
リタイアまでにどれくらいの期間が残っているのか。長期的な視点で資産運用を考えたときには、これも大切なことです。一般的に年をとるほどリスク許容度は下がる(大きなリスクがとれない)といわれます。若ければ資産を大きく減らしても挽回チャンスがありますが、中高年だと資産が大きく目減りすれば致命的になりかねません。特に家族がいる人は、リスク軽減を重視するのが賢明です。
アセットアロケーションの基本
次に、アセットアロケーションの基本を見ていきましょう。ここでは一般的なポートフォリオの中心になる株式と債券をベースにアセットアロケーションを考えていきます。
「安全資産とリスク性資産の割合」を考える
アセットアロケーションでは、株式はリスク性(リスクのある)資産、債券は安全資産と考えるのが基本です。リスクをできるだけ抑えて堅実な運用をしたい人は「安全資産(債券)の割合を増やす」選択になります。逆に、リスクをとってでもリターンを狙いたい人は「リスク性資産(株式)の割合を増やす」選択になります。下の一例のように安全資産とリスク性資産の割合によって、堅実型・標準型・積極型のタイプに分けられます。
▽アセットアロケーションの割合例
タイプ | 割合例 |
堅実型 | 安全資産80%、リスク性資産20% |
標準型 | 安全資産50%、リスク性資産50% |
積極型 | 安全資産20%、リスク性資産80% |
たとえば、「子どもがまだ小さいし、老後資金の準備もあるのでリスクをとれない」という人は堅実型を選ぶのが無難でしょう。あるいは、「早期のリタイアを目指したいのでリスクをとってでも攻めていきたい」という人は積極型の選択になるでしょう。
なお、アセットクラスの割合は、必要に応じて見直していくのが基本です。いったん割合を決めても、市場の動向や投資家を取り巻く状況は刻々と変わっていきます。それに合わせて効率的かつ合理的な割合に調整していく必要があります。
「どの国・地域に投資するか」を考える
株式がリスク性資産、債券が安全資産というのはあくまでも原則です。株式にも比較的ローリスクなものもありますし、債券でもリスクが高いものもあります。たとえば日本のPER10倍以下の大企業の株式は急落リスクが限定的です。また、債券でも新興国のもののなかには、格付け会社から「投機的リスク」と判断されるものもあります。
つまり、アセットアロケーションでは、「どのアセットグループを選ぶか」とともに「どの国・地域に投資するか」が重要ということです。
▽地域別の株式と債券のリスク傾向
日本 | 先進国 | 新興国 | |
株式 | リスク△ | リスク△ | リスク× |
債券 | リスク○ | リスク○ | リスク△または× |
アセットアロケーションが面倒な人向けの投資商品とは?
アセットアロケーションの意味や基本を理解できても、これを実践するのは容易ではありません。複数のアセットクラスを選択し、さらにその配分を考える必要があります。この設計図が決まった後には、具体的な銘柄選びを行わなくてはなりません。
専門知識と経験のある人ならともかく、投資の未経験者や初心者にとってアセットアロケーションとポートフォリオ構築はハードルが高いのが現実です。アセットアロケーションを実践したいけれどできない。そんな人向けの選択肢がバランス型ファンドです。
バランス型ファンドの種類:アセットクラスの数
バランス型ファンド(投資信託)は投資しているアセットクラスの数によって、4資産型~8資産型に分かれます(下記の表参照)。4資産型のバランスファンドなら、4つのインデックスファンド(※)を運用しているようなイメージです。
※インデックスファンドとは、日経平均やNYダウなどの指数と連動する投資信託(ファンド)のことです。
▽バランス型ファンドのアセットクラス例
アセットクラスの数 | 投資しているアセットクラス例 |
4資産型 | 国内株式、先進国株式 国内債券、先進国債券 |
6資産型 | 国内株式、先進国株式 国内債券、先進国債券 国内リート、先進国リート |
8資産型 | 国内株式、先進国株式、新興国株式 国内債券、先進国債券、新興国債券 国内リート、先進国リート |
バランス型ファンドの種類:アセットクラスの割合
バランス型ファンドのなかでも、リスク型資産である株式の比重が高いものは「株式重視型」、安定型資産である債券の比重が高いものは「債券重視型」、その中間のものは「安定型(標準型)」とも呼ばれます。
一例では、「DCニッセイワールドセレクトファンド」というブランド名のバランスファンドは債券重視型、株式重視型、標準型などの銘柄をリリースしています。同じブランドでも銘柄によって下記のようにアセットクラスの比率はかなり違います。
▽DC ニッセイワールドセレクトファンドの銘柄別アセットクラス比率
債券重視型 | 株式重視型 | 標準型 | |
国内株式 | 20% | 40% | 30% |
国内債券 | 45% | 15% | 30% |
外国株式 | 10% | 30% | 20% |
外国債券 | 20% | 10% | 15% |
短期金融資産 | 5% | 5% | 5% |
このほか、それぞれのアセットクラスに均等に投資をしている銘柄は、「4資産均等型」「8資産均等型」などと呼ばれます。4資産均等型であれば、4つのアセットクラス(国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券)に各25%ずつ振り分けているようなイメージです。
バランス型ファンドのメリットとデメリット
バランス型ファンドは「初心者向けの投資商品」として紹介されることが多いです。たしかに手間がかからないメリットはありますが、機械的に飛びつくのはNGです。デメリットも十分理解したうえで選択しましょう。
バランス型ファンドのメリット1:手間なしでアセットアロケーションができる
バランス型ファンドの一番のメリットは、アセットアロケーションをプロのファンドマネージャーが行ってくれることです。運用中の市場動向に合わせた資産の組み換えなども自動的に行ってくれます。
バランス型ファンドのメリット2:リスクをコントロールしやすい
バランス型ファンドは、株式・債券・リートなどの組み合わせで運用されている金融商品です。このうち、日本や先進国の債券の比率が高いファンドを選べばリスクを抑えやすいです。
バランス型ファンドのメリット3:相場の急落時に損失を緩和しやすい
一般的に株式と債券の間には、「負の相関関係」があるといわれます。負の相関関係とは、「株式が値上がりすれば、債券が値下がりしやすい」というような反対方向の相関関係のことです(逆に、株式が値下がりすると、債券が値上がりしやすいともいえます)。これにより株式相場が急落したときに、損失をカバーしやすいと考えられます。
バランス型ファンドのデメリット1:まとまった短期リターンは期待しづらい
バランス型ファンドは、複数のアセットグループを組み合わせた投資商品なので比較的ローリスクです。その反面、かなりの分散投資をしているので、短期間でまとまったリターンを得にくい性格もあります。高利回り重視の人とは相性が悪い投資商品です。
バランス型ファンドのデメリットに2:割高な信託報酬の銘柄もある
バランス型ファンドのなかには、信託報酬(運用管理費用)が割高なものもあります。長期的に運用する場合は、信託報酬が安い銘柄を選ぶのが賢明でしょう。どれくらいの信託報酬なら安いかはケースバイケースですが、一般的に信託報酬が1%未満のものは割安な部類に入ると考えられます。
バランス型ファンドのデメリット3:負の相関関係が働かないこともある
教科書通りにいうと、株式と債券は負の相関関係にあります。しかし実際には、この負の相関係数の機能がうまく働かず、基準価額を大きく下げてしまう局面もあります。分散投資をしていれば安心という思い込みは危険です。大きく値下がりしても耐えられる範囲内で投資をするのが賢明です。
バランス型ファンドの銘柄例
ネット証券のなかでも大手の楽天証券の「投信スーパーサーチ」でバランス型ファンドを検索すると412の銘柄が出てきます。さらに「つみたてNISA対象」「ファンドスコア(1年)で5段階中最高ランクの5」などの条件を設定すると、次の4銘柄が絞り込まれました(2020年10月23日現在)。
※本稿ではこれらの銘柄を推奨するものではありません。あくまでも検索結果例です。
まずはネット証券口座の絞り込みツールで検索を
バランス型ファンドだけでも、実に多くの銘柄が存在します。あまりにも多すぎて「どれを選択してよいか分からない」と選択過程で挫折してしまうケースもあるようです。大半のネット証券に投資信託の絞り込みツールが実装されています。まずは好みの検索条件で絞り込みをしてみましょう。
【関連記事】
・分散投資に注目のコモディティETF。メリットとデメリットを解説
・株式投資で成功するために欠かせない「セクター」の考え方とは?
・「株価下落はいつまで続く?」投資の格言と指標から考える下落相場の判断ポイント
・株の売買タイミングで語られる「目標株価」とは?どうやって計算するの?
・何%で売却する?株式を売るタイミングはこう決めよう!