retirement plan and pension binders

(写真=PIXTA)

2014年1月から新たに『NISA(ニーサ)』と呼ばれる少額投資非課税制度がスタートした。証券税制の変更に伴い上場株式や株式投資信託などの配当金および分配金、売買益の税率が20パーセントに変更されたことも相まって、税制面でのメリットは大きい。

NISA口座で購入した上場株式や株式投資信託などの配当金や分配金、売買益が非課税となるためだ。金融庁の発表では、14年末のNISA口座開設数は824万口座、購入総額は2兆9,797億円にのぼる。投資において税制面のメリットがいかに大きなインパクトを持っているかがうかがえる。

NISAと並び税制面で大きなメリットがあるのが、確定拠出年金(Defined Contribution Plan、日本版401k)だ。しかし、現在の制度ではすべての人が確定拠出年金に加入できるわけではない。専業主婦(第3号被保険者)、公務員、企業型確定拠出年金を実施していない企業で他の企業年金制度に加入している従業員などは、確定拠出年金に加入することが制度上不可能なのだ。そこで、加入対象者の拡大などを盛り込んだ確定拠出年金法の改正法案が、15年4月に国会へ提出された。

確定拠出年金(401k)のメリット

日本では現役世代は国民年金の被保険者となり、将来基礎年金の給付を受けることになる。会社員や公務員は基礎年金に加え、厚生年金や共済年金に加入し、基礎年金の上乗せとしての給付を受ける。さらに、会社独自の年金制度である企業年金、公務員独自の上乗せ制度である職域加算を受け取る人もいる。こうした構造ゆえに、日本の年金制度は3階建てと称される。

これまでは、3階建て部分として厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金制度があったが、中小零細企業や自営業者にはあまり普及しておらず、離職や転職の際に年金資産の持ち運びが十分確保されていないという問題点があった。

今後、公的年金は年金財政の悪化から給付水準が抑制されたり、支給開始年齢の引き上げが行われることが予想されるため、私的年金ともいわれる確定拠出年金の必要性が高まることは明白だ。こうした問題点を解消すべく、01年10月に公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として確定拠出年金が導入された。

「保険 vs 確定拠出年金」年収500万円の場合、20年で130万円の差

ところで、確定拠出年金には、企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員が加入できる“企業型年金”と、自営業者や前述の企業型年金規約の承認を受けていない企業の従業員が加入できる“個人型年金”があり、双方とも税制面では非常に大きなメリットがある。

企業型年金においては、事業主が拠出した掛け金は全額損金算入が可能であり、加入者が拠出した掛け金も全額所得控除できる。個人型年金においても、加入者が拠出した掛け金は全額所得控除の対象となる。年金の給付時には公的年金等控除(標準的な年金額までは非課税)を受けることができるほか、一時金として受給すれば退職所得控除を受けることができる。

確定拠出年金の掛け金が大きいほど、また所得が高いほど、節税効果は大きくなる。ある試算では、課税所得500万円の会社員の場合(所得税20パーセント・住民税10パーセントの計30パーセント)、掛け金の年間上限である27万6,000円をフルに利用すれば、節税額は1年に8万2,800円、20年の累計では約166万円にもなる。

生命保険会社が扱う個人年金保険でも所得控除を受けることが可能だが、所得から控除できるのは最大でも所得税4万円と住民税2万8,000円に限られている。前述の所得500万円の人が年間27万円を掛けたとしても節税額は1万800円にとどまり、20年の累計では36万円と大きな差が生じることになる。