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(写真=PIXTA)

運用成績によってもらえる年金額が変わる「確定拠出年金(DC)」加入者は、非加入者よりも退職準備金が1.5倍―。フィデリティ投信が今年5月に行った「サラリーマン1万人アンケート」でこんな事実が明らかになった。なぜ、DCに加入している人とそうでない人でここまで格差がついたのだろう。これまでは「年収が格差の要因ではないか」と考えられてきたが、今回の調査では年収とは別の要素の影響がより大きいことがわかった。アンケート結果を詳しくみてみよう。

加入者5年で倍増

調査は2015年5月18~25日、会社員(役員を含む)と公務員を対象にインターネット上で行われた。1万2177人が回答し、男性8011人(65.8%)、女性4166人(34.2%)となった。調査は10年、13年に続いて3回目となる。

今回の調査でまず注目されたのは、DC加入者が急増している点である。加入者の割合は全体の31.3%となり、2010年の14.9%から5年で倍増した。サラリーマンの3人に1人は加入している計算だ。年代別にみると特に50代の増加が著しく、これまで若い企業でしか採用されていなかったDCが、大企業にも広がったという要因が考えられるという。

加入者増加の背景には、税制優遇に対する理解が進んでいることなどが考えられ、「確定拠出年金を知っている」と答えた人の45%が加入したいか加入を検討中であるという結果も出た。

次にDC加入者、非加入者の退職準備額を比較してみよう。加入者の退職準備額は1012.6万円で、非加入者(691.6万円)の1.5倍に上った。10年と比較すると、加入者、非加入者いずれも退職準備額は3割増となっており、全体として年収が減少する中、退職準備金が増える傾向にあった。