節税

(写真=PIXTA)

低金利が続く中で最も安全かつ高収益の財テクは節税だ。例えば、課税所得500万円の人の所得控除額が10万円増えると所得税は2万円減少する。住民税も1万円減るため、合せて3万円(当初の課税所得の0.6%)の節税効果が見込める。所得控除には医療費や寄付金など費用性のものだけでなく、小規模企業共済や個人年金保険など積立型金融商品の掛金も含まれるため、これらを上手く活用すれば資産運用を行いながら節税メリットを享受できる。

確定拠出年金の掛金は全額所得控除の対象

老後の受給額ではなく現役時代の掛金を定額とする確定拠出年金(日本版401k)には、厚生労働大臣から年金規約の承認を受けた企業の従業員が対象の「企業型年金」と年金基金がない企業の従業員や自営業者等が加入する「個人型年金」の2種類がある。

税制上、いずれの掛金も小規模企業共済等掛金控除に当たり、全額が所得控除の対象となる。サラリーマンが個人型年金に加入する場合は、最大で月額2万3000円を積み立てられるため、元の課税所得が500万円であれば、所得税は5万5200円(2万3000円×12カ月×20%=掛金×月数×課税所得に応じた税率)、住民税も2万7600円(2万3000円×12カ月×10%=掛金×月数×固定税率<都道府県税4%+市区町村税6%>)減少し、合計8万2800円の節税効果を得られる。

厚生年金基金などの確定給付型年金を導入していない企業が設立した確定拠出年金基金に加入するケースでは、積み立て上限が月額5万5000円になるため、同様の前提で試算すれば所得税と住民税を合わせて20万円弱の節税効果が生じる。500万円の課税所得を想定元本とみなせば、約4.0%の運用益を確保できる計算だ。

確定拠出年金の運用益も全額非課税

確定拠出年金の運用対象資産は、預貯金、公社債、株式、投資信託、保険など様々だが、株式、投資信託等の配当金等は非課税な上、利子所得等に対する源泉分離課税(年率20.315%)も適用されない。このため、配当金や利息金等の運用収益は全額年金資産(給付金)に加算される。

今は超低金利で節税効果はあまり大きくないが、仮に金利が1%まで上昇すれば1000万円の運用資産で10万円の利息が入る。日銀が超低金利政策を解除し金利水準が少しでも上がれば、20%の源泉分離課税や配当課税の有無が大きな意味を持つようになる。

なお、2017年4月以降は、積み立てた年金資産に対し特別法人税(1.173%)が課される予定だ。もっとも、足元の金利水準を踏まえ適用時期が延期される可能性も十分に考えられる。