本記事は、中谷昌文氏の著書『なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?』(ビジネス社)の中から一部を抜粋・編集しています

沈没船からお金を守る5つの方法とは?

お金,守る
(画像=tomertu/stock.adobe.com)

どうしたら沈みゆく船から安全な船に資産を積み換えることができるでしょうか。いくつかの方法を検討してみましょう。

(1)海外にお金を移動させる

まず、おすすめしている方法は、「海外にお金を移動させる」ことです。海外に口座を開設し、プライベート・バンクを通じて送金し、海外で資産を管理します。

そうしてお金を円安や円の暴落リスクから守ったうえで、元本が保証される海外投資の方法を考えましょう。

(2)金(ゴールド)を買う

『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)の著者、ロバート・キヨサキは、2019年に日本で講演し、その講演の間に何度も「銀を買え」と言っていました。近年では金が高騰しているので、「金に変わる銀を買え」ということです。

もちろん「金」自体は利子などの資産を生み出すことはありませんが、エジプトの時代から5,000年以上、価値が下がったことはありません。世界中どこに行っても換金できるという換金性の高さが強みです。

金は貨幣のリスクと切り離されたパーフェクトな資産であり、経済が悪化したときに価値が上がる傾向があることから、有事のリスクヘッジができるというメリットもあります。

(3)米ドルを現金でタンス貯金する

たとえ日本円の価値が10分の1になり、預金封鎖され、銀行に預けた資産の9割を国に没収されたとしても、現金で米ドルを持っている限り、財産を失うことはありません。

大量に発行されているとはいえ、世界で最も流通しているのは米ドルであり、ロシアや中国などの共産圏ですら、自国のお金よりも米ドルを信用しています。

タンス貯金の本質は、その名の通り、タンスの奥底に現物をこっそり隠しておくことです。盗難のリスクがあり、米ドルの伸び率の分だけ目減りしますが、これほど確実な資産防衛はありません。

ここで注意してほしいのは、銀行でドル積立をしたり、ドル建ての投資信託を購入したりしていても、まったく意味がないということです。そうしたペーパー上の貯蓄は、預金封鎖と同時に政府がすべて没収してしまうのです。

これは、ロシアが破綻したときの状況を見ても明らかです。当時のロシアでは、すべての貯蓄を国が没収し、さらに銀行の貸金庫の中身まで国に奪われてしまいました。リアルで米ドルを持っていることが正解で、絶対に銀行の貸金庫に預けてはいけないのです。

(4)海外不動産を購入する

日本の不動産が、今後、大暴落するのは間違いありません。とくに地方では、3軒に1軒が空き家になるというデータもあります。

ただし、海外ならば年利10〜20%で回せる収益型の不動産物件も珍しくありません。人口が増え、国の平均年齢が若い国への不動産投資はおすすめです。

たとえば、インド(平均年齢26.4歳)、インドネシア(27.8歳)、ベトナム(29.8歳)といった具合です。よほど悪徳業者に騙されなければ成功するのではないでしょうか。

(5)仮想通貨(暗号資産)に投資する

以前、仮想通貨バブルで100万円を1億円にしたという人が続出しましたが、今後、国は仮想通貨が値上がりした分に関しても、徹底的に税金をかけていく方針です。

ただし、日本の口座ではなく海外口座を使って仮想通貨を管理すれば、国に持っていかれることはないでしょう。資産価値が安定していないためリスクはありますが、今後の動きに注目したい資産です。

このように、資産を守る方法はさまざまです。沈む可能性がある国内のみに全資産を置いておくのは危険です。資産家や大富豪だけでなく、すべての人が現状をよく見て正しい判断をすることが求められています。

日本では三代相続すると財産がなくなる

日本では、「三代相続すれば資産がなくなる」といわれています。その言葉が意味するものは大きく2つあり、「相続税によって財産が失われてしまう」ことと、「資産を守り抜くことができない」ということです。

お金持ちほど、資産は〝増やす〟こと以上に〝守る〟ことが大事です。一定規模の資産があれば、適切な運用によってお金は勝手に増えていきますが、その増えた分を守れなければ意味がありません。

そのため、資産の運用は増やすことからスタートし、徐々に守ることへとシフトしていかなければなりません。その具体的な方法として、海外に目を向けること、そして海外投資を実践することをおすすめしています。

世界の富裕層を見てもわかるように、彼らは最初からお金持ちだったわけではありません。ビジネスや金融業で大きな成功を収め、その成果(資産)を適切な方法で次世代に引き継いだからこそ、資産を拡大できているのです。

これは非常に重要な点なので繰り返し述べておきたいのですが、日本は資産形成及び資産の維持をするのに適しているとはいえません。経済成長が頭打ちになり、少子高齢化や人口減少が続いており、金融制度も厳しいのが状況です。

ですから私たちは、個々人が自分で自分のお金をつくる・守るということをしなければなりません。一人ひとりの意識の変化が求められているのです。

お金のディフェンス力に欠ける日本人

先ほど「三代相続すれば資産がなくなる」と言いましたが、日本は税金面と金融面のどちらから見ても、資産形成には厳しい状況にあります。

この状況を放置していては、いつまで経ってもあなたの富は形成されません。今こそ海外に目を向け、自分の手で資産を守り抜くことが大事です。

これは、マインドやリテラシーの部分からも、強く主張しておきたい点です。資産をつくり、そして手にした金融リテラシーを次世代にも引き継いでいくためには、自分たちはもちろん、子や孫にも資産形成に適したマインドやリテラシーを伝え、育てていく必要があります。

ユダヤ人について紹介しましたが、彼らは宗教や民族的な背景をもとに、金融のマインドやリテラシーを育てています。金融の知識や発想法、考え方が、子どもの頃から与えられているのです。

こうした伝統があるからこそ、ビジネスの世界で類稀な成果を上げたり、金融業界で大きな存在として君臨していたり、あるいはノーベル賞受賞をはじめとする学術の世界でも結果を出せているのです。やはり、環境は重要だといえるでしょう。

もちろん、日本にいても金融リテラシーを学ぶことはできるのですが、制度をすぐに変えることはできませんし、また実践できることも限られています。そうこうしているうちに資産を引き継ぐタイミングになって、厳しい現状を目の当たりにして当惑しても遅いのです。

いたずらに資産を失うのではなく、より広い視野で資産を形成・運用して、ディフェンス力を高めていくことが、これからのお金持ちには必須です。資産をつくることと守ることはまさに車の両輪であり、それができる環境を追い求めるべきです。

なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?
中谷昌文(なかたに・よしふみ)
社会貢献活動家。「国際ビジネスホールディングスグループ」創立者、「国際ビジネス大学校」理事長、特定非営利活動法人「国際コンサルティング協会」理事長などを務める。大学卒業後、教師として勤務した後、渡米して様々な経験を積む。その過程でNIKEシューズと出会い、日本にその魅力を伝える。それらの経験で培った人脈を活かし、2004年に若手起業家が有名実業家から学ぶ場「志魂塾」を立ち上げる。2011年には「国際ビジネス大学校」を創立し、若手起業家の育成に注力。1995年より、難病の子どもを東京ディズニーリゾートにお連れする活動を25年以上続ける傍ら、1994年から個人的に、後に児童養護施設などにランドセルを届ける「タイガーマスク運動 ランドセル基金」の活動もスタート。これまで国内で1,300個のランドセルを手渡しでプレゼント、海外へはメーカーの協力により10万個以上を寄贈。その他、NPO法人や一般社団法人を立ち上げ、営利目的だけでなく「社会に貢献できるビジネスモデル」を国内外に発信している。

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