本記事は、中谷昌文氏の著書『なぜ大富豪のサイフは空っぽなのか?』(ビジネス社)の中から一部を抜粋・編集しています
海外投資専門のプライベート・バンクの見つけ方
一般の人が海外投資専門のプライベート・バンクを見つけるには、どうすればいいのでしょうか。とくに投資に関する情報は玉石混淆ということもあり、よく中身を精査して判断することが必要です。
たとえばオフショア投資一つとっても、提供される情報のすべてが正しいとは限りません。「高い金利が得られますよ」「リスクヘッジができますよ」などと、言葉巧みに勧誘する業者もいますが、蓋を開けてみると手数料が明らかに高いというケースが少なくありません。
そのため、情報の中身をきちんと調べ、信頼できる人とともに投資を行うことが肝要です。とくにプライベート・バンクとつながる場合は、明確な実績と経験、あるいはその根拠となる情報を持ち合わせている人を選ぶべきです。
日本の場合であれば、証券取引等監視委員会の正式ライセンスを持っている人に相談する方法があります。「公益社団法人 日本証券アナリスト協会」では、プライベート・バンカーに関する次のような資格を用意しています。
・PBコーディネーター試験:初級 ・プライマリーPB試験:中級 ・シニアPB試験:上級
学習内容は、「ウェルスマネジメント」「不動産」「税金」「信託・エステートプランニング」「リレーションシップ・マネジメント」「マス富裕層」「職業倫理」など多岐にわたり、富裕層向けサービスの基本となる多様な知識を網羅しています。
このような専門資格を有している人に相談すれば、高い確率で良いサービスを紹介してもらえる可能性があります。ただし、所属している金融機関のサービスに誘導されるケースもあると考えられますから、複数の金融機関を比較検討するのが賢明でしょう。
中には紹介などを経ることなく、自らプライベート・バンクの門戸を叩く富裕層や経営者もいます。しかし、プライベート・バンクの審査はかなり厳格です(当然ながら、犯罪歴がある人や暴力団関係者などは拒否されます)。
そうした事情もあり、資格保有者や実績・経験がある人から紹介してもらうというルートが最も確実であるといえそうです。
一般的な口座開設までの流れ 1 アクセス(問い合わせ) 2 金融機関からの連絡と事前審査 3 審査結果の報告と面談日時の調整 4 面談 5 口座開設に必要な各種手続き 6 口座への入金 7 定期的な面談および報告(資産運用の実施、継続)
ちなみに、日本の証券会社やプライベート・バンク(プライベート・バンキング含む)の担当者は、自ら富裕層にアプローチすることもあります。
彼らの多くは、資産管理会社や未上場株、M&Aの情報をチェックしつつ、経営者団体や弁護士・税理士などから情報収集を行っています。そのようにして得られた富裕層の情報をもとに、積極的にアプローチしているのです。
他方で海外の場合はどうでしょうか。とくに伝統的なプライベート・バンクを利用したい場合は、業界の事情に精通しているコンサルタントなどとともに、紹介を経て、しかるべきルートからアプローチするのが王道です。
資産状況にもよりますが、何のつてもないまま門を叩いても、結果は厳しいと思われます。やはり資産状況で精査されてしまいますし、そもそもアクセス先がわからないプライベート・バンクも多いのです。
日本におけるプライベート・バンク利用の最適金額の例(諸説あり) ・三菱UFJモルガン・スタンレー:1億円以上 ・UBS:2億円以上 ・クレディ・スイス:5億円以上
そこで、資金がそれほど潤沢でない方の場合、まずは基本的な海外投資や信託などの仕組みを活用して資産を増やしたほうがいいでしょう。すでに紹介したように、海外であれば高い金利を得られるところもありますし、国内よりも良い条件で運用できます。
海外投資をするだけなら、1,000万円でも500万円でもはじめられます。それらの資金をもとに、複利効果を得ながら、まずは3,000万円、5,000万円、1億円と資産を蓄積していけば、プライベート・バンクの活用も視野に入ります。
あるいはその段階から世界のプライベート・バンク事情について理解している人とともに歩んでいけば、ステップアップするかたちで資産形成を実現できるかと思います。
いずれにしても、資産形成は長期戦です。短期で増やすことを目指すのではなく、中長期的な視点を持ちながら、プライベート・バンクにアクセスするまでの過程を検討していくことが大切です。
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