瀬戸社長が少額改修にこだわる理由
LIXILが10月にスタートした「リクシルPATTO(パッと)リフォーム大作戦」。リフォーム業界では少しでも単価の高いリフォーム・リノベーションの開拓に乗り出す企業が多い中、瀬戸欣哉社長兼CEOが目をつけたのは50万円以下のリフォーム。ドアや窓の交換といった比較的少額なリフォーム需要を「創造」したいという。なぜなのか。
成約率が低い
「業者が少額リフォームのニーズに応えきれていない」。瀬戸社長は今回のパッとリフォーム大作戦の背景についてこう語る。今回のキャンペーンでは、1日で施工の終わるドアや窓を工事費込みの「明朗会計」で販売しようという試みだ。工事金額は50万円以下。
この50万円以下のリフォームが十分に進んでいないと見るのは、なぜなのか。
実はLIXILでは「リフォームコンタクト」という業者とユーザーをマッチングさせるサイトを運営している。このサイトに寄せられる相談のうち、4割は50万円以下のリフォームと多数派なのだが、実は2割しか成約に至っていない。
「理由は人口が減っており、職人が少なくなったこともあるが、業者も大きな工事を重視し、小さな工事に手が回っていない」。さらに「リフォーム費用が分かりにくく、安心して頼めるお店が分からない。リフォームの期間も仕上がりのイメージも分からない」と分析する。
困りごとが多すぎる
要は、業者は手が回らず、ユーザーはリフォームしたくても「困りごと」が多すぎるのだ。このミスマッチの解決なくして、市場は伸びないと見る。
「新築着工戸数は150万戸程度あった時もあるが、将来的には54万戸程度になっていくだろうと予測されている。その新築市場の代わりにリフォームが伸びるだろうと、我々も業界も期待しているが現実には伸びていない。横ばいにとどまっている」(瀬戸社長)
今回のキャンペーンでは安心感を持ってもらえるようLIXILが一定レベルの施工店を認定。現状500店だが、将来的に1200店に拡大させ、積極的に小工事に取り組む事業者を揃える。そして、ユーザーが不安に思う価格は、工事費込みのパッケージ価格にすることで、「ミスマッチ」という課題解決を目指す。
リピート狙う
瀬戸社長が小規模リフォームに注目する理由はもう一つある。「リピーター」創出による市場の拡大だ。同社の調査によれば、リフォームした人の満足度は95%。また再びリフォームしたい人が85%だという。
つまり、どんなリフォームでも一度リフォームしてもらえさえすれば、満足してもらえ、さらにもういちどリフォームしたくなる、というわけだ。「小規模リフォームは『ドア・オープナー』。まず敷居の低いリフォームをやってもらうことで、大きなリフォームにつながり、繰り返していく」
市場の変革を
今回のプロジェクトでどれだけの業績拡大を見込むのかについて、「いきなり業績の貢献はない」(瀬戸社長)という。それよりもむしろ同社長が強調するのは、国内最重要マーケットと位置付ける「リフォーム市場」をメーカー、流通、施工会社が連携して変革を起こすこと。「リフォーム市場が伸びていないのは業界全体の問題。我々メーカーとしてやりたいのは、まずは市場全体を大きくする努力。リフォームの第一歩を踏み出すお手伝いがしたい」(提供: リフォーム産業新聞 2016年10月25日掲載)
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