金貨,価格,購入
(写真=PIXTA)

金貨の中でも投資での用途を目的として作られているものを「地金型金貨」と呼ぶ。金地金の時価相当分に、少額の上乗せがされた時価で売買されることが多い。上乗せ分はプレミアムと呼ばれ、含まれる金の純分によって決まる。

日本ではカナダが発行するメイプルリーフ金貨の流通量が多く、保証される品位も99.99と最高水準だ。カナダ政府が保証するものであるため鑑定の必要がなく、地金と同じ扱いで取引されている。法定通貨としての利用も可能だが、表示されている額面は地金本来の価値のおよそ10分の1ほどであるため、実質的な意味はない。

収集型金貨というものも存在している。記念硬貨として作られるものが一般的で、コイン収集といった趣味的な需要と希少性による付加価値を期待して購入される。額面が記載されていることもあるが、販売価格は額面を大きく上回る。地金型と違い希少性維持のために大量の発行はできず、そのため金相場の影響はほとんど受けない。収集する者の嗜好次第ではどれほどの高値がつくかがわからないという一面がある。

金貨の魅力とは

地金型金貨の最もよくあげられるメリットは、売買手数料がかからない事だ。500グラム未満の金地金を購入する時にはバーチャージという加工手数料がかかる。しかし金貨は金貨であり金地金ではないので、バーチャージは発生しない。金地金そのものよりも少額で購入できることもメリットだ。500グラム未満の金を少量ずつ購入するつもりなら、地金型金貨の方に分があるといえる。

購入手段、購入可能な場所が豊富というのもありがたい。コインショップなど探せば地方でも扱っている。換金も貴金属店やデパート、銀行でも可能である。

売却時にもメリットがある。売却時のプレミアムは取扱店で売却する時、その売却額にも適用されるのだ。地金型金貨は、加工にかかった費用やデザイン性などの付加価値をプレミアムとして上乗せしている。加工費用はともかくとして、デザインが維持されている場合はその付加価値もまた保証されていると考えられるのだ。

裏を返せば、デザインを損なう傷やへこみがあれば、付加価値が無くなったと判断され地金本来の値段で取引される事になる。収集型金貨においてはデザインこそが価値を支えるポイントになるため、保管には細心の注意を払うべきだ。

金貨の価格推移

地金型金貨は地金価格に連動して価値が動く。金相場は2017年4月の平均が4898円/グラム。2015年の平均の4929円/グラムにはわずかに届いていないものの、2016年の平均が4748円/グラムだから、上昇傾向にあると見るべきだろう。

地金型金貨については、その純度と重さを基準とした目安が発表されている事が多い。純度についてはK(カラット)で表記される。メイプルリーフ金貨は24カラットで、これは純金と言われるほどの純度であり、999.9/1000と不純物がほとんどない。重さはOZ(オンス)で表記され、1オンスは31.1グラムに相当する。

田中貴金属工業が2017年5月2日に発表した金額は、メイプルリーフ金貨1オンスが税込み買取価格で15万1743円、1/10オンスで1万5711円となっている。

収集型金貨はコレクター同士でのやり取りがメインとなるため、投資目的では不向きである。利益の出し方も、コレクター相手に少々高値で売れるといった程度だ。純金としての価値で見れば表記された額面を超えるものがないわけではないが、そういった収集型金貨を鋳つぶす事は犯罪にあたる。美術品などと同じ様な売り方が必要になるので、投資としては非常に不安定な品だと言えるだろう。

購入するならいつがおすすめ?

金の相場は、中長期的に見れば長く上昇が続いている。もちろん短期的に見れば上昇と下落が繰り返されているし、一時に比べればその上昇率は緩やかだ。地金型金貨におけるプレミアム部分は、その金貨の価値を僅かに上昇させるだけであり、収集型金貨のように数倍にまで膨れ上がることはない。購入を検討するならば、金相場の推移を見守るのが一番である。

金価格がどこまで値上がりを続けるかはわからない。まだ伸び続けるのであれば今日にでも買うのがいいだろう。今日の値段から伸びた分だけ利益になる。しかし伸び続けてきた以上、そろそろ天井をついているのではという不安が芽生えるものだ。相場情報に目を光らせ、世界のニュースに聞き耳を立てるのが、金の買い時を逃さないために必要な行動である。

金と債券の違い

金は株式や債券といった「紙の資産」と違い、金そのものに実物としての資産価値が認められている「実物資産」だ。世の中の景気が良く世情が安定している時は「紙の資産」が価値を高めやすく、景気が悪く世の安定が損なわれている時は「実物資産」の価値が高くなると言う。

その観点からすれば、今の世の中はまだ不安定なのだろう。2017年は、米国にトランプ政権が誕生し、韓国では朴槿恵大統領が弾劾されるなど、日本にとって身近な国2つに大きな動きがある。この動きを不安要素と受け取るか、好転の契機だと受け取るか。それによって、金貨を購入するか否かの判断を下すことができる。(ZUU online 編集部)