Forbesが発表した、世界で最も稼いだDJの2017年ランキングで首位はEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のキングとも称されるカルヴィン・ハリスだった。5年連続のトップを維持した。年収は2016年6月からの1年間で4850万ドルだった。なぜDJがそこまで稼げるのだろうか?(文中敬称略)

カルヴィン・ハリスの横顔

(写真=Yuri Turkov/Shutterstock.com)

カルヴィン・ハリスはスコットランド出身のDJである。Facebookいいね、Twitterフォロワー、共に1000万人を超えているスーパースターだ。彼の音楽キャリアは2006年のデビューシングル「アクセプタブル・イン・ザ・エイティ―ズ」から始まった。UKのシングル・チャートで10位を記録する。

2008年には、イングランドのヒップホップMC、ディジー・ラスカルとの共演トラック「ダンス・ウィズ・ミー」でUKのシングル・チャート1位に昇りつめた。カイリー・ミノーグ、ケイティ・ペリー、カニエ・ウエストなどの楽曲をリミックスやプロデュースしたことにより大きく評価を受ける。

カルヴィン・ハリスが世界的に注目を浴びたのは、2011年に発表した、バルバドス出身の女性シンガーであるリアーナとのシングル「ウィー・ファウンド・ラヴ feat.カルヴィン・ハリス」だろう。全世界で大ヒットした。

トップDJの収入源は? なぜそこまで稼げるのか

「世界で最も稼いだDJ 2017」の2位はオランダのDJティエストで3900万ドルだ。カルヴィン・ハリスだけが飛び抜けて稼いでいるわけではない。3位以降は、アメリカの2人組ザ・チェインスモーカーズが3800万ドル、アメリカのスクリレックスことソニー・ジョン・ムーアが3000万ドル、日系アメリカ人スティーヴ・アオキが2850万ドルと続いている。

トップDJの収入は主に、パーティやツアー、フェスなどでのDJプレイによる「営業収入」と、自作曲の発表や大物アーティストへの楽曲プロデュースによる「印税収入」がある。リミックスやプロデュースの依頼にも少なくない金額のギャラが発生する。また、トップ級になると、これらに「企業との契約」が加わる。カルヴィン・ハリスは2014年から2016年半ばまでエンポリオ・アルマーニと契約していた。

セレブとの年収比較

フォーブスが発表した「世界で最も稼いだセレブリティ 2017」の1位は、アメリカのヒップホップ・ラッパーであるディディことショーン・コムズで1億3000万ドルだ。これはツアーの興行収入やウォッカのブランドとパートナー契約を結んだこともあるが、推定約7000万ドルともいわれる、自身のアパレルブランド「ショーン・ジョン」の株式売却益が半分以上を占めている。

2位以降は、アメリカの歌手ビヨンセが1億500万ドル、『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K・ローリングが9500万ドル、カナダ出身のラッパー兼俳優ドレイクが9400万ドル、ポルトガルのサッカー選手クリスティアーノ・ロナウドが9300万ドルと続く。日本人で唯一ランキングしているのは3390万ドルで92位のテニス選手、錦織圭である。

このランキングでカルヴィン・ハリスは40位だ。DJがセレブの範疇に入っているのはピンとこない方が多いだろう。DJという職業。日本のイメージとは、かなり違う。カルヴィン・ハリスが私生活において、2015年から約1年半、交際していたアメリカの歌手テイラー・スウィフトは4400万ドルと49位(2016のランキングでは1位)。当時は「最も稼ぐセレブ・カップル」と呼ばれていた。

日本でのカルヴィン・ハリスの知名度

日本で、カルヴィン・ハリスの名前が幅広い層に知られているかと問われると、まだまだ疑問符がつく。世界では、数年前からEDMの流行はバブルだと語る記事も多い。ただ、欧米の流行がピークから遅れて日本に入ってくることがある。

2017年、カルヴィン・ハリスはサマーソニックに単独DJとして初のヘッドライナーとして来日した。プロデュース作品「フィールズ feat. ファレル・ウィリアムス、ケイティ・ペリー&ビッグ・ショーン」が、日本テレビ系のテレビ番組「ザ!世界仰天ニュース」のエンディング曲に選ばれた。日本でもカルヴィン・ハリスを始めとするEDMの波が浸透していくかもしれない。(吉川敦、フリーライター)

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