3月5~9日の東京株式市場は一進一退となった。米保護貿易の拡大が警戒される中、週前半は上値の重い展開となったが、週末にかけてトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談が実現する見通しを手掛かりに反発した。日経平均株価の9日終値は前週末比287円56銭高の2万1469円20銭だった。

情報・通信業が半数を占める

(画像=PIXTA)

それでは、今回は東証マザーズ市場の「高PER(株価収益率)」ランキングをみていこう。

(1)ロゼッタ <6182> (連)1031.68倍
(2)MRT <6034> (連)972.63倍
(3)データセクション <3905> (連)765.00倍
(4)ALBERT <3906> (単)677.67倍
(5)ASJ <2351> (連)672.24倍
(6)ジーニー <6562> (連)584.19倍
(7)メディアシーク <4824> (連)520.73倍
(8)PKSHA Technology <3993> (連)488.06倍
(9)サンワカンパニー <3187> (単)462.16倍
(10)サマンサタバサジャパンリミテッド <7829> (連)448.04倍
※銘柄、証券コード、PERの順。(連)は連結、(単)は単体。

PERは、株価がEPS(一株当たり当期純利益)の何倍まで買われているかを示す指標である。その株価が割高か、割安かを判断する手掛かりとなるほか、もう一つの見方として、PERが高い銘柄ほど「(投資家の)成長期待が高い」と解釈することも可能だ。東証マザーズ等の新興株式市場は特にその傾向が強く、目先の業績よりも「将来の成長期待」で人気化する高PERの銘柄が多く見られる。

上記ランキングでは10位のサマンサタバサジャパンリミテッドが448.04倍、1位のロゼッタは1031.68倍である。業種別では情報・通信業が5銘柄と半数を占めるほか、サービス業が3銘柄、小売業、その他製品が各1銘柄となっている。

ロゼッタ、総務省が「AI通訳」後押しの報で急伸

今回は上記ランキングからロゼッタ、メディアシーク、PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)を取りあげる。

ロゼッタは東京都千代田区に本社を置くIT企業。オンライン自動翻訳の開発運営や、翻訳受託サービスを提供している。同社はWebページにて「我が国を言語的ハンディキャップの呪縛から解放する」との企業ミッションを掲げている。

ロゼッタ株は3月に入り一時急伸する場面が見られた。総務省が人工知能による「同時通訳システム」を活用した製品開発を後押しすると一部メディアで報じられたことが、個人投資家の連想買いを誘ったようだ。

ちなみに、ロゼッタが1月12日に発表した2017年3~11月期連結決算は、売上高が前年同期比5.8%増の14億円、営業利益は94.4%減の900万円、純損益は1700万円の赤字となっている。同社はこの背景について、機械翻訳の開発先行投資を優先しているためとしている。決算説明資料などによると、深層学習(ディープラーニング)の技術を活用し、医学や法務など専門分野での精度を飛躍的に高める機械翻訳技術を開発。今期12~2月期から、高精度化した機械翻訳を軸に販売体制を拡大するという。なお、同社は通期純損益について前期比90.6%減の1600万円の黒字とする従来予想を維持している。

ロゼッタのPERが1000倍超と飛び抜けて高い理由の一つに、EPSの低下が指摘される。同社のEPSは2015年2月期に約53円だったが、2016年2月期には約36円、2017年2月期に約17円、そして2018年2月期の予想EPSは1円61銭まで落ち込んでいる。同社が現在優先している開発先行投資が実を結び、EPSが3年前の水準に戻るだけでもPERは50倍前後に落ち着く計算となる。実際にそのような展開となるかはともかく、少なくとも市場では将来の成長に期待を寄せる向きが多いようだ。

メディアシーク、ブレインテック関連で人気化する場面も

メディアシークは、システム開発やスマートフォンの一般消費者向けサービスを手掛けるIT企業。創業当初はNTTドコモのインターネットサービス「iモード」用のコンテンツを手掛けていた。

1月16日、メディアシークはイスラエルのマインドリフトと協業し、日本国内向けに同社のブレインテック(脳神経科学)を活用した消費者向けサービスを提供すると発表した。メディアシーク株はこの発表を手掛かりに人気化し、2月末には一時900円台後半まで上昇する場面も見られた。

3月9日、メディアシークが発表した2018年1月中間連結決算は、営業損益が9400万円の赤字、純損益が6000万円の赤字となった。同社は通期について営業利益200万円、純利益1600万円の見通しを示している。長期的には先のマインドリフトとの協業等で結果を出せるかがキーポイントとなりそうだ。

PKSHA Technology、人工知能のアルゴリズム機能を提供

PKSHA Technologyは、深層学習など人工知能のアルゴリズム機能を開発するIT企業。アルゴリズム機能はソフトやハードに組み込まれ、コンピューターの知能を高める役割を果たす。

PKSHA Technologyは2017年9月にIPOを果たし、人工知能関連株として人気を集めている。主力製品は、顧客管理マネジメントソフトの「セラー」、動画像認識エンジンの「ヴァーティカルビジョン」、自然言語処理技術を使った対話エンジン「ベドア」で、初期設定時の手数料と、設定後のライセンス手数料が収益源となっている。

PKSHA Technology株はIPO後も上値を試す展開が続き、今年1月には1万6730円の高値を付けた。同社の連結予想EPSは29円32銭と上記ランキングで最も高く、業績的な裏付けがしっかりしていることも人気の背景にあるようだ。(ZUU online 編集部)

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