銀行の利息のように受け取れる配当金は、株投資をするうえで外せません。なかでも高配当を毎年続けている銘柄を探し出すことができれば、株投資も成功に近づきます。そこで今回は、高配当の優良株とはどのような株なのかを解説し、その探し方も合わせて紹介します。

目次

  1. 高配当優良株とは?
    1. 「高配当=優良」ではない、銘柄の見極めが重要となる
  2. 高配当優良株の見極め方
    1. 配当利回り3~5%
    2. 配当性向が過度に高くない
    3. 企業業績が安定している
    4. 配当金の変動が少ない
  3. 高配当株投資とは?配当利回りの計算の仕方
    1. 配当利回りが高い株に投資する=高配当株投資
    2. 配当利回りの計算方法
    3. 高配当株の目安は3%
  4. 高配当優良株の探し方
    1. 高配当優良株をスクリーニングするための入力項目
    2. 各証券会社のスクリーニング機能を比較
  5. 高配当優良株を見極めて資産形成をしよう

高配当優良株とは?

高配当株のなかには、「高配当優良株」と呼ばれる銘柄があります。高配当だけでなく優良と呼ばれる株は、一体どのような特徴があるのでしょうか。

「高配当=優良」ではない、銘柄の見極めが重要となる

配当利回りが高ければ高いほど優良だと思いがちですが、配当利回りの算出には株価が関係してきます。そのため同じ100円の配当金であっても、株価が5,000円のときと1万円のときでは配当利回りが大きく異なるのです。

高配当株のなかには、こうした株価の下落によって配当利回りが高くなってしまっているものもあります。米国大統領選挙のような政治、経済的ニュースでの一時的な株価の下落によって高配当優良株だと思い飛びつくのは危険です。

高配当優良株の見極め方

高配当優良株を見極めるためには、配当利回り以外にいくつかのポイントを押さえておく必要があります。代表的な4つの見極め方を紹介します。

配当利回り3~5%

高配当銘柄のなかには、8%を超えるものもしばしば見られます。高配当であることから優良株だと思いがちですが、配当利回りが異様に高い銘柄も避けたほうがよいでしょう。

高配当株になるためには、増配するか株価を下げるかしかありません。このうち、株価が下がっている場合には注意が必要です。株価が下がっているということは、将来業績の悪化が不安視されていることも考えられます。配当利回りは3~5%を目安に、企業の業績研究をするとよいでしょう。

配当性向が過度に高くない

そのほかにも高配当優良株の見分け方として、配当性向を用いることもあります。前述の通り、配当金は純利益から捻出されます。その純利益のなかからどれだけの割合を配当金として還元したのかを表すのが配当性向です。計算式は以下の通りです。

配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100

この配当性向が50%程度である銘柄が高配当優良株といえます。企業は成長し続けるために、出た利益を事業投資に回すことは珍しくありません。仮に、純利益のほとんどを配当金として株主に還元していた場合、業績が悪化し純利益が減額してしまった年度は配当金が減配することになるでしょう。

一方で配当性向が50%以内であれば、もし業績が悪化し純利益が半分になったとしても、物理的には過去と同じ配当金を出せるのです。配当性向が異様に高い銘柄は、業績が悪化したときに株価の下落だけでなく減配になる可能性もあります。

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企業業績が安定している

配当金は純利益から捻出します。純利益とは、企業が稼いだ売上から原価や販売費、一般管理費を引き、本業以外での利益や損失を差し引いたあとで税金を支払ったあとの、最終的に手元に残ったお金のことです。純利益の使い方は主に2つあります。再度事業に投資して企業の成長に使うことと、配当金として株主に還元することです。前者の場合は、成長性があり株価の上昇が期待できる企業であるグロース株に多い傾向です。

グロース株は、成長のスピードにより業績が大きく伸びることが期待されます。そのために、企業は純利益を再度投資し、成長し続けることを優先します。結果、配当利回りが低くなることが多いのです。

一方、成長期が過ぎ業績の安定している企業は、グロース株ほどの再投資は必要ありません。再投資に使う純利益を配当金として株主に還元することが多いのです。業績の安定している企業を選ぶことは、高配当優良株選定の大切なポイントです。

配当金の変動が少ない

配当利回りは、配当金と株価によって決まります。そのため、配当金額の上下が激しいと配当利回りも安定しません。配当金の変動は過去の配当を見るとある程度わかります。同じ水準で継続して配当を出している企業は、今後の配当も安定していると推測できます。配当金の安定は、前項で紹介した業績の安定にも通じる部分があるでしょう。

高配当株の売買は、手数料が安い証券会社で行う

高配当優良株を見極めて売買を行えば、安定した利益を得られる可能性が高くなりますが、その際注意しておくべきなのが取引の手数料です。手数料の高い証券会社で取引していると、せっかく利益が発生してもその恩恵を十分に得ることができません。

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高配当株投資とは?配当利回りの計算の仕方

株式投資における銘柄選びにおいて、よく話題に上るものに「高配当株」があります。これは、一体どのような銘柄なのでしょうか。まずは高配当株の特徴と、利回りの計算方法を紹介します。

配当利回りが高い株に投資する=高配当株投資

高配当株とは配当利回りが高い銘柄のことです。配当利回りとは、1株あたりの配当金の割合のことです。上場している企業の多くは、事業で得られた利益を株主に配当金として還元しています。配当金の割合は企業によっても異なるため、より高い利回りの銘柄が人気を集めることもあります。

配当利回りの計算方法

配当金が100円のA社と配当金が50円のB社だと、A社のほうが高配当だと思いがちです。しかしどちらが「高配当」かは配当金の額だけではわかりません。重要なのは配当利回りです。配当利回りは、以下の計算式を用いて割り出します。

配当利回り(%)= 1株当たりの年間配当金額 ÷ 1株あたりの株価 × 100

上記の計算式を用いて、先ほどの2社を比べてみましょう。100円の配当金があるA社の株価が1万円の場合、計算式に当てはめると配当利回りは1%になります。配当金50円のB社の株価が500円の場合、計算式に当てはめると配当利回りは10%です。配当金額はA社のほうが高いですが、配当利回りではB社が上回っていることがわかります。

高配当株の目安は3%

一般的に、高配当株と呼ばれる目安は3%です。2020年11月12日時点の日経平均予想配当利回りは1.8%です。平均を少し上回る程度の配当利回りになると、高配当株と呼ばれます。
 

高配当優良株の探し方

ここまで、高配当優良株について、どのような銘柄で、どの部分を確認するべきかを解説しました。では、高配当優良株は具体的にどうやって探せばよいのでしょうか。多くのネット証券では、スクリーニングツールと呼ばれる株を選別する機能を使うことができます。数多くの銘柄の中から、自分に合った条件のものを一瞬で見つけられるため、高配当優良株を探したいときに役立つでしょう。

以下では、ネット証券のスクリーニング機能を利用した高配当優良株の探し方を紹介します。

高配当優良株をスクリーニングするための入力項目

スクリーニング機能には、自分に合った銘柄を選別するために多彩な項目が存在します。高配当優良株を探したいときに入力したい項目を見ていきましょう。

・配当利回り:3~5%

配当利回りは、前項で紹介した通り高配当株にとって必要不可欠です。スクリーニングツールによっては、「実績配当利回り」と「予想配当利回り」が存在することもあります。実績配当利回りは、実際に支払われた配当金から配当利回りを計算したもので、予想配当利回りは予想年間配当金をもとに配当利回りを計算しています。

企業の業績次第では今後の配当金が修正されることもあるため、実績配当利回りを採用するほうが無難でしょう。

・時価総額:4,000億円以上

時価総額とは、企業規模の基準になる値です。株価×発行済株式数で計算され、時価総額が大きくなるほど、企業の規模も大きくなります。高配当株を選ぶためには、安定した業績が大切だということを前記しましたが、業績の安定には企業の規模も重要になります。

企業規模が300億円ほどの企業であれば、まだ若く業績の成長性が不透明なことから配当金が安定しない可能性もあるでしょう。反対に、スクリーニング条件で時価総額を1兆円まで大きくしてしまうと、該当銘柄が極端に少なくなってしまいます。4,000億円を目安に調整してみるとよいでしょう。

・PER:13倍以下

PERとは、株価収益率のことです。PERは1株あたりが生み出す純利益を表しており、「PER=1株あたりの株価÷1株あたりの純利益」で求められます。数値が小さくなるほど割安になり、株を購入するタイミングの判断に役立ちます。割高の株を購入すると、株価が下落する可能性もあるでしょう。業種によってPERの数値の平均は異なるため、13倍以下を目安に企業によって臨機応変に対応するとよいでしょう。

・営業利益率

企業が生み出す利益率は、5つに分類されます。「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」「税引き前当期純利益率」「当期純利益率」です。そのなかでも高配当優良株探しに重要なのが、営業利益率です。営業利益とは、企業が本業により稼いだお金のことを指します。

そのため、営業利益率が低いと、本業で利益を出せていないことがわかります。その場合、高配当であっても優良株と呼べなくなるため、高配当優良株を探すときは大切な項目です。

そのほかにも、自己資本比率やROE(自己資本利益率)など、スクリーニングに組み込んでもよい項目もあります。自分が欲しい銘柄や条件に合わせて項目や数値を変更して探してみましょう。

各証券会社のスクリーニング機能を比較

スクリーニングツールは無料サイトのものもありますが、各証券会社にて用意されていることもあります。以下では、証券会社ごとのスクリーニングツールの特徴を見ていきましょう。

・SBI証券

SBI証券は、国内株式や外国株式など幅広い銘柄を扱っている大手ネット証券会社です。国内株式では、配当利回りやPERなどの項目はもちろん、自身の資金に合わせた「投資金額」など、100を超える項目からスクリーニング条件を選べます。そのほかにもアナリストなどの専門家が市場を予想した数値に基づいた「コンセンサス情報」もあるため、プロの目を借りることができるのです。

また、国内株だけでなく米国株式を購入したい人は、米国株用のスクリーニングツールもあります。50ほどの項目から自分に合った条件を選ぶことができます。国内株式も米国株式も、指定した項目を「Myスクリーナー」に保存することも可能です。

・楽天証券

楽天証券のスクリーニング機能には、アナリストによるコンセンサスレーディングや財務など多彩な項目があります。そのほかにも東証33業種の中から業種を絞り込むことが可能です。そのため、現在盛り上がっている業種や、自分と相性がよい業種などに絞り込むことができます。

またインターネットだけでなく、スマホ楽天証券アプリ「iSPEED(アイスピード)」でもスクリーニングが可能です。

・マネックス証券

マネックス証券のスクリーニングツールでは、配当利回りやPERなど60項目のほかに、テーマ別に検索ができます。株主優待や話題になっている旬なテーマなど、1,200を超えるテーマがあります。テーマをランキングで見ることも可能です。

そのほかにも「チャートフォリオ」と呼ばれるチャートの形状からも探せます。上昇している銘柄や下がっている銘柄など、チャートから分析して選定したい人に向いています。チャートの形状が図形で表示されているため、投資初心者の人にもわかりやすく使いやすいでしょう。

・auカブコム証券

auカブコム証券が提供するスクリーニングツールでは、200を超える条件によりスクリーニングが可能です。タブレット端末にも対応しているため、パソコンでなくてもスクリーニングできるのが特徴です。検索結果の表示は、ひと目でわかりやすいようにグラフ化されています。チャートや財務、セクター別などに応じて見分けることが可能です。

ファンダメンタルズと呼ばれる経済指標がひと目でわかります。そのほかにも盛り上がっている業種別にサーモグラフィのような色分け表示もされています。

高配当優良株を見極めて資産形成をしよう

高配当株投資は、配当利回りが高い銘柄に投資する手法です。配当利回りは、配当金のほかに選定時点の株価も影響してくるため、株式市場の騰落によって変わります。配当利回りは、日によって上下することから、高配当株の中から優良株を見極めることが重要です。その際に使えるのが、ネット証券などのスクリーニングツールです。配当利回り以外にも、自分が気になる条件を入力することで最適な銘柄を探すことができます。

また、高配当優良株を検出できたからといってすぐに購入せず、企業サイトで財務やリリース情報を調べるなど分析したうえで、投資をしましょう。
 

丸山 希
フリーランスライター。第3子出産を機に、2018年11月より資産運用を開始。NISAでETFやREIT、個別株の売買を行う。その後は米国株へも挑戦。投資をきっかけに政治や経済などお金のことに興味を持ち、より知識を深めたいとの思いから、現在FP2級取得を目指している。

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