東京で最も高級感あふれる街と言えば、やはり「銀座」の名を挙げる人が多いだろう。目抜き通りを歩けば、高級ブランドのブティックが立ち並び、綺麗に着飾ったマダムの姿を多く見かける。そのような銀座マダムだけではなく、今や訪日外国人にとっても「銀座でショッピングする」ことがひとつのステータスになっているそうだ。

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その銀座を象徴する施設が百貨店だ。そこで、銀座を代表する百貨店の「三越」と「松屋」、日本百貨店協会には加盟していないものの高級専門店として有名な「和光」の3つについて、それぞれの特徴や歴史、業績などを見ていこう。

銀座三越

銀座三越は百貨店最大手の三越伊勢丹HD <3099> に属している。1673年に三井高利が創業した越後屋が、その後三井家の姓を取った「三井呉服店」の名を経て、1904年には「三」と「越」を取った「三越呉服店」へと変遷を遂げる。この際に「デパートメントストア宣言」がなされたことから、日本初の百貨店としての位置づけが確立することになる。

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銀座のど真ん中、4丁目交差点にあって、地方からの観光客が「待ち合わせ場所」としても活用している銀座三越は、1930年に開店した。伝統を重視する一方で常に革新的な試みが展開され、それらが融合して幅広い顧客層の心を捉えている。重厚な高級品から最新のファッションまでが取り揃えられていることはもとより、地下鉄に直結する「デパ地下」には、「内食」が楽しみになる様々な惣菜が並んでいる。

三越伊勢丹HDの2017年3月期の連結売上高は1兆2535億円で、経常利益が274億円だった。2018年3月期は売上高が微増するものの、経常利益は200億円程度に留まる見込みだという。百貨店という業態自体が難しい時代を迎えるなか、「飾る日も 飾らない日も 三越と」「This is Japan」という同社のキャッチフレーズが、どんな世代にも愛される店舗戦略にどう生かされていくのか。銀座の重鎮の今後に注目したい。

松屋銀座

松屋 <8237>は銀座本店と浅草店の2店体制をとっている。松屋の歴史は、1869年に初代古屋徳兵衛が横浜石川町に鶴屋呉服店を創業したことに始まる。その後、1890年には神田今川橋の松屋呉服店を買収して東京に進出。同店は1907年には三階建ての洋風に増築され、本格的な百貨店としての歩みを始めた。

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そして関東大震災で主要店舗を焼失する試練を経ながらも、1925年には銀座3丁目に翌年には銀座本店となる銀座営業所を開業。下足預かりの廃止や百貨店初のカフェテリア式大食堂の設置、安本亀八の「活人形」を店飾りに用いるなど、百貨店の大衆化を象徴するような独特の文化を形成してきた。

銀座本店は戦後の7年間、GHQによるPX(Post Exchange)として全面接収されていたが、1952年に接収が解除されると、翌年には全館を新装オープンし、以降は銀座文化を牽引するかのように独自性に満ちた情報発信を続けている。

松屋による「銀座の文化」とは、伝統と革新、国際性と地域性が共存することだという。松屋のスペシャリティとは、「変化し続ける老舗」として「挑戦と創造」の精神を持ち続けること。また、「ファッションとデザインが交差する店」を目指すこと。そして「ホンモノの徹底追及」と「スマートな美意識」、「絆を大切にする心」など、その精神のいずれもが店舗戦略の端々に活かされていることが分かる。

松屋の2017年2月期の連結売上高は863億円、経常利益は13億円だったが、2018年2月期は曜日廻りによる土日数増や春節期間のずれなどがプラス要素となったこともあり、売上高は2桁台の伸びとなりそうだという。特に銀座店の好調が、食品が伸び悩みで前年比微減の浅草店を大幅にカバーしているのだという。

銀座和光

中央通りを挟んで三越銀座と対峙しているのが、屋上に高々とSEIKOの大時計を掲げる「銀座和光」だ。三越や松屋が幅広い顧客を対象としているのに対し、和光は生粋の東京人にのみその存在を示しているかのように、ある意味高潔な印象を保っている。ショー・ウィンドウを飾っているのも、高級な腕時計や宝石、ブランド物のバッグなどばかりだ。

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1881年に創業した服部時計店、現在のセイコーHD <8050> は、1895年に銀座4丁目で営業を開始した。和光は1947年、同店の小売部門を継承して設立されたものだ。戦後のGHQによるPXとしての接収を経て、再び営業を開始した和光の時計台は、大掛かりな補修の後に2009年には経済産業省により「近代化産業遺産」に認定されることになる。

現在も和光は、セイコーHDのグループ企業に属する1社として、時計や宝飾品、服飾品、室内装飾品、美術工芸品、眼鏡、食品などを販売する高級専門店として君臨している。無意識のうちにブランドとしての「東京」を身にまとっている人たちには、着慣れたビロードの服のようにフィットしている存在なのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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