高いリターンが狙える投資手段の一つとして「投資型クラウドファンディング」への注目度が高まっています。なかでも「株式投資型クラウドファンディング」は、IPOを狙える未上場企業に投資できることから、投資家の人気を集めています。投資型クラウドファンディングの仕組みや注意点について解説します。

目次

  1. 1.投資型クラウドファンディングの注目度が高まりつつある
    1. 1-1.投資型のメリット・デメリット
    2. 1-2.融資型のメリット・デメリット
    3. 1-3.寄付型のメリット・デメリット
    4. 1-4.購入型のメリット・デメリット
  2. 2.投資型クラウドファンディングの人気の理由は?
    1. 2-1.FUNDINNO(日本クラウドキャピタル)
    2. 2-2.Go Angel(DANベンチャーキャピタル)
    3. 2-3.GEMSEE Equity(SBIエクイティクラウド)
    4. 2-4.ユニコーン
    5. 2-5.イークラウド
    6. 2-6.未上場企業の株式に投資できる
  3. 3.投資型クラウドファンディングの始め方
    1. 3-1.事業者を選んで口座開設する
    2. 3-2.投資する案件を選ぶ
  4. 4.投資型クラウドファンディングの注意点
    1. 4-1.元本が保証されていない
    2. 4-2.基本的にキャンセルができない
  5. 5.オルタナティブ資産としての注目も大きい

1.投資型クラウドファンディングの注目度が高まりつつある

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(画像=designer491/Shutterstock.com)

クラウドファンディングとは、インターネット上で多数の資金提供者から少額ずつ資金を集め、新規・成長企業などに投資をする仕組みのことを指します。「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」を組み合わせた造語です。

クラウドファンディングは、「資金を必要とする法人または個人」と「資金提供者」「その両者を仲介するクラウドファンディング事業者」の3者で構成されます。クラウドファンディングにはいくつもの種類があり、分け方もそれぞれですが、おもな出資の形式には以下の4つがあります。

1-1.投資型のメリット・デメリット

投資型は、投資家から集めた資金を運用した収益の一部を金銭で分配するタイプです。未上場株式に投資する「株式型」と、ファンドの持分所有者となって成果配分を受け取る「ファンド型」に分かれます。

投資型のメリットは、ほかのタイプよりも高いリターンを得られることです。株式型では投資した会社が上場した場合に、株価によっては大きなリターンになる場合があります。1万円から投資できる手軽さもメリットです。未上場株式ですので、持っているだけでは株価の変動リスクがありません。

デメリットは、原則として途中解約ができないことです。最短で1ヵ月、最長で36ヵ月保有する必要があります。また、投資ですので元本割れとなる場合があります。さらに、投資したプロジェクトが途中で中止になることがあるので要注意です。

1-2.融資型のメリット・デメリット

融資型は、中小企業や個人などの借り手に対して一般の投資家が資金を提供するタイプです。ソーシャルレンディングともいわれます。

融資型のメリットは、高い金利で融資できることです。銀行に預けるよりもはるかに高い金利を得られるので、超低金利の状況では魅力的な投資先といえます。株式やFX(外国為替証拠金取引)のような値動きはないため、リスクは低いといわれています。

デメリットは、倒産リスクがあることです。銀行融資が受けられない企業がクラウドファンディングを利用することがあるため、貸し倒れになる可能性はあります。

1-3.寄付型のメリット・デメリット

寄付型は、認定NPO法人、自治体、学校法人など、非営利で活動している団体に寄付するタイプです。たとえば、絶滅の危機にある二ホンライチョウを残そうというプロジェクトには、2,626万5,000円もの寄付が寄せられています。このように、自分が共感できるプロジェクトに寄付できるのが寄付型に多くの資金が集まる理由と考えられます。

寄付型のメリットは、公益団体に寄付した場合は領収書を添付して確定申告すると寄付金控除を受けられることです。同時にプロジェクトを支援することで、社会貢献にもなることから、精神的な充実感を得られることもメリットです。

デメリットは、活動報告が送付されること以外にリターンがないことです。もっとも、寄付を通してプロジェクトを支援することが目的ですので、リターンがないことは想定内であり、デメリットともいえないかもしれません。

1-4.購入型のメリット・デメリット

購入型は、特定のプロジェクトを実施する者が支援を募り、支援者はプロジェクトに関連する商品・サービスをリターンとして得る仕組みです。

購入型のメリットは、出資する代わりに商品を貰える場合があるので、まだ販売されていない新商品が手に入るケースがあることです。イベントへの参加も同様です。また、映画製作のプロジェクトに出資した場合は、エンドロールに名前が出ることがあるのも、映画ファンなら大きな魅力になるでしょう。

デメリットは、プロジェクトが必ず成功するとは限らないことです。プロジェクトが進むにつれて追加資金が必要になり、工面できずに中止になるリスクは常にあります。

クラウドファンディングのなかでも、もっとも市場規模の大きいものは「融資型」ですが、昨今では、投資型クラウドファンディングの人気も高まっています。日本証券業協会の発表によると、2018年の投資型クラウドファンディング発行価額(普通株)総額は12億7,545万円。前年2017年の4億7,274万円から大幅に拡大しています。

2.投資型クラウドファンディングの人気の理由は?

投資型クラウドファンディングのなかでも、株式投資型クラウドファンディングは新規・成長企業へのリスクマネーの供給を目的として2015年に創設されました。

現在、株式投資型クラウドファンディングを提供している主なサービスは以下の通りです。

2-1.FUNDINNO(日本クラウドキャピタル)

株式投資型クラウドファンディングで国内シェア№1を誇ります。扱う企業のビジネス領域は、医療、アグリテック、海洋ビジネス、ブロックチェーン、コワーキングスペース、ロボットなど。インターネットで10万円から投資が可能です。普通株のほかに、当該企業が新株を発行した際に交付を受けられる「新株予約権」も取り扱っています。普通株は未上場ながら株主優待を受け取れる案件もあります。

2-2.Go Angel(DANベンチャーキャピタル)

2017年から募集を開始したサービスで、これまでに9銘柄の募集が成立しています。第1号案件「株式会社マルチブック」の場合、発行価額5万円で、合計2,000万円の資金を調達しています。

2-3.GEMSEE Equity(SBIエクイティクラウド)

ネット証券最大手SBIグループのクラウドファンディング運営企業で2017年設立。2020年7月に現社名になったばかりです。募集が終了した「株式会社One Terrace」は2,825万円の資金を調達しました。この会社は50株25万円から募集したため、株価に換算すると1株5,000円となります。

2-4.ユニコーン

2015年設立。「企業成長丸ごとサポート」というサービスで、企業IRや株主総会の運営などを支援しています。百数十社の企業の上場をサポートしてきた投資銀行や証券会社出身のIPOのプロが多数在籍しているのが特長です。終了した案件のなかでは、バイオベンチャーの「トレスバイオ研究所」が調達目標1,000万円に対し、2,330万円の資金を集めています。

2-5.イークラウド

2020年7月に1号案件の募集を開始した比較的新しいサービスです。1号案件は長野県上田市にある「地元カンパニー」という企業で、47都道府県の地元商品を法人ギフト中心に販売する事業を展開しています。同社の場合、10株10万円から募集したため、株価に換算すると1株あたり1万円という計算になります。

2-6.未上場企業の株式に投資できる

株式投資型クラウドファンディングの最も大きなメリットは、未上場企業の株式に投資できることです。投資した企業が株式上場(IPO)したり企業売却(M&A)したりすれば、投資家は大きな売却益を得られる可能性があります。

とくに東証マザーズなどに新規上場する株式は、IPO公募の段階から高い競争率になり、抽選に当たることは難しいことが定説になっています。株式投資型クラウドファンディングは、IPOが期待できそうな企業に先行投資できることから、投資家の注目を集めているのでしょう。

未上場の若い企業をスタート当初から応援できることも魅力の一つです。募集企業のビジネスモデルや商品などの情報をチェックしながら、少額出資でベンチャーキャピタリストになったような気分を味わえます。

また、一定の要件を満たし「エンジェル税制」の対象となる企業に投資した際には、税金面の優遇を受けることができるのもポイントです。エンジェル税制では2つの優遇措置のいずれか1つを受けることができます。

1つは、設立5年未満の企業に投資した場合、投資した金額から2,000円を引いた金額を、その年の総所得金額から一定の金額まで控除できます。もう1つは、設立10年未満の企業に投資した全額を、その年のほかの株式譲渡益から控除できます。

ただし、投資家は1社につき年間50万円以下の払込額に限定されるので注意しましょう。

3.投資型クラウドファンディングの始め方

投資型クラウドファンディングはどのように始めればよいのでしょうか。未上場企業へ投資するだけに、どの事業者や投資案件を選ぶかが極めて重要になります。

3-1.事業者を選んで口座開設する

はじめに、事業者を選んで口座を開設する必要があります。最近では投資型クラウドファンディングを扱うプラットフォームが増えているため、各社とも特色を出すことに注力しています。出資額の基準も異なりますので、各プラットフォームのホームページを参考に、自分の投資方針と合っていると思える事業者を選ぶようにしましょう。

事業者を選んだら、次に会員登録し、クラウドファンディング用の専用口座を開設します。

3-2.投資する案件を選ぶ

口座が開設されたら、投資する案件を選び投資を行います。募集案件ごとに詳しい募集要項が掲載されているので、よく読んだ上で投資の判断を下すようにしましょう。一般的に利回りが高いとリスクも高くなるといわれています。初めての投資なら運用期間が短めの案件を選んで、投資型クラウドファンディングの仕組みに慣れるのもよいでしょう。

購入資金は、株式と同じくあらかじめ口座に入金しておく必要があります。

4.投資型クラウドファンディングの注意点

投資型クラウドファンディングを始めるにあたっては、以下のような注意すべき点があります。

4-1.元本が保証されていない

1つめは、投資型クラウドファンディングは元本保証ではないことです。投資対象が将来性あるベンチャー企業のため、貸し倒れや倒産が発生した場合は投資資金を回収できないことが考えられます。また、投資対象が海外企業の場合は為替差損が発生して元本割れとなるケースもあり得ます。未上場の成長企業に先行投資できる半面、リスクが高いことも心得る必要があります。

4-2.基本的にキャンセルができない

投資型クラウドファンディングは募集完了後にキャンセルすることができません。ただし、募集が完了する前であれば原則としてキャンセルできます。キャンセル料が発生しない事業者もありますので、各社のホームページで確認するとよいでしょう。

5.オルタナティブ資産としての注目も大きい

株式や債券などの伝統的資産に対して、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(未公開株)などの資産を「オルタナティブ資産」といいます。伝統的資産だけでは難しいリスク分散を実現する投資手段として、オルタナティブ資産への注目が集まっています。

オルタナティブ資産への投資は、従来、機関投資家や一部の富裕層だけのものでしたが、クラウドファンディングの登場によって個人にも身近なものとなりました。

ただし、クラウドファンディングは高いリターンが期待できる反面、リスクも大きい投資手法です。投資したところで、将来のIPOやM&Aによる売却益が必ずしも実現するとは限りません。場合によっては、投資先企業が倒産して元本がゼロになる可能性もあります。

とはいえ、クラウドファンディング市場規模は今後も拡大する見込みです。リスクも念頭に置きつつ、オルタナティブ資産の一つとしてポートフォリオへの組み入れを検討してみるのもよいでしょう。

※本記事は2020年11月13日現在の情報を基に構成しています。内容は変更になる可能性がありますので、投資型クラウドファンディングに申し込む際は、運営企業のホームページで最新の情報をご確認ください。(提供:YANUSY

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