億り人の投資哲学をお届けする連載第2弾では、IPO投資法で資産2億円超を築いたJACKさんが、投資仲間としても親交があるwww9945さんから投資哲学や伸びる投資家の特徴を引き出していく。(聞き手:JACK氏、編集:押田裕太)
【億り人の投資哲学シリーズ】
・逆張り投資はお金持ちの戦略? お金持ちになるには順張り投資(夕凪さん)
・伸びる投資家は使わない「2つの口癖」とは?(夕凪さん)
・資産5億円超の投資家は「伸びる企業」をどう見つけるのか?(www9945さん 後編)
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?(JACKさん)
www9945さんの投資との出会い
――まずは最初に投資を始めたキッカケから。
お金をもうけたい、どんな金融商品でもいいから配当金生活をしたいと思ったのがきっかけですね。社会人になりたてだったので私が24歳のときです。当時、投資の神さまとして雑誌を賑わせていた台湾の実業家 邱永漢(きゅう えいかん)さんが「マネージャパン」(現在は廃刊)という雑誌で巻頭特集を組んでいたのを目にしました。お金のことについてお話されていて、投資を始めれば儲かり、かつ経済の勉強にもなると思ってはじめました。
──すごい早いですね。社会人になりたてで。
学生時代にバックボーンがあって、本当はやっちゃ駄目ですけど、競馬とか麻雀とかやってたので。あと、大学のときに将棋部でした。
──やっぱり、勝負ごとが好きだったんですね。
学生時代、円高・金利安・原油安の「トリプルメリット」で東京電力や金融株が暴騰していたんですよ。騰がった理由が不思議で新聞だけは見ていました。値動きは見ていたけど、やりはしなかった。
さかのぼると、僕が子どものとき、人生ゲームやボードゲームが流行っていて、僕の祖母が色々と買い与えてくれたので、ゲームが好きだったんですよ。そういう下地があったから、すっと株に入れました。
──今おいくつになるんでしたっけ?
今ね、50代。
──そこが僕と違って早い。すばらしい。会社に入って稼ごうとか出世しようとかしないで、すぐそっちで資産を増やそうって開眼されたのは、すごいですね。
会社が合わないっていうのがありました。営業が合わないっていうか。社会人になって当初、営業に回されたんですよ。私のスキル的に営業はありえない。
──でも、そんなに人見知りしないし、喋れるし、とっつきやすいですけどね。
投資だから話しやすいのかもしれないけど、ひとつのことを話すのは好きです。自分の心に負担が掛かってしまって。だからもう現実逃避です、そっちは嫌だって。で、こっちにきたということです。(笑)
──当時は今みたいにネットとかの情報がないから、会社が終わってから、マネー誌とか新聞で調べていたんですか?
だいたい15時45分に駅の売店に日経の夕刊が出てるんですよ、前場の終値が。それを見たいがために、何分か前から待機して、新聞出てきたらばっと取る。
──売店のおばちゃんからすれば、また来たなって(笑)
そんな感じ。媒体はラジオ短波だけでした。仕事が合わなかったので、早々と逃避行動を起こしているんです。
──凄いと感じることがあって、目標の資産金額を既に決めていたんですね。
投資を始めた当時は金利が5%くらいでしたが、だんだん金利が下がってきました。株価も高かったので、配当利回りは1%〜2%くらい。配当金生活というのは、ちょっとありえなかったんですよ。それだったら定期預金の金利のほうが高いのでね。最初は株のキャピタルゲインを定期に回してその利息で回していく構想でした。
そのうち、株の配当利回りが高くなったので、ちょっと数字を組み替えて、株の配当金で生活するという形になってきて、だんだんと現実的になってきました。当時は株価自体が下がったとはいえ、まだPERがものすごく高かった時代でした。40倍、50倍は当たり前だし、動いているものは仕手株ばっかりでしょ。だからやっぱり一般の人のイメージどおり、うさんくさくて、多額なお金を使わなくちゃもうけられない。基本1000株単位でしたからね。
投資資金の貯め方――まずは何に使っているかを冷静に分析
──種銭はどうしたんですか?当時は手数料も高いし、レバレッジもないですから、とにかくお金が必要でしたよね?特に社会人1年目は給料も多くないだろうし。かなり色々なことを我慢して大変だったんじゃないですか?
種銭は1年半かけて貯めましたが大変でしたよ。営業が早めに終わった夕方なんかは、銀行預金の通帳を握りしめ、「まだ14万円か。まだまだだな。早く貯まんねーかなー」って(笑)
まずはじめに、自分は1日のうちに何にいくら使っているかっていうのを把握しました。入ってくるお金に対して、何にいくら使っているかっていうのを冷静に分析する。家計簿つけると挫折するので、メモ帳に金額と項目だけ。それでいかに無駄な金を使っているかというのが、わかりはじめたんです。
──ちなみに、記憶があればで良いのですが、何が無駄でした?
やっぱり缶ジュースですね。
──やっぱりボディブローのように……
外回りするとけっこう飲んじゃう。タバコは吸わないので、タバコ代は掛かっていませんが。
20代って食べ盛りじゃないですか。納豆メーカーに勤務していたので、けっこう高級な納豆を3個パックくらい買って、ご飯にかけてガツガツ食べていました。飲み代は、先輩がおごってくれましたね。で、もうおごられまくり。悪いなーってかんじでしたね。あと、本当に20代はひどくて、同窓会で二次会行こうってなるじゃない?お金がかかるから自分は途中で逃げちゃう。
──私も多少お金に余裕出てきても、結婚式の二次会なんて意味ないって、帰っちゃう。ああいうのも今の人たち見ていると二次会まで行って1万使っちゃう。1万を4~5回我慢すれば、5万円で株買えるよって(笑)
そうやって色々な出費を浮かして、株式積立とか、積立プラチナパックとか色々やったんだけど、やっぱり株がシンプルでいいと。4年〜5年かけてほとんど株にシフトしていった。
──その中で投資スタイルを見つけたんですか?
まだ1997年の山一が倒産したときなんで、めちゃくちゃひどかった。もみ合いながら下がってく。どこ買っても無理なんです。投資をはじめて10年のうちを前半と後半に分けると、最初はそうでした。
──あと、とりあえず配当も入ってくるからっていうのがあるから。
あるけど、素人なので半分下がったらスッキリしたい。売ったら3日後に反転しましたね。
──わかります。自分が売った瞬間に上がる、俺天才かなって(笑)自分が買ったら下がるっていうのはいまだにね。
【「“億り人”の投資哲学」シリーズ】
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?(JACKさん)
・資産5億円超の投資家は「伸びる企業」をどう見つけるのか?(www9945さん 後編)
www9945さんの投資スタイル
──手法・スタイルについてもう少し詳しく教えてください。
配当金をベースにしながら、それを担保にして信用で株式を買うという形ですね。
──ほかに配当利回りの水準やPER、特定業種などあります?
最近、国内銘柄は少なくてね。アベノミクス当時の配当利回り4%とか5%とか。
──配当だけで4%〜5%とかなかなか無いですからね。頑張って3%くらい。
なので今は外国株ですね。配当利回りが良いので。
──逆に戻ればそのスタンスに戻す?
もちろんもちろん。本当はそっちに行きたいんですけど、なかなかなくて、今はちょっと辛い。
──でもそういうスタイルが身についているから、現金で預けておくのが死ぬほど嫌だから、とりあえずなんでも買っちゃう。
そうです。あと最近はインフラファンド。
──あれよく最近色々な方が勧めてますよね。約10年くらい堅い分配金だってことで。
今5〜6%くらいですよね。だからそれをちょっと買ってみたいなと思って。まだ買ってない。私が買うとすると、それをベースにして担保にできますよね。株と一緒なので。それを土台にして、10銘柄くらいを信用取引で買うみたいな。
──その信用で買う銘柄も、配当とかバリューとか、値動きは激しい?どういった着眼点で選ぶんですか?
基本はグロース狙いですが、PERが30倍〜40倍とかだと買いたくないですね。
──やっぱりそこはあるわけですね、基準みたいなの。
街角ウォッチングして良いなと思っても、さすがにPER高いなと思ったら買わない。13倍〜17倍の間くらいでしょうかね。
四季報は「9000番台」から読む 前から読むと飽きてしまう
――今日は四季報をお持ちで。ちなみに発売されてどのくらいで読破されるんですか?自分は最近、全部読めなくなっちゃって、老眼で。
疲れますよね。ひとつかふたつあればいいやって。だから途中でやめることもある。なぜかというと、10、20銘柄見つけてしまうんですよ。ただ信用の買いが増えていくという恐ろしいことになるので。
あとよく言うのは、四季報は後ろから読む。1000番台はつまらないから読まない。さぁ読むぞって気合入れてるときに、全然つまんないと萎えちゃうでしょ。勢いがかたまっているのは9000番台ですかね。あと2000〜3000番台。
──東証二部の変な漢字二文字の人気なさそうな銘柄とか誰も知らないような銘柄を、「JACKさんこれ、面白いよ」って教えてくれますよね。 「何これ、どこ?初めて聞く!」みたいな、しかも超出来高が低い銘柄(笑)
もし、ツイッターでつぶやかれたら、みんなが少しずつ買ってもストップ高を付けてしまうような銘柄だったりします。
億り人の投資スタイルは面倒?「100人中ひとりがやればいい」
──今の投資スタイルのキーワードとしては、「バリュー投資」と「ベトナム株」ですよね?とりあえずベトナムはまだ主力ですか?
ベトナムは外国株のなかで、一番ウエートを占めてますね。アメリカ株よりも。当然ながら日本株が圧倒的に多くて70%くらい。ベトナムが9.5%くらい。次にアメリカ株が7%くらい。あと、3~4%でインドネシアとイギリスとタイか。その辺がごちゃごちゃと。
ベトナム買ったのは、2012年だったんですよ。ちょうどどん底。そのとき、円が1ドル75円から80円で、超円高だったんです。
──ああ、そうですね。指数とか下がってますもんね。為替もね、ベトナムとかどんと下がってて。海外情報とか銘柄を選ぶのはどうしてるんですか?
簡単なんですよ。これ、「株価」ってアプリがあるんですよ。アイフォン買ったら最初から入っていました。
たとえば、タバコのアルトリア・グループってあるんだけど、2年チャート。ちゃんと配当利回りとかPERとか出てくるんですよ。これで何十銘柄もみんなこうやって載せてて、暇なときにここのへんとか見てて。チャートの形とか。
米国はこれでけっこう。アメ株以外にADRってあるじゃないですか。それも入るので。もちろん日本株も入ってる。日本株はSBIのアプリで十分だから。それでやってます。
──日本株の配当が低くなってきちゃったから買えないなっていったときに、ベトナムはじめ海外はまだ高いというのは何かをきっかけ見つけたんですか?たとえば読者の方が、どういうふうに見つければいいのかなって。
この人のサイトをたまたま見て。(「NINJA300」)
──有名なんですか?そういうのありますよね。たとえばヤフー掲示板とかで、この人の発言凄いなとか、参考になるなとか。
タイがメインなんですけど、ベトナムとかもつぶやいていて、それでベトナムに興味を持って、色々なところに飛んだら、ベトナム株情報とか。
──そういった今の時代でいうと、SNSとかブログとかツイッターで、この人いいなあと、誰を選ぶかとかね。参考になるなっていう。
そこでブログを見て、ベト株情報っていうベトナムの専門のブログを見て、スクリーニングですね。便利なことにアイザワ証券でスクリーニングの機能あったんですよ。で、ROAが20%以上というとんでもない数値でスクリーニングしたんですよ。そしたら出るわ出るわ、お宝きました笑
──そういうのを会心の笑顔で言えるところが楽しいですよね。経験値がものを言うんだろうな。
で、PERが4倍で、ROAが20%。配当利回り6%がゴロゴロしてるんです。しかも超円高で買える。信じられない。笑っちゃったよ、あのとき。でもお金なかったので、あんまり買えなかったんですよ。1銘柄に対して20万円とか30万円とかくらいとか。それで15銘柄くらいバーンと買っちゃった。
──やっぱりどちらかというと、1銘柄よりも分散して買うスタイルなんですね。
基本新興国株だから情報少ないし、そのうち何個か噴けばいいやって感覚ですね。管理が大変だから3銘柄だけに注視するとか、そういうスタンスじゃないんですね。広く浅く、まあ、条件に合致すれば。お金のある限り。幅広く、最初わかんないから買っちゃう。けっこういい加減。
──人の銘柄に乗ったりはしないんですか?
しますね。ただ、フィルターがかかってるから、自分で分析して、投資します。
――受け取る側の能力ですね。ここで咀嚼しないと。そのまま丸呑みして、他人のせいにしている内はまだまだ初心者ですね。でも、もう何十年もやってる人だから海外のブログ見て、スクリーニングして投資する手法が編み出せるんですよね。普通なら絶対にできない(笑)
自分だって、今IPO投資法とか証券口座を数十社作って片っ端から申し込むなんて、そんなことやらない。100人中ひとりがいればいい。JACKさんの投資手法を見て思うことは、めんどくさい(笑)
──そうそう。いいかぶアンケートは良いですよ。銘柄コード4桁を入れて、抽選で500名に図書券が当たる。薄いところにけば、必ず議決権を行使すればクオカードくれるんですよ。それだけで優待利回りが0.5%くらい上がる。
いいかぶね。クオカード4回くらい当たったかな。
──やる人いないですから。あんなのネットでやれば3分くらい。3分で500円を取りにいくかどうかはみなさん次第ですみたいな。あと、ダスキンってあるじゃないですか。あれも1株だけ持ってて、冊子のなかに、5つの間違いを探して応募するんですよ。けっこうアイスコーヒーとか、当たりますよ。要は誰もやらないことをやるんです。住所、名前、株主番号を入力する欄がないアンケートは絶対答えない。何も送られてこないから。住所か名前か株主番号が入るやつは、あとで謝礼がくる可能性が高い。特に株主番号。絶好調だと、5割の確率で当選する。
JACKさん変わってないですね笑 そっちのほうが自分に合っていると思っているんでね。JACKさんにはJACKさんに合ったやり方があるじゃないですか。IPOくださいって言って普通証券マンに言う?言わないじゃないですか。だからすごいなって思いますよ。そのひと言が言えないって。くださいって言えない。
──www9945さんも、いつも3点セット持ち歩いている。メモ帳、ボールペン、電卓の3点セット、どうかんがえても素人じゃない(笑)
だからある程度ね、考えて真似て使ってくれればいいです。
──やっぱり自分に合う、合わないがありますからね。
成功する投資家の「質問力」とは?
──私なんかもそうですけど、www9945さんもセミナーとかやったり、オフ会とかやったりしますよね?初心者とか、初めて間もない人とか、ちょっとした経験者でもいいんですけど、この人伸びそうだなとか、この人賢いなっていう質問の仕方とか、特徴のある人いますか?
あります、あります。すごいありますね。
まず質問力。あとはプラスして、自分が前に言ったことを場面場面によって適切に翻せる人。
質問力に関して言うと、質問に来てくれる方は自分の持っている銘柄を、凄い知っているわけですよ。一方的に言うんじゃなくて、相手の質問を咀嚼しながらできる人は、良いと思います。
──一方的にしゃべるんじゃなくて、コミュニケーションがきちんとできる人ってことですね。自分の保有銘柄を20分も独演会をしている人がいました。
それは良くないですね。あと、レスポンスが早い人もいいです。
──ああ、テンポがね。ありますね。それもスパンが早いか、やっていてポンポンと返せるか。ちょっと間がある人よりは良いですね。
あと、伸びそうな投資家、出来る投資家の方は「そうですね」って絶対返ってこないんですよね。そうしたら終わっちゃうじゃない。
──ああ、なんか愛想的に、相槌を単に打ってる人だと、それで終わっちゃうから。
終わっちゃう。
──次の会話がないってこと。
「私はこう思うけど、あなたはどうですか?」っていうのが欲しいですよね、応酬が。「ここはこうですけど、どうですか?」って返すとか。咀嚼して返すってところですね。そういうキャッチボールが多少渋滞しようが、キャッチボールが続くほうが。私はそれを質問力が高いと思っています。
──レベルがあるし、逆に初心者の方でもやっぱりいろいろたくさんの質問を用意しておくとよいですね。ひとつだけだとね、終わっちゃうわけですが、これどうですかって、こうきたときに、それを聞いて、がんばってほかの銘柄を聞くとか、それに対してもう一回質問を返すとか、そういうことですよね。
──意外にこれは、人によって解釈が違うけど、ずうずうしい人のほうがいけるのかもしれないです。聞き魔も質問魔もアリでしょうね。
時間ないですからね。
──他にはありますか?
人のツイートを見て、「どのタイミングで言うかわからないから、ザラ場張り付いています」って人は駄目ですね。絶対伸びないだろうなって思います。
株の楽しさは「自分で考えて、読みが当たって、儲かること」
──コピートレードだけをする人は、そのコピー元次第だから、限界があると思う。自分自身でもカスタマイズをするなり技を見つけないと厳しい。
株の楽しさは、自分で考えて読みが当たって、それがリアルに儲かるっていうのが、楽しいと思っているんですけど、人の予想に乗って、それで儲けると、自分の考えがゼロなんですよ。とすると、なぜ儲けたのかわからないのは恐ろしいことなので。
儲けた理由が分かないから別の人を探そうってなってしまう。競馬で言うと、この予想屋は外れてから、違う予想屋に行こうって感じですよね。
──たまにそれでも成功するときもあるんだけどね。
自分のやり方が見えなくなっちゃうんですよ。やり方がコロコロ変わってしまいます。
──きついよね、言われてすぐに買う人は。下がってきたらロスカットするとか、買い増しすればいいんだけど。あと、もう上がった!上がった!ってところでエントリーすると、上げ幅は小さいので。
まだ慣れていない人は圧倒的に上がってから買ってしまう。もう5%、10%上がっているから、そこから上値がないですからね。だからほんと遅いんですよね。逆に上がっちゃったら、下がったら買えばいいとか思います。あと、怖いんだったら、次の日に成り行き買いとかすると、マーケットインパクトあるので、そのときの終値で指値しておくとか。
それはベテランっぽいですね。
──自分が紹介した銘柄をどこで売るかは、悪いけど言えない。言ったあとは皆がライバルですから。さすがに、どこで売りますとか、今から売りますなんてのは言えません。
売り場は言えないよね。買いましたよっていうのは、言いやすいんですよ。でも売りましたって言いづらいんですよね。
──「誰々さんが売りました」って聞くと、すぐには売らないけどどうしようかなーとか、そこはありますよね。どのくらいのときに売ったのかとか、売った理由を聞かれてもね。チャート的にどうだとか、そういうのはやっぱり言いづらいですよね。
売った理由はありますけどね。
──あとやっぱりよく耳にするのが、タイミングですよね。 震災があった年の話で、鉄板の配当が高い電力株は手堅いだろうっていうので買いまくっていた人がいて、結局、連絡不能になってしまいました。鉄板だと思うけど確かに全部突っ込みすぎた、どうしようもない。あと、「JACKさんやはり、積立が最強だよとか言って、やっともう来月積み立てがある程度終わるんだ」と意気揚々としていた方が、リーマンショックがきちゃって、ドーンと下がっちゃって。音信不通にはなりませんでしたが、担当の証券マンからは「運が悪かった」のひと言で終わって、意気消沈となってました。
まあそうですよね。それも含めて自己責任なので。
──運不運というのはあるし。やっぱり運ってありますよね。
運がめちゃくちゃいいんですよ。なぜかというと、小型で、私もポートフォリオ上位に寄せていって、それであてるやつじゃないですか。信用株なんで。それを避けるか避けないかというのがあったり、同じ業種のなかでも、一方は上がっても一方はまったく上がらないとか。
それも相場の一種なので、とりあえずは循環だから、我慢して持っているという力は運不運じゃないよね。これは自分の力量であって、運不運は一応結果として出るわけなんですけど。過程として、自分が適切な行動をしてるかどうかっていうのが重要なわけですよ。適切な行動をしてないと、なぜか急騰寸前で売ってたりするんですよね。不思議なことに。
──何銘柄も売買して、なかには本当に運不運はありますよ。
ありますね。自分が保有する主力20銘柄は、資産の全体の8割くらいを占めているんですが。どれが一番上がって、そこにどれくらい資金をつっこめるかっていうのが勝負ですけど、1年前のポートフォリオと今のポートフォリオを見比べると、思い描いた上位の銘柄が全く違っています。これが上に来るのかと。1年前に一番上昇すると思った銘柄がもういない。 ──こっちはキャピタル狙い、あっちはインカム狙いと思っても、逆になるケースは本当にありますよね。
単なるインカムで買ったのに、みたいな。なんで2倍も上昇するんだっていうこともありますからね。だから何がポートフォリオの上にきてるかは違う。毎日何やっているかというと、あんまりぱっとしない銘柄を徐々に切って、ジワジワ上がっている銘柄にシフトする。
半年、1年たつと、ポートフォリオが自分が思い描いたものと全く違うのは、真の世界ですよね。自分の頭に合わせたんじゃなくて、相場に合わせた結果なので。自然とそうなっちゃったということです。
後編『資産5億円超の投資家は「伸びる企業」をどう見つけるのか?』に続く