「億り人(おくりびと)」――。
そう呼ばれる資産1億円超えを達成した投資家は、多くの個人投資家にとって憧れの的だろう。

常に勝ち続けられるほど甘くない世界でどのようにして億り人なれたのか、投資手法は普段どのように編み出しているのか、損失に直面した時のメンタルコントロールはどうしているのか……。単なるテクニックにとどまらない投資の哲学を億り人に聞いていく連載第1弾では、IPO投資法で資産2億円を築いたJACK氏の投資哲学をお届けしよう。(聞き手:押田 裕太 ZUU online副編集長)

JACK氏
バーテンダーや予備校講師、サラリーマンと多彩な職歴を歩む傍ら、IPO(新規公開株)を中心に2億円を超える資産を築く。株式投資を中心に不動産投資やFX投資を行っており、成果をあげている。著書に『1万円を1年で100万円に! はじめての人の「株式」投資生活 』(ぱる出版 2016/12/3)や『百人百色の投資法』シリーズ(パンローリング株式会社 2016/8/5)がある。ツイッターアカウント @jackjack2010

資産2億円のJACKさんが投資を始めたキッカケ

JACK氏,億り人
(撮影=ZUU online編集部)

───JACKさんが最初に投資を始めたキッカケは?

キッカケはNTTの新規上場です。私が学生時代、親が申し込んだNTTを私名義の口座で買ったら儲かって、「株ってすごいな」というところから始まりました。当時は証券マンが家によく出入りしていたので、最初は勧められた銘柄を買っていました。時代が良かったので、儲かりましたね。

そのうち証券マンがなぜこの銘柄を推奨するのか、どうしてこの銘柄が上がるのかを自分で考えて投資をすることに面白みを感じてどんどんのめり込んでいきました。社会人になっても、街中を観察して、流行っているお店やサービスを見て株式投資をしてきました。

投資手法・スタイルの見つけ方

───JACKさんと言えば、「IPO投資法」が有名ですね。

IPO投資とは、あさひ銀行(現りそな銀行)で大損したのをキッカケに出会いました。当時、自分が働いている会社が同じビルに入っていた銀行で、サービスが良く、資本形成も悪くなかったから投資をしていました。ところが、株価がどんどん下がってしまい、数百万円のマイナスになっていました。

そんな時に証券マンからたまたま勧められた20万円くらいのIPO銘柄に投資をしたら100万円くらいまで上がり儲かりました。数百万の損をしていたから、20万円がゼロになってもいいや、ってヤケクソでやりましたが、申込後は上場初日だけ見れば良いし、一生懸命調べなくても良いし、兼業投資家には向いているなと。

JACK氏
(画像=ZUU online編集部作成)

───IPOって中々当たりにくいですよね?

よくオフ会とか講演でも言われます。なかなか当たらないって(笑)。みんな2~3回申し込んで当たらないから諦めちゃう人が多いですよね。「3年間やってひとつも当たらなかったら相談に来てください」って言ったことがあります。それを良しとするか、悪しとするかですよね。すぐ資産を増やすのは地合いがよくないと難しいし、基本、そういう投資法を私は持っていないので。

当然、3年間の間にIPO以外のことも必要です。IPOの合間に何するか?と言ったら、お金があるなら株主優待クロスでもいいし、当たりやすい公募投資に手を出してみてもいいし。結局、私の場合、手間暇が少なからずかかるので、めんどくさがりやの人はやらないかもしれませんね。

IPOは結局口座数と証券会社の数なので、あとそれを忍耐強くまめにやっていく。どこに時間をかけるかっていうのもありますけど、人気化した今でもたまに当たりますよ。もちろん、ひとりで応募するよりは、自分の妻に応募させるとか、親にも応募させるとか、子どもに応募させるといったことで当選確率をあげることは必須ですね。

証券会社の営業員との関係も「付き合い方ひとつ」で変わる

JACK氏,億り人
(普段の情報収集は、ツイッターや投資家ブログなどからが多い)

あと、私なんかはIPOが当たってもないのに証券会社の人と飯を食べに行ったりもしますね……。周りの人からは「なんでそんなことするの?」と言われますが、飯食いに行って、その支店にどれくらい配分があったのか、どのへんの客に配分いったのか、なんて聞くとポロって出てくるからそんな裏話聞くだけでも楽しいんですよ。

本当に付き合い方ひとつで変わりますよ。付き合う上で意識していることは、仕事でも遊びでも何でもそうだけど、相手の立場に立ちなさいってことですね。

例えば、担当営業員が今求めている成果が何かを意識します。支店にもノルマ的なものがあります。相手にとって、「株の手数料を落とすよりも、今は投資信託を買って欲しい」だったり、「国債をあと100万円買ってくれると助かる」だとか、ポイントが高いことをしてあげます。

お金が無いという人でも、人を紹介してあげるとかならできますよね。資産家を紹介すれば担当にとっては嬉しいですから、まったく同じ条件だったら誰にあげるか?って言われたら、そういうメリットを日頃から提供してくれる人ですよね。

みんなどこまで徹底しているかわからないけど、このご時勢だから、病気になったり、海外出張に行ったり、IPOが当選したんだけど連絡つかないから、結果的にキャンセルになる方もいます。そういうキャンセルがあったときには、いの一番に電話くださいとか。

───普段、投資手法や投資スタイルをどのようにして見つけているのでしょうか。

技をイチから見つけるのは中々難しいですよね。稼いでいる人は技を持っているので、その人はどんな技を使っているのだろうか、その技をどうやって見つけたのかを探求するのがひとつの手です。そして、その人の講演を聞いたり、マメにネット上で拾ったりと、自分流にカスタマイズしながらオリジナルの投資手法を洗練させていっています。

もうひとつは、色々な人と会うことですね。私の場合はオフ会の参加がターニングポイントになりましたね。ひとりだと、時間も足りないし、視野も狭くなるので。たとえば会社四季報を自分で一生懸命読んでも5~6時間かかります。それをオフ会の場や日頃から投資仲間と情報交換したりすることで、見逃し含め色々な視点を持つことができるようになります。

特に初心者の人にはオススメですね。懇親会等では、聞かれれば話してくれる人が多いです。あとは資産が同じくらいだったり、年齢が近かったり、たとえば独身だとか、共通項が増えると話しやすいっていうのはあります。

口下手っていう人も、ひたすら大人しく黙って聞き耳だけを立てるのもありですよ。逆に聞いたことを、別の場でリピートしてみるといいです。たとえば、「この前オフ会に行ってこんなこと聞いたんですけど、どうでしょうか?」みたいに。そうするとちょっとは話やすくなりますよ。続けていくと知識も身についていきます。

アベノミクス前くらいに地合いが悪いときが続いて、少し転換点になったのはバリュー投資の懇親会でした。当時は、バリュー投資のセミナーとかにも行って、著名な投資家さんだとwww9945さんと出会ったりして。ああ、なるほどね、これがバリュー投資家の人たちのスタンスなんだと。

とりあえず普通預金なんかに入れておくよりは、優待と配当で6、7〜8%になるなら良いなと思って試しました。やっぱり徐々にたたかれすぎじゃないの?安いんじゃないの?となり、アベノミクスが始まって、どんどん株価が上昇していきました。

「伸びる投資家」と「伸びない投資家」の差とは?

───セミナーだと今はJACKさんが質問される立場で、色々な投資家さんと出会う機会が多いと思います。この人は伸びそうだなという人(あるいはその逆)の質問の仕方や特徴はあるのでしょうか?

あー、幾つかありますね。

質問の仕方でいうと、「自分はこう思うんだけど、JACKさんはどう思いますか?」って、必ず自分の意思や考え方を持っている人は、問題ないと思います。ちゃんと人の意見と自分の意見を比べているんだろうなって。その辺りに成功の差がありそうな気がします。

質問時の雰囲気ですけど、質問して「分かりました」って言っても、この人これやらないだろうなって人はいます。例えば今、口座開設キャンペーンやっているから、作ればすぐノーリスクで5000円入るよって言ったときに、すぐやるかやらないかの違いですね。

セミナーや懇親会での質問をメモするかどうかも大きいと思います。お酒も入るし、覚えていられないので、メモしている人は大丈夫だな、という雰囲気はあります。あとで読み返すんだろうなと。

私も講演のときに言いますが、悪口を言う人は厳しい。他人のせいにしたがる人が多いので。それは本業でもスポーツでもなんでもそうかもしれないですけどね。これも大事ですね。

あとやっぱり、いつも、短期間で稼ごうと思う人はきついですね。時間を味方につけるのが大事です。1年で1億円とか、本や雑誌には煽りが入るかもしれないけど、実践するには、運の良さや波に乗らないといけないから。そういったところを理解しておかないときつい。

自分の性格とどのように向き合っているのか?

───他責は良くないというお話がありました。JACKさんは自分の性格や目標とどう向き合っているのですか?

20代や30代は、なんとなく稼ぎたいとか、お金を増やしたいというのでもありだと思いますが、できれば目標が明確だと、組み立てしやすいです。

私はわりと月ベースで目標を立てますね。年間の成績って確定申告ベースだと、1月から12月じゃないですか。私なんかは、1月と2月は、慎重なトレードになります。やっぱり1月でマイナス、2月でマイナスとなると、今年やばいんじゃないか、勝てないんじゃないかってメンタルがやられちゃうんですよ。2カ月連続でマイナスだとやばいなって。

ここでプラスになっていると、やはり精神的に楽になります。例えば、1月〜3月で、100万円、200万円、300万円と収益を積み上げられると、その300万円の収益で、4月5月が安心してトレードできますからね。

JACK氏
(画像=ZUU online編集部)

───1月・2月で具体的に心がけていることをもう少し教えてください。

1月2月って、投資環境はけっこう活況で、IPOも1発目、2発目と発表がでるので、そこは何とか獲得していきたいというのと、3月は株主優待が一番多いから、1月くらいから先回りして拾っていきます。また、3月の優待クロスで利確するようにします。

2月くらいにショックがドカンとくると辛いです。去年(2016年)もそういうのがあって、優待の先回り買いがうまくいかないこともあるから、ロスカットは必須ですね。余談になりますが、12月の最後で買って1月の頭で売るって、過去の勝率がいいのでかなり前に本には書いたんですけど、最近はリスクの方が大きい感があり、ほとんど実践しておりません。

───メンタルのコントロールの上手さは、過去の失敗から気づいたものでしょうか?

大きいところだと、リーマンショックのときですね。たまたまリーマン本体の債券を持っていたので、いくら債券に分散しても直撃するときはするんだ、ということを感じました。あとは冒頭で話したあさひ銀行からの学びも大きいですね。含み損が100万円、200万円になると嫌なんです。1000万円以上マイナスになると眠れなくなるタイプなので。

投資に限らず誰しもが絶対ストレスを感じるので、それをどう解消するのかも大きいんじゃないでしょうかね。他の投資家さんと話すと、「お酒飲みます」、「旅行に行きます」、「モニターを破壊する」とか色々出てきますよ(笑)

お金を使わない方法だと、ひたすら寝るっていうのはありますね。あと意外に男性でも、やっぱり飲食や寝る系が多いかな。いくつの年代でもちょっときついかな?食べたいもの食べたいし。そう言えば、どっかの社長が、ストレスはその日のうちに解消するから無い、という話を聞いて唖然としたこともありましたし、逆にストレスは一切ないという人もいて、驚かされました。

JACKさんが投資をする理由

───目標も大事ですが、お金を稼いで何をするのか、投資の目的も大事だと考えておりまして、JACKさんが投資をする目的を教えてください。

目的は大事ですね。お金が増えて喜ぶのもありますが、やはり何らかしらの消費をしてもいいのではないかと思います。そのあたりも絶対に見つけた方がいいですね。

もちろんまずは、将来の支出に備えるという考え方もありますが……。家をキャッシュで買うとか、高級外車を買うとか。ちょっとしたコトでもいいんです。たとえば貯金が50万円になったら、ちょっと良い腕時計を買うとか、スーツ買うとか、今年の年末は海外旅行するとか。

じゃあ目標に届かなかったらどうするのっていったら、温泉旅行でも行けばいいじゃんって思います。多くの人はご褒美をあげないと疲れちゃうので。いや、自分は特にそんなのないですよっていうときは、ある程度お金が貯まったら、彼女に何かプレゼントするとか。そういったお金以外のものが目標にあったらベストですね。

あとはおいしいものを食べるとか。やっぱり、旅行好きの人が多いですね。旅行でパーッと使うみたいな、そういうところあるので。

───JACKさんのそういうご褒美って何かあるんですか? 短期的なものでも、中長期的なものでも良いです。

短いご褒美だと、大体このくらい貯まったら、良いクルマを買おうかなとか、ハワイ行こうかなとか、そういうパターンが多いです。普段飲めないシャンパンを飲むとか。ある程度、消費すると、また稼がなきゃアカンとなるわけですよ。ある程度消費をすることによって、日本経済もこれで活性化させているから逆に良いのかなと。で今くらいの歳だとあの世まではお金を持っていけないし。

とにかく目標は大事ですね。目標があまりにも高すぎちゃうと難しい。高すぎると届かなくて疲れるし、短すぎると低くてそれで満足しちゃうので。

お金が貯まったら犬を飼おうとかゴルフやろうとか、体動かすことをやろうでもいいし。さっきも言いましたが、自分に使い道がそんなに無いなら、親や奥さん、子ども、兄弟に投資してもいいんじゃないかと思います。子どもを留学に行かせるとか、自分が若い頃にできなかったことにお金を使うこともありかと思います。お金がかかるからやめようかなということで、昔、子どものころにやりたいと思っていたことをやるとか、楽器習うとか。

大きな目的だとやっぱり最後は喫茶店やバーなど、投資家が集まる環境づくりをしたいと思っています。儲かっている人以外でも、今うまくいってなくて損している人が、ちょっと話を聞けて、それこそリフレッシュして帰っていけるような場です。さらに、綺麗な女性の店員とジャニーズ系のかっこいい男性の店員がいれば皆が来るんじゃないかって話ですよね(笑)

───夢を持って、そのために投資とかお金のことを考えるほうが良いということですね。

ベストでしょうね。みんな実はそういう目標があるはずですよね。そういうのをあんまり聞いたり、見たりすることはないんですけどね。

中期的な目標というのを、よく企業なんかであるけど、短期、中期、長期みたいな3つくらいの目標を立てるのがいいと思います。夢とか目標は何歳の人でも持つわけだから。20代の夢を持つ人と、60代の夢を持つ人、時間との戦いもありますからね。

とは言っても、20代くらいの人だったら、とりあえず日銭を稼いでもう少しラクな生活をしたいというのでもありだと思います。月3万でも小遣いがあれば違うので、それもありです。

相場に長くいれば絶対にチャンスはいつか来る

──さいごに、ZUU online読者へアドバイスをお願いします。

種銭がまだ少ない人、今お金がない人、最近投資を始めた人は、必殺技を自分自身で見つけていかないといけないと、という焦りがあるかもしれませんが、長く相場にいれば絶対チャンスがあります。あと、これからやる投資家の人は「〜ショック」を意識しておかないといけません。どんなに安く拾っても、なんとかショックになったら木っ端微塵だから。僕が、リーマンショックで改めて投資に絶対は無いんだって気づいたように。

テクニック的な話をすると、ロスカットはやったほうがいいですね。初心者の人とか、中級者の人たちって、意外と忘れがちですが、最低限、買った銘柄の株価とその理由をメモしておきましょう。基本的なことですけどなんとなく買うことが多いから、なかなか難しいですが、この銘柄の株価が下がったらどうするかを考えておくことも重要です。

このあたりは、経験から学ぶこともありますが、株価が下がったときは、初心者の方はひたすら持つだとか、普通にナンピンするスタンスだと、やっぱりうまくいかないし、その結果、塩漬けで、資金もロックされちゃう。初心者の方だったら当然IPO投資もやってほしいですが、配当や優待で、5%、6%、7%、8%……の銘柄が出てくれば、それは比較的リスクが低いので狙って欲しいです。

億り人になるには、やっぱり流れや運がありますが、100万円でも200万円でも買っておけば、気がつけば1年で120万円、2年で140万円……、そうやってこつこつ給料からも投資していけば、500万円、1000万円くらいの目標は達成できます。

取材現場で聞けなかった7つの質問

(1)今の投資スタイルに落ち着くまでの投資スタイルは?
IPO→個別→IPO→PO・TOB・優待クロスのイベント→バリュー配当→IPO

(2)ポジションの見直しタイミングはいつ?
月ベースでマイナスが2カ月やら3ヶ月続いたとき

(3)投資戦略(目標)の立て方と軌道修正の仕方はどうやっておこなう?
嵐が過ぎるまで待つ、時間を長く使える兼業投資家の優位性の利用

(4)ためになった本、サイト、SNS アカウントは?
株式選抜レース

(5)あなたにとって、株とはどのような存在か?
お金を増やすツール

(6)座右の銘は何か?
明日は明日の風が吹く

(7)勝ち続ける人の共通点とは?
ロスカットの徹底。大損を経験

(ZUU online 編集部)

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