本記事は、木村 孝司氏の著書『あなたは話せば話すほど、嫌われる人?好かれる人?』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

相手からの承認を求め過ぎる
承認されたい。その気持ちが、あなたを苦しめていませんか?
相手からの承認を求め過ぎる人は、無意識に他人の評価で自分の価値を確認しようとしていることが多いです。例えば、職場で「私はこんなに頑張っている……」と成果をアピールし続けるような人です。
最初は認めてもらいたい気持ちからの発言かもしれませんが、過剰になり過ぎると、それが「自慢話」や「押しつけがましい話」に聞こえてしまい、逆に相手との距離が広がってしまいます。
また、相手からの承認を得たいがために、自分の本音を抑えてしまう人もいます。「本当はこう思っているけど、相手に嫌われたくないから言えない」といった感じです。
こうした場合、対人関係は表面的になり、「自分を理解してもらえない」「孤独を感じる」といった感情が強くなります。そして、最終的には疲れてしまいます。
つまり、過剰に承認を求めることは、結果的に人間関係を疲れさせ、距離を生んでしまうのです。相手の期待に合わせるあまり、自分を犠牲にすると、最終的にはうまくいかなくなります。自分を大切にし、他人の評価に依存せず自分の価値を認めることが、良好な人間関係を築くためには重要です。
相手からの承認を求め過ぎる人、それは「嫌われる人」です。
一方的に話し過ぎる
「たくさん話せば伝わる」と思っている人は少なくありません。
確かに、言葉を尽くせば誤解は減るかもしれません。でも、実際にはどうでしょう?言葉が多すぎると、相手にとって負担になったり、伝えたいことの本質がぼやけてしまったりすることがあります。
特に、「理解してもらいたい!」と焦るあまり、必要以上に説明を重ねてしまうと、かえって相手との距離を生んでしまうこともあります。
例えば、職場で部下に指示を出す場面を想像してみてください。
「この仕事はこうやって、ああやって……」と細かく説明を続ける上司がいると、部下はどう感じるでしょう?あまりにも情報が多すぎると、「つまり、何を求められているのか?」がわかりにくくなり、結果的に仕事の効率も下がってしまいます。
また、友人や家族との会話でも、「自分の話を聞いてほしい」と思うあまり、長々と説明してしまうことがあります。
しかし、聞き手にとっては、「自分が話に入り込む余地がない」と感じられてしまい、次第に距離を置かれてしまうこともあるのです。「また長話が始まった……」と敬遠されてしまう経験、思い当たる方もいるのではないでしょうか?
一方的に話し過ぎる人、それは「嫌われる人」です。
自分ではない他人を演じる
「好かれたい」「嫌われたくない」という気持ちが強い人ほど、本来の自分を出すのではなく、他人の期待に応えようとしてしまいがちです。
その結果、無理をして周囲の理想像に合わせようとし、知らず知らずのうちに「自分ではない誰か」を演じることになります。
例えば、職場で「完璧なビジネスパーソン」を装っている人がいるとします。本当は緊張しやすい性格なのに、強気な態度を取ることで自信があるように見せたり、本当は納得していないのに、賛同しているふりをすることで理解があるように見せたり……。
でも、こうした無理はどこかでほころびが出てしまいます。なぜなら、演じている自分と本当の自分にギャップがあると、無意識にストレスがかかるからです。
また、友人関係でも、「本当の自分を見せたら嫌われるのでは?」という恐れから、相手の意見に合わせ過ぎたり、無理に明るく振る舞ったりすることがあります。
こうした態度は一見、「話しやすい人」と思われるかもしれません。しかし、本人は「本当の自分が受け入れられているわけではない」と感じ、孤独を感じてしまうのです。
このように、他人を演じることが習慣化すると、自分自身の本音がわからなくなってしまいます。「自分は何をしたいのか?」「何を大切に思っているのか?」といった自己認識が曖昧になり、気づけば「人と話すと疲れる」「本当の自分を知ってもらえない」と悩むようになります。
自分ではない他人を演じる人、それは「嫌われる人」です。
いらぬ一言を口にする
ものすごく忙しくしている部下に、「暇なときにやっておいて」と仕事を依頼したら、「暇なんてありません!」と怒られてしまった――。
「え? そんなつもりじゃなかったのに……」。
無意識に発した一言で相手を嫌な気分にさせてしまった経験、あなたにもあるのではないでしょうか?
言葉には力があります。それは、良い方向にも、悪い方向にも作用するものです。軽い気持ちで言った言葉が、相手にとって深い傷となることも珍しくありません。
例えば、「まあ、そんなに気にすることじゃないよ」という言葉。自分としては慰めたつもりでも、相手には「あなたの悩みなんて大したことじゃない」と軽視されたように受け止められることもあります。
また、「君ならこのくらいの仕事、簡単でしょ?」という言葉も同様です。自分としては相手の能力を認めたつもりでも、相手には「こんな簡単なこともできないの?」というプレッシャーとして伝わるかもしれません。
さらに、「最近、ちょっと太った?」といった何気ない指摘も、相手のコンプレックスを刺激し、思わぬダメージを与えることもあり得ます。
特に、SNSやメールなどの文章によるコミュニケーションでは、声のトーンや表情が伝わらないため、さらに慎重な言葉選びが求められます。
いらぬ一言を口にする人、それは「嫌われる人」です。
無自覚な言動の「根本原因」とは?
- 相手からの承認を求め過ぎる人
- 一方的に話し過ぎる人
- 自分ではない他人を演じる人
- いらぬ一言を口にする人
これらは、ほんの一部ですが、すべて「話せば話すほど嫌われる人」たちです。
ただ、本人は自覚がなく、すべて無意識の言動や行動です。
ではなぜ、このようなことをしてしまうのでしょうか?
これらは実は、親からの影響を大きく受けています。特に、幼少期に「認められた」という実感が得られたかどうかが、大人になってからの人間関係に深く関わってくるのです。
親から十分に認められなかった人は、無意識のうちに「認められたい」「愛されたい」という欲求が強くなり、それが日々のコミュニケーションに表れます。
例えば、幼少期に「もっと頑張らないとダメ」「それぐらいできて当たり前」といった言葉を受けて育った場合、大人になっても「今の自分では価値がない」と感じやすくなります。
この不足感を埋めるために、無意識に相手からの承認を求める言動を取ったり、一方的に話し続けることで自分の考えを伝えようとしたりするのです。自己評価の低さから他人を演じてみたり、わかってほしい気持ちが強すぎるためにいらぬ一言を口にしてしまったりするのです。
では、どうすればこの悪循環から抜け出せるのでしょうか?
まずは自分で自分に、このような問いを投げかけてみましょう。
「なぜ、こんなに人に認められたいのか?」
「なぜ、他人の評価が気になるのか?」
他人に認めてもらうことでしか自分の価値を感じられない状態では、どれだけ頑張っても満たされることはありません。しかし、「自分はこのままで十分価値がある」と感じられるようになると、他人の評価に左右されずに自然体でいられるようになります。
実際に、人間関係がうまくいく人は、必要以上に承認を求めません。「自分の価値はすでにある」と感じているからこそ、相手に対して余裕を持って接することができるのです。すると、不思議なことに、かえって人から好かれるようになります。
「自分は認められたいだけなのかもしれない」と気づくことが、「マイナス1」を「プラス1」に変える第一歩となるでしょう。

株式会社アイエヌエー NLPiこころのABC研究所 代表
1967年、滋賀県生まれ。株式会社キーエンスでの営業職を経て、31歳で独立。その後、事業の失敗、家庭不和、子どもが口をきかなくなるなど「暗黒の10年」を経験。その渦中でNLP(神経言語プログラミング)と出会い、話し方やコミュニケーションなどの課題を解決するが、親子関係だけが解決されない。そこで、脳科学・心理学・コーチング・賢者の思考法などを学び、融合することで親子関係の改善に成功。人生が劇的に好転する。この経験を体系化した独自メソッド「メモリーマネジメント®」は、3年間で売上369%、 受講者数357%の成長を遂げ、「子どもへの接し方が変わった」「夫婦関係が改善した」「職場で信頼され昇進した」等、多くの受講者に成果をもたらしている。現在は、企業のリーダー、スポーツ選手、医療従事者をはじめ、様々な専門家や個人に支援を行い、「愛される成功者」の育成を使命に活動中。趣味は絵本の朗読。お気に入りはムーミン・シリーズで、心に届く言葉の力を日常でも大切にしている。
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