本記事は、木村 孝司氏の著書『あなたは話せば話すほど、嫌われる人?好かれる人?』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

自分に問いかけて思い込みを手放す
「どうして私はうまくいかないんだろう?」「なぜ、同じ失敗を繰り返してしまうのだろう?」。これまでの人生で、そんなふうに自分を責めた経験はありませんか?
その答えはもしかすると、あなた自身の「無意識の思い込み」の中にあるかもしれません。
人は、膨大な情報の中から「自分にとって都合のよいもの」だけを無意識に選び取り、それに基づいて物事を解釈しています。その思考のクセが、ときに視野を狭め、「本当の原因」に気づけなくさせているのです。
でも大丈夫。改善するのに大きな努力は必要ありません。日々の中で「問いかける力」を身につけるだけで、そうした無意識のフィルターを外し、未来の選択肢を広げることができるのです。
1. なぜ人は「見たいものだけ」を見てしまうのか?
私たちの脳には、これまでの経験・性格・価値観・信念などに基づいて、情報を取捨選択する性質があります。その結果、本当はもっと多くの可能性が目の前にあっても、それを「見えなくしてしまっている」ことがあります。
例えば、こんな思い込みをしていないでしょうか?
- 「私はコミュニケーションが苦手だ」→過去のちょっとした失敗体験から、「自分には話す力がない」と決めつけてしまっている
- 「どうせ努力しても認められない」→かつて評価されなかった経験が、いつしか「何をしてもムダだ」という諦めになってしまっている
- 「人間関係は難しいものだ」→過去のちょっとしたすれ違いが、「他人とわかり合うのは難しい」という思考のクセになってしまっている
でも、それは「事実」でしょうか?
あるいは、あなた自身が作り上げた「思い込み」なのかもしれません。
2.「本当はどうなのか?」と問いかけてみる
思い込みを手放すための第一歩は、「自分に問いを立てること」です。問いかけは、視野を広げ、考え方を柔軟にする力を持っています。
例えば、こんなふうに問い直してみましょう。
- 「私は本当にコミュニケーションが苦手なのか?」→ 特定の人となら楽しく話せているという場面はない?
- 「努力しても評価されないというのは本当か?」→ これまで一度も認められたことはなかった?
- 「この人とはわかり合えないと思い込んでない?」→ もし自分が接し方や伝え方を変えたら、関係が変わるのでは?
このような問いが、あなたの見ている「世界の見え方」を大きく変えてくれるのです。
3. 自分に問いかけることで得られる変化
思い込みに気づく力を持つと、次のような変化が起こります。
- 問題の本質が見えるようになる:「なぜうまくいかないのか」というのが、自分の認知のクセだったと気づきます。
- 柔軟な思考が身につく:多角的に物事を捉える力が身につき、対人関係や仕事の対応力がアップします。
- 前向きな挑戦ができるようになる:「どうせ無理」という思い込みがなくなり、新しいことに取り組む意欲が湧いてきます。
例えば、「上司に評価されない」と感じていた人が「本当にそうか?」と自問した結果、報告や相談の頻度を増やしたことで関係が改善され、評価も変わった――そんな実例はたくさんあります。
4. 自分に問いかけることがもたらす未来
問いを立てる習慣を身につけると、あなたの人生に次のような変化が訪れます。
- ストレスが減る:思い込みから解放されることで、不安や焦りが減り、気持ちに余裕が生まれます。
- 人間関係がスムーズになる:「この人はこういう人だ」と決めつけなくなることで、柔らかな対応ができるようになります。
- 目標に向かって行動できる:「できない」が「やってみよう」に変わると、自然と行動に移すことができるようになります。
思い込みに気づき、それを手放すだけで、人生の景色はまるで変わったように見えてくるのです。
5. 今日からできる「自分への問いかけ習慣」
難しいことをする必要はありません。まずは、今日からできる小さな問いかけを習慣にしてみましょう。
- 「うまくいかなかった理由は何だろう?」と自分自身に問いかける
- 1日の終わりに「今日の思い込みはなかったかな?」と振り返る
- 相手の言動に対して「この人は本当にこういう人なのか?」と考える
このような問いを自分に投げかけるだけで、視点が変わり、思考も行動も変化していきます。
6. 自分を見つめる問いが人生を変えていく
あなたが「話せば話すほど好かれる人」になるために必要なのは、自分自身を深く理解し、思い込みに気づく力を育てること。
それが、真のコミュニケーションの土台になります。
今日から、「本当にそうなのか?」と自分に問いかけてみてください。
あなたの中にある「無意識の壁」が少しずつ溶けていき、もっと自由で、もっと前向きな人生が広がっていくはずです。
たった1つの問いが、あなたの未来を大きく動かすきっかけになるのです。

株式会社アイエヌエー NLPiこころのABC研究所 代表
1967年、滋賀県生まれ。株式会社キーエンスでの営業職を経て、31歳で独立。その後、事業の失敗、家庭不和、子どもが口をきかなくなるなど「暗黒の10年」を経験。その渦中でNLP(神経言語プログラミング)と出会い、話し方やコミュニケーションなどの課題を解決するが、親子関係だけが解決されない。そこで、脳科学・心理学・コーチング・賢者の思考法などを学び、融合することで親子関係の改善に成功。人生が劇的に好転する。この経験を体系化した独自メソッド「メモリーマネジメント®」は、3年間で売上369%、 受講者数357%の成長を遂げ、「子どもへの接し方が変わった」「夫婦関係が改善した」「職場で信頼され昇進した」等、多くの受講者に成果をもたらしている。現在は、企業のリーダー、スポーツ選手、医療従事者をはじめ、様々な専門家や個人に支援を行い、「愛される成功者」の育成を使命に活動中。趣味は絵本の朗読。お気に入りはムーミン・シリーズで、心に届く言葉の力を日常でも大切にしている。