(本記事は、新井直之氏の著書『超一流、二流、三流の休み方』あさ出版、2018年9月19日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

休みの日の前日

(画像=Adamov_d/Shutterstock.com)

休みの日の前日ともなると、心が軽いという方は多いでしょう。

「ようやく明日は休める!」と思えば解放感が高まります。就業時間が過ぎたら、仕事の量に関係なく、早々に会社を出てしまう人もいます。

後先を考えずに休もうとするのが三流だとすれば、その日にやるべき仕事を終わらせて休もうとするのが二流です。

では、超一流はどうするのでしょうか?

彼らは仕事をあえて残して帰ります。

パソコンの電源が一度落ちると、再起動に時間がかかるのと同じで、人も休みに入ると再び仕事モードに切り替わるまでに時間がかかるのです。

そのため、超一流は休み用の仕事を用意し、完全オフの状態をつくらないようにします。休み明けから快適なスタートダッシュが切れるようにするのです。

三流のように仕事を片付けずに休みに入ってしまうと、休み明けはやり残した仕事を片付けるところから始めざるを得ません。

二流のように仕事を終わらせてから休みに入ると、再びエンジンをかけ直さなくてはいけません。これではスタートが大きく出遅れます。

このように説明すると、「休日にわざわざ仕事をするのであれば、休日の意味がないのでは?」と指摘する人も出てきます。たしかに、これではリフレッシュどころか、休日出勤と同じです。

ただし、超一流が取り組むのは、“普段”と違う仕事です。

仕事には、「こなす仕事」と「思案する仕事」の2つがあります。

「こなす仕事」とは、期限内に確実にアウトプットしなければいけない仕事です。伝票処理、レポートの作成、顧客訪問など、日常的に取り組んでいる仕事の9割は「こなす仕事」といえます。

一方で、「思案する仕事」とは、時間に関係なく徹底的に考え抜かなくてはいけない仕事です。事業の進退、人事異動など、緊急度は高くないけれど、今後の命運を左右する重要な課題は、多角的に検証する必要があります。

じつはこうした課題は、休日に考えたほうが、普段と違う視点で物事を見つめ直せていいのです。

ある経営者は、週末や長期休暇の時間をほぼ「思案する仕事」にあてています。

30年後の未来はどうなっているのか、そのなかで会社は何を目指すのか、そのための組織はどうあるべきか……。毎回テーマを決めて思案をめぐらせます。

そして休み明けには、新規事業のプロジェクトチームを立ち上げたり、組織改革を部下に指示するなど、考えた結果を実行します。

休日を「思案する仕事」にあてることで、重要な課題を後回しにせず、着実に前に進められる。ほかに先んじて、手を打つことができるのです。

「思案する仕事」はいろいろあるはずです。休日の宿題として、自分の重要テーマに向き合ってみるのはいかがでしょうか。

三流:仕事を放置して帰る
二流:仕事を終わらせて帰る
超一流:仕事をあえて残して帰る

──休みでも頭のなかはオフにしない

ペース配分

疲労を最小限に抑えながら、仕事で最高のパフォーマンスを発揮する。

そのためには「ペース配分」が重要です。

週明けから全体力を使って勢いよく走り出しても、後半になるとスタミナ切れを起こして、モチベーションが上がらない、集中力が続かないということになりかねません。

みなさんも新入社員の頃、朝から気合いを入れて頑張ったけれど、徐々に勢いが失速し、結局は残業するはめになったということがあるでしょう。

最高のパフォーマンスを発揮するためには、1日、1週間のなかで緩急をつけたペース配分が求められるのです。

ただし、このペース配分も人によって個人差があります。

まず残念なのが「がむしゃらに頑張る」という人です。

気合いを入れて目の前のことを片付けていけば、細かな計画を立てなくても仕事は終わるという考えです。ただ、人間の集中力はそう長く続きません。

体調や気持ちの状態によっても波があります。

どこかで不測の事態があれば、いずれは慢性的に疲れがたまってしまう状態になります。

なかにはToDoリストをつくって、自分でタスク管理をしようという方もいますが、予定通りに実行できるかというと、そうではないことのほうが多いはずです。

がむしゃらに頑張る方も、タスク管理しようという方も、自分の力を過信して失敗してしまいます。

一方、超一流は自分の力でペース配分しようとしません。

自分の意志の弱さを知っているので、最初から自分以外の、より確実な何かに頼ります。

先ほどのToDoリストでいえば、スマホのアラーム機能を使って予定を管理したり、腕時計型ウェアラブルデバイスの「Apple Watch」などを使って、その日のスケジュールを管理したりします。

とくに「Apple Watch」には一定時間、同じ姿勢が続くとカラダを動かすよう振動で警告してくれる機能があります。疲れたタイミングでそっとコーヒーを出してくれる秘書のように集中のしすぎを知らせてくれるのです。

「自分以外の確実なものに任せる」という考え方はすぐに取り入れることができます。たとえば、アラーム機能付きのアナログ時計を取り入れる。同じチームの同僚に「監督役」を頼む。

駅伝で監督が選手に「もっとペースを落とせ!」と指示するのと同じような感覚です。いずれも客観的に自分のペース配分を確認することができます。

疲れを持ち越さずに1日、1週間を乗り切るためにも、ツールや他人に助けてもらって上手にペース配分をしましょう。

三流:がむしゃらに頑張る
二流:タスク管理にこだわる
超一流:自分以外の力に頼る

──気づかせてもらう工夫をしよう

新井直之(あらい・なおゆき)
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社代表取締役社長大学卒業後、米国企業日本法人勤務を経て、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を設立。フォーブス誌世界大富豪ランキングトップ10に入る大富豪、日本国内外の超富裕層を顧客に持つ同社の代表を務める傍ら、企業向けに富裕層ビジネス、顧客満足度向上、ホスピタリティに関する講演、研修、コンサルティング、アドバイザリー業務を行なっている。

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