(本記事は、新井直之氏の著書『超一流、二流、三流の休み方』あさ出版、2018年9月19日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

汗のかき方

超一流、二流、三流の休み方
(画像=elwynn/Shutterstock.com)

一日の疲れを「心地良い疲れ」に変えたいとき、汗のかき方によって「悪い疲労」を「良い疲労」に変えることができます。

残念な汗のかき方といえば、仕事に追われて汗だくになることです。

かつては私も、夏の外回りで同じような経験をしたことがあります。

受け身の姿勢で仕事に取り組んでしまうと、“やらされ感”だけが強くなってしまうため、肉体的な疲れを感じ、翌日スッキリしないことが多いです。

これは三流の汗のかき方と呼べるでしょう。

意識が高い人ですと、朝、仕事前にランニングをして汗を流そうとします。ランニングで基礎体力を上げて、疲れにくいカラダをつくろうとするのです。

ところが、仕事前に運動をしてしまうと、日中に発揮すべきエネルギーを使ってしまうため、仕事のパフォーマンスが落ちます。お昼を食べた後に、決まって眠くなるという方も少なくないでしょう。

では、超一流はどのような汗のかき方をするのでしょうか。

超一流も疲れにくいカラダをつくるために、ランニングをしたり、ジムでトレーニングをしたりして、積極的に汗をかいています。

ただ、超一流の場合、仕事が終わった後に汗をかくと決めているのです。

これは日中の仕事にエネルギーを使いたいからです。

仕事後に汗をかくことで「この疲れは仕事によるものではなく運動によるもの」と脳に思い込ませます。「仕事の疲れ」を「運動後の心地良い疲れ」に書き換えているのです。

このことをある超一流の方がデザートの話に例えて教えてくれました。

「なぜコース料理でデザートを最後に食べるか知っているか?それはデザートによって、それまでの料理が口に合わなくても、すべて帳消しにできる効果があるからなんだ」

コースではいろいろな料理が出てきて、なかには口に合わないものもあります。でも、デザートがまずいということは滅多にありません。

だから、万人が美味しいと思うデザートを最後に持ってくることによって、その全体のディナーが美味しく思えるようにメニューを構成しているそうです。

この話を聞いて「なるほど」と思いました。

スポーツの疲れは「心地良い疲れ」。だから1日の最後に持ってくることで、その印象を持ったまま休息し、翌日にひきずらないことができるのです。

もし、仕事で疲れてカラダがダルいと感じていても、軽い運動をして汗を流せば、気持ちはリフレッシュしているので、あまり疲労を感じずに済みます。

つまり、「仕事でたまった悪い疲労」を「良い疲労」に変えられるのです。

同じ汗をかくなら、仕事終わりに運動して汗を流す。

これを心がけるだけで疲れを次の日に持ち越さず、気持ちのいい朝を迎えられるのです。

三流:仕事「中」に汗をかく
二流:仕事「前」に汗をかく
超一流:仕事「後」に汗をかく

──「良い疲労」に記憶をすり替えよう

癒しの場所

「次々と仕事を振られ、休憩を取る余裕もない」
「上司に目標達成をせかされ、会社に行くのが憂鬱」
「苦手な人がいて人間関係がつらい」

ストレスにさらされると心がすさみ、体調まで崩れてしまいます。心が疲れたと感じたときは、早めにリセットすることが肝心です。

もっとも簡単なリセットの方法は「癒しの場所」に行くことですが、選び方次第では癒しにならないばかりか、かえって疲れてしまいます。

残念なのが、行きつけのお店探しです。

常連客となって心が落ち着くような居場所をつくりたい気持ちはわかりますが、時間やお金を使うだけで、疲れてしまうことも少なくありません。

ベテランになると、仕事の付き合いで訪れた店があります。「久しぶりにあの店に顔を出してみよう」と顔なじみの店が思い浮かびます。

気心の知れたお店の方との楽しい会話や、美味しい料理で癒されようと考えますが、ストレスを抱えている現実は変わりません。

そこで過ごす時間は楽しくても、外に出た途端、「明日からまた仕事か」とタメ息が出るようでは、癒しとはいえません。

いちばんいいのは、原点の地を訪れることです。

ビジネスマンであれば最初に働いたビル、経営者であれば創業の地……。

私どものお客様のなかには、起業したときのオフィスをそのまま残している方が何人かいます。最初の物件をもう一度借りて、当時の様子をわざわざ復元した方もいます。その理由を尋ねたところ、

「初心を思い出すためにやっているんだよ」

と教えてくれました。

超一流は日々の仕事で、とても大きな責任を背負っています。

巨額な投資案件の決断、会社の存続にかかわる判断……。重大な案件に囲まれて過ごすストレスたるや、想像もできないほど大きく、それでも疲れたからといって、悩んだり迷ったりしている暇はありません。

だからこその「原点」なのです。

この先どこに向かって進むべきか。

何のために働こうと思ったのか。

過去を振り返ることで、いまの自分を見つめ直し、未来に向かうバネにする。それがいちばんの心の癒しであり、明日からの奮起にもつながるのです。

会話やお酒でホッとひと息つくのもストレス発散にはなりますが、ときには自分の原点の地を訪れてみてはいかがでしょうか。

このような場所は、誰にでも必ず一カ所や二カ所あるはずです。

当時の気持ちを思い出し、明日からまた頑張ろうという気持ちが生まれるはず。それが心の癒しとなって、ストレスを解消してくれます。

三流:行きつけの店を探す
二流:顔なじみの店を訪れる
超一流:原点の地を訪れる

──原点の場所こそ、癒しの場

超一流、二流、三流の休み方
新井直之(あらい・なおゆき)
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社代表取締役社長大学卒業後、米国企業日本法人勤務を経て、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を設立。フォーブス誌世界大富豪ランキングトップ10に入る大富豪、日本国内外の超富裕層を顧客に持つ同社の代表を務める傍ら、企業向けに富裕層ビジネス、顧客満足度向上、ホスピタリティに関する講演、研修、コンサルティング、アドバイザリー業務を行なっている。

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