はじめに
運用資産残高ランキング1位のファンド「ブリッジウォーター」の創業者にして、ヘッジファンドの帝王と呼ばれるレイ・ダリオ氏。12歳で初めて株を買ったというダリオ氏が、世界一のヘッジファンドを作り上げるまでになった背景には、どのような投資哲学が隠されているのだろうか。本特集では、レイ・ダリオ氏の動向を洞察して、帝王の真髄に迫りたい。
【第1回】では筆者がブリッジウォーター社を訪問した際の様子をレポートすると共に、ダリオ氏の半生を紹介する。また、アルファ・ベータ投資法というダリオ氏の投資戦略についても解説していく。
レイ・ダリオ氏は世界一のお金持ち?
こんにちは、某金融機関にてシニアプライベートバンカーをしていたZです。職業柄、私はよく海外の金融機関(ヘッジファンドやプライベートバンク等)のオフィスへの視察・訪問へ出かけるので、先日そのレポートなどについても書きました。
今回は、米コネチカット州のある世界最大規模のヘッジファンド、ブリッジウォーターへ訪問した際のレポートをお届けします。
ブリッジウォーターは世界最大級のヘッジファンドと言われていますが、それだけではなく、創業者レイ・ダリオ氏は世界一の大金持ちではないかとまで言われている人物です。 守秘義務契約が厳しいので、訪問時の詳細までは書けませんが、公になっている情報を中心にその場の雰囲気等をお届け出来ればと思います。
世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターとは?
ブリッジウォーターのオフィスは、多くのヘッジファンドが本社を構える米コネチカット州にあります。 森と小川に囲まれたオフィスで、「まるで山荘のようだ」と言わるほどです。
ブリッジウォーターは世界最大級、あるいは世界一のヘッジファンドと評され、HFM Absoloute Return社が発表した2017年の運用資産残高(AUM)ランキングでは1247億ドルで1位となっています。
日本の投資家の間では知名度はそれほどではないものの、米国最大の年金基金カルパースをはじめ、ハートフォード生命など大物機関投資家からも資金を預かるなど評価が高いヘッジファンドです。
また、基本的に大口の機関投資家以外を彼らは顧客にはしていないとのことです。
オフィスを訪問しての感想ですが、社員の皆さまの雰囲気が非常に良い会社でした。グーグルのように全て無料の高級カフェテリアなどがオフィスの中にあったり、労働スタイルがフレキシブルだったりと、社員が働きたい会社の代表のようなイメージです。 社内のコミュニケーションも活発で、常に同社のトップであるダリオ氏に対して意見をぶつけることを要求されているそうです。もしそこで、何らかの意見を表現できなければ、減給されてしまうというという噂さえあるとのことでした。