シンプルなアニメーションで経済を解説した「30分で分かる経済の仕組み」は、世界金融危機を予見し、世界最大級のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏の著書を元に制作された。物事の透明性と体系化を好むレイ・ダリオ氏らしく、シンプルかつ総括的に世界経済の波の動きを捉えた必見の動画である。

No.1ストラテジストが教える 日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法
(画像=Thinkstock/GettyImages)

視聴のポイント

30分間の動画内では、「クレジット」の重要性を通じて経済の動きを語っている。信用によって生み出されるクレジット取引の効果、クレジットによって生み出される「債務」、そして債務サイクルの小さな波と大きな波に沿って、経済が動いているという内容だ。

視聴する際にはクレジットが引き起こす経済効果とイベント、そしてイベントに誰がどうアクションを取るかを意識しながら見ると、より理解が深まるだろう。動画は以下の流れに沿って話が進められている。

経済は取引の集まりであり、機械のように稼働している

経済は「取引」の無限の積み重ねによって成り立っている。どんな市場に売り手と買い手がいて、お金またはクレジットを、物品・サービスや資産などの取引している。取引は「返す」という約束を元に、「クレジット」ですることもできる。クレジットの市場は貸し手と借り手がいる。

クレジットがない経済では、支出は生産量をふやさないと増加しない。クレジットを使える経済では、収入以上の支出が可能だ。ある人の支出は、ほかの人にとっては収入になる。クレジットは借り手にとっては債務で、貸し手にとっては資産だ。クレジットは経済に動きを与える波となり、クレジットで取引が繰り返されることによって、経済の波はどんどん成長していく。

経済は「生産力の成長」、「債務の短期的な周期」と、「債務の長期的な周期」という3つの要素が組み合わさって動いている。

生産性は取引のための材料を作り出すために重要だが、短期的に大きく変動はしない。その代わりにクレジットを使って、生産額よりも消費額を増やすことができる。クレジットによる取引が、経済の波を少しずつ大きくしていく。

経済の波が大きくなっていくということは、クレジットによる債務が膨れ上がっていくということだ。債務には5~8年の短期周期と、75~100年長期の2種類がある。

短期の債務周期の波は見えやすく長期の波は捉えにくい

5~8年ごとの債務の短期周期は比較的分かりやすい形で訪れる。実際の生産性より支出や消費額が増えて、物価が上がり始めてインフレになるからだ。インフレを避けるためには、債務を減らさなくてはいけない。そのため中央銀行は、金利を上げて借りにくくする。同時に債務の利子も上がるので、返済のコストも上がる。支出が減って不景気になるがインフレも解消されて、中央銀行は再び利子を下げ経済の活性化を促す。

短期の債務周期の波は、繰り返すごとにどんどん大きくなる。そして75~100年に1度の長期周期の波が訪れる。所得や支出の縮小が始まり、資産価格の急落や消滅、銀行の経営難やクレジットの消滅などが続発し、悪循環が起こる。これを正すためには、支出の抑制や債務の再編と解消、富裕層への課税による富の再配分、そして中央銀行による紙幣の増刷などの対応が必要となる。その後経済活動が正常に戻るのに10年以上かかり、「失われた10年」と呼ばれる。

覚えておきたいダリオ氏による3つの経験則

ダリオ氏は動画のエンディングで、3つの経験則をシェアしている。

・債務を所得より速いスピードで増加させると、債務負担に耐え切れない
・競争力を持続するため、所得を生産性より早く増加させない
・生産性を向上させるための努力が、長期的にみて一番重要

これらの経験則と共に、日ごろから今の経済はどの時期にあたるのかを考え、そして「人はすべてが順調だと思いがち」という、ナレーションからの一句を常に心に留めておきたい。

豪州在住フリーライター サーロー清雅(さやか)
外資ITコンサルティング企業、米系運用会社にて日本、インド支社勤務後に退職。異文化で海外準富裕層の資産形成に対するスタンスや、お金との付き合い方を垣間見る。日本人の金融リタラシー向上へ貢献することをモットーに、国内外の資産運用・投資情報など、人生を豊かにするためのマネー情報を発信中。