配当控除は、法人の法人税と個人の所得税の二重課税を排除する目的で設けられた制度だ。
この記事では、配当控除がどのようなものか、その仕組みについて解説する。

配当控除に関するQ&A

(画像=PIXTA)
Q


配当控除とは、どのようなもの?

企業は事業を行った結果である利益から法人税を支払った後、配当金を分配している。一方、個人が配当金を受け取る際は、源泉所得税が控除されている。

つまり配当金という1つのものに、企業が法人税を支払い、個人は源泉所得税を支払うという2つの税金が課されているわけである。

しかし二重課税は違法とされており、配当金の二重課税状態を排除するために、配当控除という制度が設けられている。

企業は事業を行った結果である利益から法人税を支払った後、配当金を分配している。一方、個人が配当金を受け取る際は、源泉所得税が控除されている。

つまり配当金という1つのものに、企業が法人税を支払い、個人は源泉所得税を支払うという2つの税金が課されているわけである。

しかし二重課税は違法とされており、配当金の二重課税状態を排除するために、配当控除という制度が設けられている。


Q


配当控除を受けないほうが得になることがあるって本当?

基本的な考え方としては、配当控除を利用することで、配当金を受け取ったときに支払っている源泉所得税の還付が受けられるようになっている。

そのため、配当控除を使ったほうがお得と言えるはずだが、実際には配当控除を利用することで、不利になるケースもある。

具体的には、所得税率などが高くなってくる課税所得金額900万円以上のケースだ。ほかにも年金受給者や自営業など、国民健康保険に加入している人の場合、配当控除を利用すると、国民健康保険料が上がることもある。

基本的な考え方としては、配当控除を利用することで、配当金を受け取ったときに支払っている源泉所得税の還付が受けられるようになっている。

そのため、配当控除を使ったほうがお得と言えるはずだが、実際には配当控除を利用することで、不利になるケースもある。

具体的には、所得税率などが高くなってくる課税所得金額900万円以上のケースだ。ほかにも年金受給者や自営業など、国民健康保険に加入している人の場合、配当控除を利用すると、国民健康保険料が上がることもある。


Q


特定口座源泉徴収ありでも配当控除は利用できる?

特定口座とは、証券会社が顧客に代わって年間の株式等の譲渡損益と配当金との損益通算を行って、納税してくれる制度である。

給与所得の年末調整に似た制度であり、確定申告を不要にできる制度でもある。しかし、確定申告を選ぶこともできるので、確定申告で配当控除をすることも可能だ。

特定口座とは、証券会社が顧客に代わって年間の株式等の譲渡損益と配当金との損益通算を行って、納税してくれる制度である。

給与所得の年末調整に似た制度であり、確定申告を不要にできる制度でもある。しかし、確定申告を選ぶこともできるので、確定申告で配当控除をすることも可能だ。

配当控除ってどんな制度?

配当控除は、法人の法人税と個人の所得税の二重課税を排除する目的で設けられた制度だ。
配当金を支払う源泉となっている企業の利益に法人税が課税され、さらに個人に所得税が課税されている。

1つの課税対象に2つ以上の課税が行われていることを「二重課税」と言い、徴税権の濫用と法律では考えられている。

実は、二重課税と考えられるものはほかにもあり、身近なところでは軽油が挙げられる。軽油に軽油税をかけ、そこに消費税もかけるという、税金に税金をかける二重課税の関係になっているのでは、と疑問視されている。

配当金の二重課税

企業の利益×法人税=当期純利益
当期純利益から支払われた配当金×源泉所得税=配当金受取額

つまり、「企業利益(配当金)×法人税×源泉所得税=配当金の受取額」となっており、配当金は法人税に所得税をかけている二重課税なのではないかと言えなくもない。

配当控除の仕組み

配当控除は、配当金にかかる二重課税を調整するために、配当金の一定割合を所得税額から控除する税額控除である。

具体的には、「配当所得の金額×10%」で計算した金額を、所得税の額から控除する。また住民税にも配当控除があり、こちらは「配当所得の金額×2.8%」で計算する。

ただし、配当控除も所得税の累進課税のように、所得の高い人に対しては控除額を小さくして調整を行う仕組みが設けられている。課税所得金額が1000万円を超える場合、配当控除の計算で控除率が下がることになっている。

(国税庁ホームページ 『No.1250 配当所得があるとき(配当控除)』)

配当金の申告方法

配当金の税制を複雑にしている要因の一つに、配当金を申告する際の申告方法がいくつもあることが挙げられる。

配当金の申告方法には、以下の3つがある。

⑴配当控除を利用するための「総合課税」
⑵売却損と損益通算するための「申告分離課税」
⑶そもそも申告をしない「申告不要制度」

総合課税

配当控除を利用して税額控除を受ける総合課税を選択するメリットは、配当控除によって配当金に課税される所得税を減らす効果があることだ。

しかし、所得が増えるなどして、配当金の源泉所得税の税率(所得税15.315%、ほかに住民税5%)以上に、所得税率が上がったときは、確定申告をしない申告不要制度を利用することで、配当金の納税を源泉徴収で完了することができる。そうすることで、実質的な納税額を減らすことができる。

申告分離課税

申告分離課税は、配当金収入以外に、株式等の売却で損失が発生した場合に有利となることがある。

具体的には、株式等の売却による損失と配当金を損益通算することで、配当金の利益を相殺できる。

例えば、配当金1万円(源泉所得税1531円、住民税500円)に対して、2万円の売却損があった場合、2万円の損失に1万円の配当金による利益を合算して、合計1万円の損失として申告できる。すると、配当金を受け取るときに控除されている源泉所得税等は、所得がないのに支払っていることになり、確定申告すると還付が受けられる。

しかし、株式の売却損は翌期以降(3年間)に繰り越すこともできるため、配当金で損益通算するか、それとも配当金で損益通算せず、売却損だけを翌期に持ち越すかを検討する必要がある。

仮に翌期以降は株式の売買で利益が出ることが分かっていれば、損益通算する申告分離課税ではなく、配当控除の総合課税を選択することも考えられる。

申告不要制度

配当金には、源泉所得税が課され、配当金の受取時にすでに納税していることもあり、確定申告をしなくてもいい確定申告不要制度がある。

確定申告不要制度では、1回に支払を受けるべき配当等の額ごとに、確定申告で申告するかどうかを選択できる。

確定申告不要制度を選択することで、課税所得金額が増えないというメリットがある。そのため高い税率が課せられている人は、配当金に係る税率を低くし、実質的な税負担を軽減できる。

また、個人事業者や年金受給者などの国民健康保険加入者は、申告不要制度を選んで配当所得を申告しないことで、国民健康保険料の増加を防げるケースもある。

さらに言えば、配当の支払いごとに申告するかしないかを選択できるため、実際に計算して一番メリットがある所得金額になる分まで配当金を申告し、それ以外の配当金は申告しないことも可能だ。

このように配当金の税制には、さまざまな選択肢と組み合わせ方があるため、使いこなすことが難しい制度でもある。

配当控除の有利になる目安は、課税所得が900万円?

課税所得金額が900万円を超えると、配当控除を利用せずに、申告不要制度を選択したほうがよいといわれている。ここでいう課税所得金額は、最後に税率をかける金額のことであり、収入ではないことに注意だ。

課税所得金額とは、収入から給与所得控除などの控除を行い、さらに扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除などの所得控除を行った後の所得である。つまり、実際の収入金額は通常900万円よりも多くなっている。

ちなみに、課税所得金額が900万円を超えると、配当控除を使わないほうがよいといわれているのは、税率の違いによるものである。

課税所得金額900万円以下が配当控除で有利になる理由

課税所得金額が900万円の人の税率は所得税が23%、住民税が10%で、合計33%になる。配当控除を選択した場合の税額控除額は、所得税が配当所得の10%、住民税が配当所得の2.8%で、合計12.8%になる。

つまり、配当所得にかかる所得税と住民税の実質的な税率は、33%-12.8%=20.2%だ。

配当金の源泉所得税の税率は、20%(所得税15%、住民税5%、ほかに復興特別所得税0.315%引かれている)なので、比較してどちらが有利になるのか考えるとよい。

また、確定申告では配当所得を総合課税で申告し、住民税では申告不要制度を選択するという方法もある、この方法を利用することで、配当控除がより有利になる可能性もある。(住民税の税率は10%、配当の住民税の源泉徴収税率は5%)

結論としては、確定申告では総合課税を選択して配当控除を利用し、住民税では申告不要制度を利用する方法を選べば、課税所得金額900万円以下が配当控除によるメリットが得られる所得金額の目安ということになる。ちなみに、900万円以下というのは、配当控除の対象となる配当所得も加算しての900万円以下になる。

実際の確定申告では、復興特別所得税など他の要素も加味して考える必要がある。確定申告書を作成する際に実際の数字を使って計算しながら、有利不利の判定を行うとよいだろう。

所得が少なくても配当控除を使わないほうがよい場合

所得が高くなると、配当控除を使うよりも、申告不要制度を選択したほうが有利だが、所得が少ない人は、配当控除を利用したほうがよいかというと、そうとも言い切れない。

なぜなら、配当控除を使う際は、総合課税で申告することになり、総合課税として取り扱うことで以下のような問題が出るおそれがあるからだ。

⑴国民健康保険税が上がる
⑵扶養から外れる可能性がある

(1)国民健康保険税が上がる?

総合課税扱いになると、所得金額が増える。そして、所得金額が増えると国民健康保険税も増える。

国民健康保険税の所得割の計算では、総所得金額が対象である。つまり、扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除などを控除する前の所得金額が、国民健康保険税の額に影響してくるのだ。

配当所得を総合課税で申告すると、この総所得金額にプラスされることになるので、国民健康保険税が上がることになる。

⑵扶養の対象から外れる可能性がある?

配当控除を総合課税で申告すると、総所得金額に配当所得がプラスされる。すると、所得税の扶養控除対象の合計所得金額48万円を超え、扶養控除の対象から外れるケースもある。

パート収入などの所得を48万円以下に抑えていても、配当控除を使って節税しようと考え、総合課税で確定申告してしまうと、節税額以上の税額負担を扶養者に負わせてしまい、世帯全体でみると損することもあるので注意が必要だ。

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