東京圏を中心に、高額所得者が高額の超高層マンションを取得するケースが増えています。しかし、年収が高くなるとついつい資金計画の基本を忘れてしまいがちです。落とし穴にはまらないように、高額所得者だからこそ慎重な資金計画が欠かせません。たとえば、年収1,000万円で8,000万円の超高層マンションを買う場合の注意点をみてみましょう。
自己資金は1割以上できれば2割以上
8,000万円という高額マンションですから、いくらの自己資金を用意するのかによって、返済後の負担には大きな差が出てきます。金利1%、35年元利均等返済でみると、自己資金割合別の負担はこうなります。
自己資金割合 | 借入額 | 毎月返済額 | 返済負担率 |
---|---|---|---|
0割 | 8,000万円 | 22万5,828円 | 27.1% |
1割 | 7,200万円 | 20万3,245円 | 24.4% |
2割 | 6,400万円 | 18万0,662円 | 21.7% |
3割 | 5,600万円 | 15万8,079円 | 19.0% |
4割 | 4,800万円 | 13万5,497円 | 16.3% |
自己資金を2割用意すれば、毎月の返済額は18万円台で、年収に占める年間返済額の割合である返済負担率は21.7%ですみます。住宅ローン返済にとられるのは、年収の2割強ですから、家計管理にもゆとりが出てきそうです。
しかし、自己資金ゼロだと毎月返済額は22万円台になり、返済負担率も27.1%に高まります。収入の3割近くをローン返済に充てなければならないのは、いくら年収1,000万円といっても決してラクではないでしょう。
自己資金が多いほど金利が低くなる
しかも、この試算では金利1%と同じ条件で比較していますが、自己資金割合によって住宅ローンの適用金利が変わることがあります。民間金融機関でも金利引下げ幅が最も大きい最優遇金利が適用されるのは、自己資金2割以上というところが少なくありません。自己資金が少ないと、最優遇金利より0.2%程度金利が高くなることがあるのです。
また、住宅金融支援機構と民間提携のフラット35では、自己資金1割以上と1割未満では金利が大きく異なります。2019年2月の金利をみると、返済期間35年で自己資金1割以上なら1.31%ですが、1割未満だと1.75%になります。これだけ違ってくるのですから、どうしても自己資金1割以上を用意したいところです。
ですから、所得が多いからと油断せずにまずは1割か、できれば2割以上の自己資金を用意してから超高層マンション取得を考えましょう。
特にパワーカップルにはリスクが2倍
最近増えているのが、パワーカップルが高額の超高層マンションを取得するケース。パワーカップルの定義も、夫婦ともに年収700万円を超えている、あるいは夫婦で年収1,000万円などさまざまですが、いずれにしても、夫婦でガンガン稼いで、その勢いで高額物件を取得している人たちです。
その場合に注意しておく必要があるのが、共働き世帯には専業主婦世帯に比べて収入がダウンするリスクが2倍あるという点です。専業主婦世帯だと夫が病気やリストラなどで収入が減ったり、無くなったりしたらたいへんですが、共働き世帯には夫の収入が無くなる場合に加えて、妻の収入が無くなるリスクもあるわけです。だからこそ、より慎重な資金計画が欠かせません。どちらかの収入が無くなっても一定期間は生活できる資金を蓄えておくのと同時に、何とかやりくりすれば、どちらかの収入だけでも返済を維持していけるような資金計画にすべきでしょう。
中古マンションはローン減税が少なくなる
取得にあたっては、消費税やローン減税などにも注意しましょう。新築マンションだと、2019年10月から消費税が10%になりますが、その分、ローン減税の控除期間が10年から13年に延長され、実質的な負担増はなくなるので心配はありません。
一方、中古マンションを個人の売主から取得する場合には、消費税はかかりませんが、その分、ローン減税額が少なくなります。新築住宅の場合、ローン減税の対象となる限度額は4,000万円で、控除率は1%ですから年間最大40万円の減税です。でも、中古住宅の上限は2,000万円で控除率は同じく1%なので、年間最大20万円になってしまいます。しかも、消費税増税後の控除期間3年間の延長も適用されません。新築に比べて控除額が200万円、300万円と少なくなります。タワーマンションでも中古のほうが安いからと飛びついてしまうと、後悔する可能性もあるので注意が必要です。
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