(写真=PIXTA)
運用成績によって年金額が変わる「確定拠出年金(DC)」について、フィデリティ投信が今年5月に行った「サラリーマン1万人アンケート」では、2010年からの5年間でDC加入者が倍増したことがわかった。( なぜ確定拠出年金加入者の退職準備額は非加入者の1.5倍なのか )この全体の加入者増加に伴い、これまで少数しかいなかった個人型DC加入者の数も831人まで増え(2013年は430人)、初めて細かい分析が可能となった。個人型の加入者にはどのような特徴があるのだろうか。
調査を実施したフィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は、「平均保有資産」「退職後の生活にポジティブなイメージを持つ人の比率」など、さまざまな項目で企業型、個人型、それぞれの加入者を比較した。すると大きく違ったのは退職準備額と年収だった。
自分の意思で加入している
個人型DC加入者の年収は平均555.3万円で、企業型の加入者より約46万円(8%)低かった。一方、退職準備額は1149万円で約175万円(18%)多く、
「年収は低いけれど、退職準備はしっかりしている」という特徴が浮かび上がった。これはよく考えると筋の通った結果である。
個人型DCの加入者は「企業型DCを採用する余裕のない小規模な会社に勤めているけれど、個人型DCが持つ非課税効果を知っている、または投資の意味を知っている人」と言い換えることもできる。
フィデリティ投信のアンケート結果では、DCに加入しているか否かというより、DCを知っているか否かの方が退職準備に効果があると推測されている。「個人型の加入者は企業型に比べて自分の意思でDCに加入している。このため、年収が低くとも効果がより大きく出たのではないか」と野尻所長は分析している。
個人型、企業型それぞれの加入者を比較したその他の項目では、NISA口座の開設者比率(個人型33.9%、企業型比6.9ポイント増)、投資をしている人の比率(43.3%、3.4ポイント増)も個人型が企業型を上回っていた。投資をしている人に関して言うと、個人型DC加入者の投資は総じて分散が進んでいた。