中村真広代表取締役CCO
(写真=リフォーム産業新聞/ツクルバ 中村真広代表取締役CCO)


「カウカモ」誕生

東京の中古住宅を取材・紹介し、流通を促進するオンラインマーケット「カウカモ」を今年の6月にスタートさせました。売り主様へのヒアリング、写真の撮り下ろしなど、編集部による丁寧な取材を行い、スペックには表れない中古住宅の魅力を引き出した記事を作成。

オンライン上で効果的に情報接点を生み出すことを強みとするサービスです。掲載に関する取材費用は無料、掲載物件が成約に至った場合のみ手数料を頂いています。


変化の兆しとともに

新しいサービスは、どんな時代も変化の兆しとともにあると考えています。マーケットや消費行動、そしてテクノロジーの変化など、いくつかの変化の兆しを捉えながらカウカモの枠組みを構築してきました。ひとつは新築から中古への変化。欧米に比べてまだまだ新築の流通量が多い日本ですが、既存ストックの活用が業界関係者の共通の標語になって久しく、少しずつではあるものの中古住宅の流通に追い風が吹き始めています。

次に情報接点の変化。もはや現代人はパソコンよりもスマートフォンを見ている時間の方が長く、住宅購入に関する情報接点としてもスマホシフトは確実に起こってきています。不動産情報との出会い方についても、スマホの小さな画面に特化した情報のデザインが必要になっていくでしょう。

そして、消費行動の変化。特に若い世代においては、多くの人に支持されているスペックの高い量産品から、自分が共感するストーリーのある一点ものへ、消費行動の重点が移りつつあるように思います。

これから初めて住宅を購入する世代に「自分らしい暮らしは一点ものの中古住宅で手に入れよう!」というメッセージが受け入れられているのは、決して住宅購入に限った消費の価値観ではなく、ファッションやWEBサービス等におけるパーソナライゼーションと重なる変化といえるでしょう。

このような3つの変化の兆しを捉え、一点ものの中古住宅に関する情報を、ストーリー仕立てにして、スマートフォンに特化して編集したものがカウカモなのです。


今後の住まい文化へ

新築分譲時にはいくつかの住戸タイプしかなかったマンションが、住み継がれていくことで少しずつリノベーションされて、一点ものの中古になっていく。これまでに供給されてきた住まいに様々な人の手が加わることで、その時代に合わせた住まいとしてブラッシュアップされ、次の住まい手にバトンがパスされていく。

このような循環に今後の住まい文化の可能性を見いだしており、その醸成にカウカモを通じて寄与したいと考えております。

ツクルバ 中村真広代表取締役CCO
1984年生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、展示デザイン業界を経て、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する、場の発明カンパニー「株式会社ツクルバ」を共同創業。(提供: リフォーム産業新聞 10月20日掲載)

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