社長公募に応じて入社したのにも関わらず、社長の座が譲られずに損害を受けたとして、入社した男性が毛髪クリニックリーブ21に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁・福田修久裁判長は、同社が事実と異なる説明をしたことを認め、リーブ21に慰謝料100万円の支払いを命じた。

公募により次期社長候補を募集 500人が応募

(画像=Webサイトより)

リーブ21は1976年創業、資本金は4000万円。現社長の岡村勝正氏が独自に発毛研究を行い、16年の歳月をかけて完成させた発毛理論で発毛業界最大手となる17万人以上の会員数を誇る(2016年時点)。従業員数は650人。

次期社長 を公募したのは2011年8月。転職サイト大手「ビズリーチ」と提携し、約2カ月間次期社長候補の公募を行った。2012年3月6日には、500人の応募者の中から4人の次期社長候補を決定。1年前後、岡村氏と一緒に仕事を行い、会社や業務内容について理解を深めたのち、4人の中から新社長を決定するとされていた。新社長以外の候補者は、経営幹部としてその後も雇用されることも報道向けのニュースリリースに明記されていた。

「発毛率95%以上」が虚偽という主張は退ける

今回訴訟を起こした 男性は、4人の候補者の一人。2012年2月に社長候補者として入社したものの、2012年12月ごろに社長にはしないと伝えられて退社した。他の3人も2、3カ月後に退社した。その後「実際は社長に引退の意思はなく、公募は虚偽だった」としてリーブ21側に4000万円の損害賠償を求めて提訴した。

福田裁判相は、岡村社長に引退の意思はあったとは認めたが、公募の際、次期社長になるのに長くて3年かかり、代表権の上とはさらに検討を要すると想定していたことを指摘。「3年かかるなら応募しなかった」という男性側の訴えを認め、100万円の損害賠償の支払いを命じた。

男性は、同社が公表している「発毛率95%以上」が虚偽で、実際は約40%であるとも主張していた。これについては、リーブ21が不満を抱いた顧客に返金した割合から発毛率を計算していたことから、偽ったとまでは言えないと退けた。

訴訟を起こした男性をはじめ、4人の社長候補はそれぞれ別の企業で取締役などのキャリアを持っていた。話題性だけでなく、今後の企業の成長を促すための若返り策として行われたはずの社長公募がこのような結果になったことは、残念というしかない。(ZUU online編集部)

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