立退き料とは

立退き料については、賃借人が退去に合意すれば、特に発生することはない。しかしながら、賃借人が退去に難色を示す場合は必要になってくる。立退料はゴネ得の世界だ。

一般的にマンションのように用途が住居の場合は、立退きであまり揉めることはない。引越代程度の負担を提示することにより合意に達することもある。問題となるのが、用途が店舗の時である。店舗はそこで商売をしているため、場所を移転してしまうと今までの顧客を失うことに繋がる。特に床屋や美容院、歯医者のように商圏の狭い商売をしている店舗は、立地の移転により再度顧客を獲得しなければならないという営業上の損失が発生する。


店舗の場合は要注意!

このように、もしテナントに店舗が入っている場合の立退きは要注意だ。場所や規模によって、店舗の立退き料は億単位になってしまったという事例もある。立退料の中に、移転による利益の逸失を補てんする営業補償が含まれる。

また、立退料の中には今の賃料と移転先の賃料の差額賃料の補償という考え方もある。移転先の賃料が高ければ、その差額を1~2年分程度は補償する。これはつまり裏を返せば、今の賃料が安ければ、差額賃料が大きくなってしまうことを意味する。オーナーが親切心から安く貸してあげたのに、立退きのトラブルにより立退料が高くなってしまうことがある。オーナーからすれば恩を仇で返されるような話だ。