不動産オーナー,立退き料
(写真=PIXTA)

古くなったマンションやアパートを蘇らせる手法として、建替えやリノベーションがある。オーナーとしては新たな投資が発生するため、資金やスケジュールについての綿密な計画が必要だ。ハウスメーカーやリノベーション業者は、リニューアルに必要な資金や、リニューアル後の収支計画は提示してくれる。

ただ、リニューアルに至る道筋の中で、一つ抜けている課題は無いだろうか。それは既存の借家人の立退きである。ハウスメーカー等の業者は立退きが終わった後の物件からは協力してくれるが、立退きはオーナー任せである。そこで今回はオーナーがやるべき立退きについて、基本的事項を紹介していきたい。


普通借家契約は立退きが大変

個人オーナーが不動産の賃貸借契約を締結している場合、ほとんどが普通借家契約を締結していると思われる。賃貸借契約書は大きく分けて2種類ある。普通借家契約書と定期借家契約書だ。契約期間が定められていても、更新規定のある契約書は、普通借家の契約書だ。普通借家の場合、オーナーから借家人に対し、解約を申し出ても正当事由が必要となる。正当事由とは賃貸人が建物の使用を必要とする事情等の理由が必要になる。


リニューアルは正当事由になるか

この立退きに必要な正当事由であるが、例えば空室対策のために建て替えやリノベーションをしたいといった理由は正当事由に該当しない。よっぽど建物が老朽化し、朽廃を免れないような状況であれば別であるが、そうではない限りただ改装をしたいだけでは、借家人を立ち退かせる理由とならない。このように正当事由が弱い場合には、正当事由を補強するため、立退料が必要となる。