相手の趣味について「教えを請う」姿勢を

(写真=The 21 online)
(写真=The 21 online)

関係が深まってきたら、「相手の会社の話題」から「相手自身の話題」へと、さらに絞り込んでいく。

「プライベートでの習慣や趣味の話で、距離をさらに縮めましょう。週明けの訪問なら、『週末はどこかに行かれましたか?』などと聞いてみる。そこで、『毎週末、子供たちに野球を教えているんだ』などという答えが返ってきたら、必ずメモしておくこと。次の訪問時に『練習は順調ですか?』『試合はどうでしたか?』などと、継続性のある話題として展開できます」

人は、趣味のことについては話したいもの。相手の趣味がわかれば、それについて教えを請うことで、雑談を盛り上げることができる。

「たとえば、ゴルフが趣味の相手なら、『私の友人もゴルフをやるのですが、良いドライバーを探しているそうで……』と相談してみる。その友人が実在していなくてもかまいません(笑)。『それなら○○が良いよ』と教えてもらえれば、『○○部長のおかげで良いドライバーが見つかったそうです!』とお礼を言う。そう言われると、相手は気分が良いですよね」

さらに、応用編として、「わざと間違える」というテクニックもある。

「相手が釣り好きで、よく行くスポットがわかったとしましょう。そうしたらネットで『そこではクロダイが釣れるんだな』と調べておく。そのうえで、わざと『確か、アイナメが釣れるんでしたっけ?』などと間違ってみるのです。すると、『違うよ、クロダイだよ~!』と、嬉しそうに話し始めてくれるでしょう。

逆に、調べた情報を詳しく語るのは厳禁です。相手が興醒めしてしまいますから」

雑談を切り上げて本題に移る「裏ワザ」とは?

営業成績を上げるためには、もちろん、雑談だけで終わってはいけない。本題に移るときには、雑談を切り上げるテクニックも必要だ。

「スムーズに本題に移行できなければ、『すっかり盛り上がってしまいましたが、今日はですね……』と、明確に切り出してもかまいません。相手の話がなかなか止まらず、言い出すスキが見つからないときにお勧めの裏ワザは、『内ポケットのスマホが震えたフリ』です。『あっ』と言って申し訳なさそうにスマホ画面をチラリとのぞき、『すみません、大丈夫でした』。これだけで流れが止まり、場の空気が切り替わります」

本題に入ったあとは、長々と話さないことを心がけたい。

「とりとめもない会話を楽しむ雑談と違い、本題はムダなく話すことが重要です。何十分も時間をかけて話すと、相手の集中力が落ち、提案内容の印象が弱くなります。『本題2割』の鉄則を、ここでも忘れてはいけません」

横山信弘(よこやま・のぶひろ)〔株〕アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長
1969年、愛知県生まれ。〔株〕CSK(現SCSK〔株〕)、〔株〕日立製作所を経て、2004年に〔株〕アタックスに入社。コンサルタントして指導を行なう他、『絶対達成』シリーズ(ダイヤモンド社)をはじめとする著書の執筆、コラムの連載、講演、セミナーなど、幅広く活躍。12年、〔株〕アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長に就任。近著に『話を噛み合わせる技術』(フォレスト出版)などがある。(取材・構成:林加愛 写真撮影:長谷川博一)(『 The 21 online 』2016年5月号より)

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