「火の玉ガール」。こんな名前の情熱的な女性不動産投資家がいると聞きつけ、2016年3月下旬、DAILY ANDS編集部は都内とあるオフィスビルのカフェを訪ねました。聞けば、旅行会社にフルタイムで働く傍ら、区分マンションや戸建て、アパートなどを所有し、不動産だけで年間500万円ほど家賃収入を得ているとか。
一体どうやってそんなに稼いでいるのだろう? ドキドキしながら待ち合わせ場所のカフェで待機していると、はつらつとした表情が印象的な女性が現れました。
不動産投資をはじめたキッカケは
いただいた名刺を見ると、”火の玉ガール(炎の不動産投資家)/日野環”との表記。裏を見ると、保有物件がずらり。数えてみると合計6物件が記載されています。えーと、どれくらい稼がれているんでしょうか?
「そうですね、だいたい家賃収入が500万ぐらいで、ローン返済とか差し引くと280万円ぐらいの利益が出ています」(日野さん)
日野さんが不動産投資を始めたきっかけは2011年の東日本大震災。本業では中国人のインバウンド旅行業手配を行っていますが、震災の後、仕事がぱったりなくなりました。そこで、「暇だから何か勉強しよう」と思い、社労士とファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を立て続けに取得したのだそうです。このFPの勉強で一番おもしろかったのが「不動産」の科目でした。
「それまでは家なんて賃貸でいいやって思っていたけど、それって消費者の発想だって気づいたんです。不動産投資って経営者の視点ですよね。世の中きっと、消費者の側にずっといたら搾取されるばかりだなって」(日野さん)
日野さんは当時38歳。その後、民間の教育機関で不動産投資について学び、FP資格取得から約2年後に最初の物件を購入しました。2件目までは、教育機関で学んだ通りに区分マンションを購入。そのうち、大家の集まりに顔を出すうちに人脈や知識も広がり、アパートなども買うように。どんどん不動産の魅力にはまっていきました。
不動産の魅力って?
日野さんが思う不動産投資の魅力はズバリ「意外なことが起こること」。
日野さんがある日、何気なく四国の不動産サイトを見ていると、530万円で売りだされている戸建て物件がありました。「昭和55年の物件で新しくもないし、相場から言うと明らかに高くて、これは絶対におかしいと思った」。そこで日野さんが「説教でもしてやろうかな」と不動産業者に電話をかけたところ、業者から「この物件、アパートついてるんですよ。載せるの忘れてました」との返答が。
「これはお宝かも!」と日野さんは思い、「すぐ情報を送ってください」と業者に伝えました。見れば、アパートも戸建ても満室で、計算すると利回りは24%でした。日野さんはその場で購入を決めたそうです。「不動産って、ほかの金融商品ではありえないびっくりするようなことが起こるんですよ」と笑います。
「戸建て」として売り出されている物件が、実際に図面を見てみるとアパートだった、ということもありました。その物件については、不動産業者に400万円での購入を持ちかけると、「380万円でいけます」と返答があり、なぜか安価で購入できたそうです。「不動産だとこういうすごくびっくりする『事件』が起こる。超おもしろいなと思う」と日野さん。
もともと意外なことが起こるのが好き
日野さんは本業では中国人観光客のインバウンド旅行業の手配を行っています。以前、インバウンドからアウトバウンドの部署へ異動の辞令が出た時に断ったほど、日野さんは中国人と接する仕事が「自分には合っている」と思うそうです。
「私が中国人との仕事が好きなのって、意外なことが起こるからなんです」。日野さんによると、中国人観光客では「明日のホテルがない」ということが普通にあるそうです。宿泊するホテルを探してあげると、「遠い」「高い」と平気で苦情を言う。「切羽詰っているのにまだ文句を言うのか!」とツッコミたくなるそうです。
阪神・淡路大震災を機に中国へ
そもそも日野さんが中国人相手に仕事をしているのは、大学卒業後の留学経験にキッカケがあります。
日野さんは1995年、武庫川女子大在学中に阪神・淡路大震災で被災し、知人が亡くなるという経験をしました。「日本にいる限り、地震からは逃れられない。何かあったときに逃げ出そうにも日本語しか話せなかったらどこにも行けない。だから中国語を身につけようと思った」と、超展開の発想で大学卒業後すぐに中国へ渡ったそうです。
中国語が話せなかったのに、早く語学力を身に着けたくていきなり中級クラスへ参加。やはり中国語がわからず、現地の人と麻雀をやりながら中国語を取得。途中、お金がなくて料理をしながら留学生の部屋を渡り歩くーーーなどなど、日野さんのバイタリティあふれるエピソードは尽きません。意外な出来事にあふれた中国生活について、「中国って本当おもしろいところだなって思いました」と日野さんは振り返ります。
不動産と恋愛ってすごく似ている
不動産が他の金融商品と違って”意外性”があるのは、人が関わって売買が成立しているためです。人が関わっているので、「努力のしがいがある」と日野さんは話します。
「基礎が割れているとか、見た目が汚いとか、空室とか、条件が悪くても自分の手でなんとかできるんです」と日野さん。物件の値段や改修にかかる費用も交渉して安くすることもできます。
日野さんは「不動産と恋愛ってすごく似ている」と言います。「物件に悪い条件があったとしても、直せばいいところは自分で直すし、諦めるところは諦めたらいいんです」。そんな不動産の魅力が”火の玉ガール”を惹きつけてやまないのでしょう。
最近は「株の方がいい」
不動産に魅力を感じている日野さんですが、最近は株式投資にも結構力を入れているそうです。「昔は不動産に比べて高利回りが期待しにくいから『株はばかばかしい』って思っていたんですけど、今思えば売買は簡単だし、配当も優待もあるし、株の方がいいかもってここ数年思っています」(日野さん)
日野さんにはすごく利回りのいい「おススメの銘柄」があるのだとか。DAILY ANDS編集部は前のめりになって耳を傾けました。<㊦に続く>
くすい ともこ
DAILY ANDS編集長。北陸の地方紙で5年間記者として勤務後、Web編集者に。「無理のない範囲でコツコツ」をモットーにインデックス投資を始めるも、含み損がコツコツたまっている。(提供:
DAILY ANDS
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