英国,法律,スタートアップ,フィンテック
(写真=PIXTA)

ロンドンに拠点を置く大手国際法律事務所シモンズ・アンド・シモンズが、FinTechスタートアップ向けの無料法律相談サービスを始める。

事業立ち上げの初期段階に、法律の壁や規制問題で頭を悩ますスタートアップは多い。複雑な問題に対策を提案、提供することで、英経済の将来を担う新企業の成長を促進する意図がある。

サービスは完全に無料で提供されるが、資本金1万ポンド(約1億6251万円)以上の企業のみに利用資格が与えられる。

「見返りや報酬を求めない」スタートアップ支援

政府の支援プログラムが追い風となり、昨年58万社のスタートアップを創出した英国。しかし事業を成功させるうえでの必須事項「法律および規制の厳守」に関して豊富な経験と知識がない限り、その複雑さに戸惑うことになる。

事業経験の浅いスタートアップが直面しやすい法律上の問題として、真っ先に挙げられるのは「契約問題」だ。雇用に関する契約からほかの企業や組織との提携関係、CA(M&Aの際に締結する契約)、NDA(秘密保持契約)に至るまで、生半可な知識では対応しきれない、込み入った法的事項を明確にすることが求められる。そのほか税金対策、著作権問題、商品サービス販売問題など数えあげたらキリがない。

大きな損害を与えかねないリスクの発生を事前に防止することは非常に重要だが、高コストな専門家への相談に二の足を踏まざるを得ないスタートアップが多いのが現状。

シモンズはスタートアップの成長を阻む壁を取り払い、経済促進に貢献するという観点から、広範囲にわたる知識と経験を無料で提供することにしたという。「現在と未来の英FinTech産業を支援するためのサービス」を、多くのスタートアップが利用することを期待している。

こうした大手企業による「見返りや報酬を求めない」スタートアップ支援が世界的な広がりを見せれば、より便利な金融サービス、社会の実現が早まるだろう。( FinTech online編集部

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