日経平均予想ジ レンジ 16,326 ~ 17,000 円
今週は欧米株高や円安進行など良好な外部環境を手掛りに、日経平均は6日続伸を絡め、6/1以来16,900円台の高値水準まで上昇した。当初、経済対策の事業費10兆円規模とみられていたが、更なる上乗せ方向で調整しているとの報道が思惑を誘った。
日本株の相対的割安感
先週来相場が急上昇したのは、参院選挙終了後に安倍首相が大規模な経済対策を指示したことや、米国の6月雇用統計の大幅改善を受けた米国株高がきっかけとなり、米長期金利上昇を通じてドル高、円安に傾いたことが追い風となった。
日経平均は、これまで上値抵抗線として意識された16,650円を上回ったことで、本格反騰への足掛かりを掴んだといえる。さらに上値を試すには海外勢の追随買いが欠かせないが、先週からは売買代金が3兆円にのせる日も見られ、海外勢の資金が流入している可能性が考えられる。
今回の参院選の結果、アベノミクスの信任で内閣支持率がやや上昇した上、世界株高の中で日本株の相対的割安感が意識されている。足元ではヘッジファンドなどのドル売り、円買いポジションの巻き戻しが起きていると予想されるだけに、海外勢が一段と強気に転じた場合、割安修正余地は大きいと考えられる。
需給面
一方、需給面では、裁定買い残高が、7/8、5,772億円と7年4カ月ぶりの低水準となった。4/22の17,572円の高値時点の2兆円の裁定買い残高から見ても急減ぶりが顕著。世界経済の警戒感からリスク回避の流れが強まり、7月オプションSQを契機にポジションを解消したことが主因。
しかし、相場環境の改善を受けて、改めてポジションを組む動きが見られ、7/15時点では7週ぶりに増加に転じてきた。裁定買い残高の増加は、今後の相場の牽引要因になるだけに注目しておきたい。
来週の株式相場
テクニカル面では、短期急上昇による過熱指標が一部見られるが、力強い相場の表れと捉えられる。心理的節目の17,000円が抵抗線として意識されるものの、上抜けとなれば5/31高値17,251円を目指す展開となる。ただ、月末の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待が高まっているが、肩透かしとなれば、失望売りから75日線近辺の自律調整は考慮しておきたい。
以上、来週の相場は政府の大規模な経済対策や日銀による追加緩和への期待感から戻りを試す流れは継続すると考えている。日経平均のレンジは、上値は17,000円の節目が意識され、下値は75日線の16,326円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト