日経平均予想ジ レンジ 16,326 ~ 16,943 円
今週は米国株が上昇一服の中、円高が進み、輸出企業の採算が悪化するとの警戒感が広がり、日経平均は99円台の円相場を嫌気して8/5以来一時16,500円台を割り込んだ。日銀によるETF買い入れ期待で下げ渋ったが、終値では25日線16,575円を上回れず、上値の重さは否めない。
海外の焦点
米国では株価の最高値更新や原油価格上昇が安心感をもたらしている。直近発表の経済指標はまちまちの内容となったが、雇用が良好な状況から足元の米経済は堅調との見方が根強い。結果として追加利上げ観測が高まらないことが米国株高の追い風となっている。
注目の7月FOMC議事録要旨公表では、多くの参加者が利上げ実施にはさらなるデータが必要との立場を表明した。NY連銀のダドリー総裁の「9月にも利上げの可能性」との発言を打ち消した格好。
ただ、ジャクソンホール会合(8/26)でのイエレンFRB議長の講演を前に結果を見極めたい姿勢が強く、株価は高値圏で一進一退の攻防となっている。また、原油価格は7/1以来48ドル台の高値水準を回復してきた。OPECが9月の非公式会合で供給過剰解消に向けた協議を行うとの期待を背景にリスク選好意欲は高まっている。
国内の焦点
2016年4-6月期決算が一巡した。上場企業全体の経常利益は、前年同期比17%減少、純利益も20%減少し、4-6月期として4年ぶりの減益となった。特に製造業の経常利益が21%減ったのが影響した。
製造業の収益悪化は平均為替レート108円に対して、前年同期より13円の円高が最大の要因。2017年3月期に向けて想定レート100-105円を意識した一喜一憂局面が想定され、引き続き最大のリスク要因は円高/ドル安進行だ。
来週の株式相場
テクニカル面では、8/12高値16,943円を前に押し戻された上、25日線を下回ると短期的な調整懸念が強まりやすいだけに注視しておきたい。しかし、割り込んだ場合でも75日線16,326円で踏み止まれば、再び上値を試す展開が想定される。
以上、来週は米国株高、原油価格上昇やETF買い入れ期待を背景に、値固めから再び上値を試す展開と捉えている。日経平均のレンジは、上値は8/12高値16,943円が目処となり、下値は75日線の16,326円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト