日経平均予想ジ レンジ 16,612 ~ 17,251 円
今週は、米国での早期利上げ観測の高まりを背景とした円安進行を追い風に日経平均は8/12以来16,940円台に乗せる場面があった。その後は、週末の8月米雇用統計の結果待ちに加え、円安基調の一服感もあり、一進一退の展開となった。
海外の焦点
注目のジャクソンホールでのイエレン議長発言は「追加利上げの根拠がこの数カ月で強まっている」と述べ、9月下旬の金融政策会合での利上げを排除しない考えを示した。同時に景気見通しについては「不確実性がある」として、今後の経済情勢を見極めて判断する姿勢を強調する一方、利上げの時期は示さなかった。
9月利上げの有無は、8月雇用統計(予想18万人増)で20万人を大幅に超える伸びとなれば、9月利上げが現実味を帯び、米株価の波乱要因として警戒されるだけに、注視しておきたい。
国内の焦点
円高懸念後退で日本株は割安修正局面に入った。日経平均のPERは14.19倍(8/31)。これに対し、米国のS&P500は18.4倍で推移している。2014年からの乖離は概ね3~4倍程度であったが、直近は5倍近くに広がり過去に例が無い。
円高による景気や企業業績の先行き不安から輸出関連株下落が足を引っ張っていたが、絶対水準から見た日本株の割安感は強く、もう少し見直されて良い。PER14.5倍で17,300円、15倍で17,900円は見込める水準であろう。
テクニカル面では、7、8月高値を突破したことで新たな上昇波動入りが期待される。5/31高値17,251円を始め、4/22高値17,572円が当面の上値目処として意識される。ただ、これらを上抜くには相応の売買エネルギーが必要となる。
一方、跳ね返された場合は、トリプルトップが形成され、日柄を掛けた調整局面入りが懸念される。足元では米国の利上げ観測を背景とした円安期待が強いものの、為替が再び円高に振れれば輸出関連株中心に大量の売りが予想され、8/26に空けた窓16,490円を埋めに行く展開が警戒される。
来週の株式相場
以上、来週は円安進行を追い風に企業業績回復への期待から、新たな上昇波動入りが試される局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は5/31高値17,251円が目処となり、下値は25日線の16,612円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト