新海誠監督の長編アニメーション映画『君の名は。』が大ヒットしています。公開から10日間の累計動員数が300万人弱、興行収入が39億円近くに達するなど、まさに驚くべきハイペースです。

そして、この映画の音楽すべてを担当しているのが、独特の哲学的な世界観と旋律で熱狂的なファンの多い、ロックバンドのRADことRADWIMPSです。映画と同名のサウンドドラック『君の名は。』は、オリコンの週間アルバムランキングで8月24日の発売から2週続けての1位となり、累計9万7千枚を売り上げています。

そこで、ちょっと気になるRADWIMPSの印税について、推計してみることにしました。

※事務所との契約などによって、RADWIMPSが実際に受ける印税は異なる可能性があります。あくまでも参考程度にお楽しみ下さい。

参考:
新海誠『君の名は。』驚異のハイペースでV2!公開10日で38億円【映画週末興行成績】
RADWIMPS『君の名は。』が2週連続首位 国民的バンドの風格手にした転機の作品に?

「アーティスト印税」と「著作権印税」

RADWIMPSなどのアーティストが受け取る印税には、「アーティスト印税」と「著作権印税」の2種類があります。

「アーティスト印税」は、CDが売れれば売れるほど入ってくるもの。CDの定価からケース代を差し引いた金額の1%~3%程度が相場のようです。

一方「著作権印税」は、JASRACから支払われるものとなります。

CDの発売が決まると、曲や詞が主にJASRAC(日本音楽著作権協会)に登録されます。CDを販売するレコード会社は、その曲や詞の「使用料」として、CDの定価の6%を制作する枚数分、JASRACに支払います。

JASRACは受け取った「使用料」のうち、5%から25%程度の手数料を差し引いた残額を音楽出版社に支払います。音楽出版社というと、楽譜を出版している会社のように思えますが、この業界では著作権をビジネスにしている会社のことを指しています。JASRACから受け取った「著作権印税」は、音楽出版社と著作者(=アーティスト)で50%ずつ配分するのが一般的です。

⇒参考 JASRACの分配のしくみ

RADWIMPSのアーティスト印税はいくら?

さて、ではRADWIMPSの「アーティスト印税」と「著作権印税」はそれぞれいくらになるでしょうか。

まず、「アーティスト印税」はCDの売上の1~3%が相場となっていると説明しましたが、このパーセンテージはアーティストの実力によって変わってくるようです。ここでは仮に、最も高い3%の契約になっているとしましょう。

アルバム『君の名は。』の通常版の定価は2700円です。DVDと本が付いた初回限定盤も売れているようですが、ここでは計算をカンタンにするため、通常版の価格を採用します。

「アーティスト印税」は、CDの売上からケース代を差し引いて計算しますので、ケース代を仮に300円とすると、RADWIMPSの懐に入ってくる「アーティスト印税」は、CD1枚あたり72円となります。

・計算式
(2700円-300円)×3%=72円

アルバム『君の名は。』はすでに9万7千枚売れているのですから、「アーティスト印税」は合計698万4000円(=72円×9万7000枚)ということになります。

ちなみにRADWIMPSは本来4人のバンドなのですが、ドラムスの山口智史さんが持病の神経症が悪化して無期休養中であることから、3名で割ると現段階での一人当たりの印税は232万8千円ということになります。

著作権印税はいくら?

続いて著作権印税の計算をざっくりとしてみましょう。

『君の名は。』に収録されているのは全部で27曲。(このうち2曲は同じ曲のアレンジ違い) 著作権印税は作詞・作曲した人に入る印税なので、内訳は下記になります。ちなみに27曲のうち、23曲には歌詞がなく、作曲のみになります。

野田洋次郎さん(ボーカル):作詞4曲/作曲21曲
桑原彰さん(ギター):作曲2曲
武田祐さん(ベース):作曲3曲
野田さんと武田さんの共作:作曲1曲

3人のメンバーが手にする著作権印税を、現時点でCDが売れた枚数とそれぞれのメンバーの作詞・作曲数から推計すると、野田さんが約500万円、桑原さんが約48万円、武田さんが約81万円となります。

『君の名は。』はこれからももっと伸びる可能性がありますが、このような目線で聴いてみるのも興味深いかもしれませんね。

参考
RADWIMPSが、映画『君の名は。』サントラで初の2週連続首位に! 『アイマス』『キンプリ』関連CDも続々ランクイン

※ なお、著作権印税の概算(JASRACの手数料が20%とすると、総額約629万円)は、作詞作曲が4曲、作曲が23曲で、これらのうち 野田さんは前者の全曲と、後者のうち21.5曲分桑原さんは後者のうち2曲分武田さんは後者のうち3.5曲分という配分を仮定しています。

yasai
某大手金融機関を経て、ファイナンス分野を中心とするコンサルテーションの世界へ。いくつかの企業の株式公開もお手伝いしました。現在は「おじんバンド」で年1回、オリジナル曲によるライブを楽しんでます。

(提供: DAILY ANDS

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