ワイン。高所得者、富裕層が飲むお酒として人気が高い。
お酒の中には様々な種類があるにもかかわらず、なぜワインが人気なのだろうか。そして逆に高所得者に人気がないお酒とはどんな種類なのだろうか。
ここでは所得とお酒の関係性について見ていくこととする。また、高所得者にそのお酒が飲まれるのかについて考察をする。
バザールが運営するワインに関する情報サイト「ワインバザール」が行った調査(インターネット調査、20~69歳の男女2217人を対象、集計期間は2016年8月19日~8月22日)をもとに見ていこう。
高所得者に人気のある醸造酒、ない醸造酒
醸造酒とは原料をアルコール発酵させて作る酒類だ。ビールやワイン、日本酒等が含まれる。
醸造酒は比較的、高所得者に人気のお酒だ。中でも所得が増えるにつれて伸びを見せるお酒がワインである。ワインは1000万円を超える高所得者ほど飲むお酒となっている。
また日本酒やビールも所得が増えるほど飲む割合が高くなる。ただし、これらは天井が見られ、1000万円の壁を超えると飲まれる割合が減るとされている。山なりになっており、一定の所得を超えると飲む機会が減るようだ。
まず醸造酒はこのように飲まれていることを理解しておいてほしい。
高所得者に人気のある蒸留酒、ない蒸留酒
蒸留酒とは醸造酒を蒸留して作る酒類である。ウイスキーやブランデー、米焼酎等が含まれる。
蒸留酒の中で人気が高いお酒はウイスキーやブランデーなどだ。これらは所得の増加に合わせて飲まれる割合が高くなるお酒である。ただし、醸造酒の日本酒やビールと同様で、1000万円の壁を超えると飲まれる機会が減る特徴を持っている。
また高所得者に人気のないお酒はサワーやチューハイ、カクテルなどだ。もちろん、これらのお酒が好きな人もいる。だが、所得が増えるにつれて飲まれる割合は低くなっているようだ。
ワインバザールの調査では、サワー・チューハイを飲むと答えた人の割合は、年収300万円台では57.9%だったのに対し、年収700万円台だと42%、同800万円台だと41.0%となっている。
とはいえ実は900万円台にカギっては54.2%と増えるのだが、1000万円を超えると35.6%に激減する。
この年収1000万円以上の層を見ると、カクテルを飲む割合は20%、日本酒が51.1%などとなっている。ほかの年収層と比べて、1000万円以上の層が「飲む」と答えた割合が一番多いのがワインで、66.7%だった。ちなみにワインを飲むと答えたのが一番少なかったのは年収500万円台で、35.4%だった。
これが蒸留酒の特徴だと言える。それではなぜ高所得者になるほどお酒の種類が変わるのかについて考察をしていくとしよう。
高所得者の行く店(レストラン・バー)について
なぜ高所得者はワインを飲み、チューハイを飲まないのだろうか。単純な考えをすれば、高所得者が行くお店のラインアップにはワインがあって、チューハイがないではないかと予想がつく。
高所得者全てがそうではないだろうが、食事場所に多いのはレストランやバーだろう。こういったお店では自ずとワインのラインナップが豊富になる。その結果、単純に飲む機会が増えるのだ。
一方、低所得者の場合はチェーン店や居酒屋といったお店だ。こうしたお店は自ずと安く飲めるチューハイなどが置かれている。だから、手にとりやすく、よく飲まれているのだろう。
このように高所得者と低所得者とでは、そもそも行くお店が違う。それによって飲むお酒の種類が自然と変わってくると予想できる。
高所得者の健康意識について
高所得者ほど食べるものに気をつけていると言われている。なぜなら、忙しいタイムスケジュールの中で健康管理をして、体調を良い状態でキープし続ける必要があるからだ。
そこで高所得者はワインを愛用していると考えられる。ワインはポリフェノールが豊富なお酒として知られている。またプリン体なども少ない。適量を飲む分には、ワインは健康効果すらあると言われるのだ。
一方、チューハイは焼酎などを炭酸水で割った飲み物である。焼酎にも健康効果はあるが、チューハイは人工的に糖分が加えられていることもある。その結果、糖質を取り過ぎたりする可能性も見られる。
このような健康意識の観点からも、高所得者はワインを飲んでいると考えられるだろう。
高所得者のセルフイメージについて
続いての考察として高所得者はセルフイメージにも細心の注意を払っている。身だしなみに気を付け、言葉遣いや、たち振る舞いなどにも気を遣うのだ。
だからこそ高所得者はワインを飲むのだと考えられる。ワインはマナーが大事なお酒だ。ただ飲んで楽しむお酒ではない。気品に満ちあふれて飲むお酒だといえる。一流のビジネスパーソンだからこそ、ワインをたしなんでいると想像できる。
一方、他のお酒はあまりマナーを気にされることはない。酒の場で上司に接待する方法は教わっても、たしなみ方までは習わないだろう。
こうしたセルフイメージの観点から言っても、高所得者はワインを飲んでいるのだと考えられる。
高所得者の食事にかける時間
最後の考察として食事にかける時間についても大事なポイントだ。これは日本人特有の性格なのかもしれないが、比較的せっかちである。食事時間は短く、お酒を楽しむと言うことはあまりない。
一方で高所得者の場合は食事にも時間をかける。それも誰かと一緒に食事をすることが多い。こうすることで新たなビジネスチャンスを常に探しているのだ。
食事とビジネスを分けるのではなく、食事ですらビジネスチャンスなのだ。その結果、ワインをゆっくりと飲むだけの時間を作ることができると考えられるだろう。
高所得者ほどワインを飲み、チューハイは飲まない
高所得者が飲むお酒と飲まないお酒について見てきた。高所得者は様々な理由からワインを飲むようになる。そしてチューハイは飲まなくなる傾向にあることが分かった。もしビジネスパーソンとしてステップアップをしたいと考えるならワインを愛用してみるのが良いかもしれない。(吉田昌弘、ライター)
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