日本の食文化にもすっかり浸透したワイン

先月19日に解禁されたボージョレヌーボー。酒屋はもちろんのこと、百貨店やスーパーマーケット、コンビニなどの店頭に並んだボージョレヌーボーのボトルを手にされ、この新酒を楽しんだ読者もおられることだろう。

いまや、フランス料理などの洋食と共に楽しむだけではなく、和食とのマリアージュもブームを越えて定着し、日本の食文化にもすっかり馴染んだ感のあるワインであるが、近年は投資対象としても注目されていることをご存知だろうか?

「ワインと投資」という組み合わせは、なんだかミスマッチのような気もするが、実はヨーロッパでは伝統的な投資のひとつと言われているのである。これが近年、日本でも富裕層など投資家の一部で静かな人気を呼んでいる。今回はワイン投資について考えてみよう。


ワイン投資の意義は分散効果にあり

ワイン投資の意義は資産保全にある。投資といえば、最初に株式を連想される人も多いと思うが、世界的な金融危機など不測の事態に見舞われた際には世界同時株安となって資産が大きく目減りするリスクを抱えている。実際、今年の株式市況を振り返ってみても、中国の景気減速やVWショックなどで世界同時株安に見舞われたことは記憶に新しいところだ。

そこで、金融とはあまり関係のないものに「分散投資」して資産の目減りを防ぐ必要がでてくる。これをリスクヘッジという。リスクヘッジの代表的な投資先としては、金地金やプラチナなどの実物資産が挙げられるが、金融市場の影響を直接受けにくいワインもその選択肢の一つとして注目されている。

「分散投資」の重要性を説くために「すべての卵をひとつの籠に盛るな」という格言がよく使われる。つまり、卵を運ぶ時にひとつの籠に入れておくとその籠を落としてしまった場合、すべての卵が割れてしまうけれども、いくつかの籠に分けて卵を入れておけば、割れる卵の数を少なくすることが可能という意味である。株式だけに集中投資せずに、不測の事態に備えて他の資産に分散投資することで投資リスクを軽減することの大切さを説いている。

近年、富裕層を中心にワイン投資が注目されている理由の一つがここにある。ワインに投資して一攫千金を狙うのではなく、あくまで株式などの投資リスクを軽減するリスクヘッジの効果が期待されている。