プライムフライデー,串かつ田中,鳥貴族
(写真=PIXTA)

月末金曜日の仕事を午後3時に終了することで、消費の拡大につなげようとする「プレミアムフライデー」が話題を呼んでいる。経済産業省や業界団体が打ち出したこの取り組みは、来年2月からのスタートを予定。実際にどれだけの企業で実施されるかは不透明なものの、小売店や外食店、娯楽業界などの来客増につながると見込まれる。今回はこの施策で大きく恩恵を受けるとみられる居酒屋業界に注目してみたい。

「アベノミクス」政策以降、着実に景気回復が進んでいる国内消費ではあるが、外食業界でも高級店は客足の戻りが鈍く、苦戦している店も多いのが現実。一方、中・低価格の居酒屋チェーンは、幅広い年代の支持を受け客数が増加している。「プレミアムフライデー」実施が追い風となり、店舗網の拡大が業績の大幅上積みにつながる可能性も出てきた。

SFPダイニなど狙い目、出店攻勢際立つ

居酒屋「磯丸水産」で知られるSFPダイニング <3198> や、串(くし)カツ店チェーンの串カツ田中 <3547> 、焼き鳥店の鳥貴族 <3193> は、いずれも積極的な出店で収益基盤を拡大している。

SFPダイニは磯丸水産を中心に、今2月期に41店舗の出店を計画。上期時点で既に29店の出店を果たすなど順調だ。リオ五輪の影響や天候要因が重なり8月に既存店売上が大きく落ち込んだほか、新規出店コストも重しとなり上期は実質減益となったものの、下期にはばん回が期待される。通期非連結経常利益は41億円(前年同期間比で5.0%増)を見通しており、中期計画では2019年2月期に経常利益が53.5億円まで拡大する見通しだ。

また、9月にマザーズ市場に新規上場した串カツ田中は、8月時点で123店舗を展開。前16年11月期の非連結営業利益は前々期比45.3%増の2.9億円を見通している。株価は直近上場銘柄の物色ムードに乗り、10月に急騰。その後は大幅調整したが、上場直後の水準まで接近しており、絶好の見直し買いのタイミングと言える。

居酒屋関連株では、英国風パブを展開するハブ <3030> や、「金の蔵」などで知られる三光マーケティングフーズ <2762> 、SFPダイニの親会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> なども有望。また、映画「君の名は。」関連株として直近に急騰したグローバルダイニング <7625> や、外食店に食材を提供する久世 <2708> などにも注目しておきたい。

来年は休日が少ない

ほかにも、牛丼チェーンの吉野家ホールディングス <9861> は今年に入り、ちょい飲みサービス「吉呑み(よしのみ)」を本格展開している。業績寄与度は大きくないものの、都心オフィス地域では、「客数が10〜15%増加した店舗もある」(広報担当)だけに、「プレミアムフライデー」実施に関連して連想買いが及ぶ可能性がある。

なお、来年は曜日回りの関係で、祝日が土曜日に重なることが多いため、今年より休日数が実質4日少ない点も注目材料と言える。土日祝日に来客が増加するファミレスなどにはマイナス材料となるが、平日の来客が多い居酒屋業界にとっては、大きな追い風となりそうだ。(12月15日株式新聞掲載記事)

>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も

【株式関連ニュース 株式新聞へ】
ロシア関連は長期テーマに、川上塗や東海運に続くのは?
日電産、SMCが軟調—外資系調査会社がネガティブ評価
ブランジスタが急反発—「神の手」の新展開を発表
東京ドームが続急落、17年1月期第3四半期決算は増収ながら営業減益で着地
三菱UFJ、日産自、イワキポンプ、コメ兵、東海運=16日前場