個人投資家として有名な五味大輔氏が創薬大手そーせい <4565> の機関投資家を含めた全体の筆頭株主となったことが11月に判明し、投資家の間で大きな話題となった。時価総額の小さい銘柄ならあり得ない話でもないが、そーせいの時価総額は2200億円。五味氏は今もっとも注目されている投資家の1人といえるだろう。ここでは、五味氏とはどのような投資家なのか、どのような銘柄を保有しているのかをみていこう。

五味氏のそーせいのポジションは132億円

五味氏のそーせいの9月末時点の持ち株は75万株。そーせいから第三者割当て増資を受けて2015年に筆頭株主になった実質的な筆頭株主である米製薬大手ファイザーの41万1284株、持ち株比率3.77%を大きく上回る。

そーせいの9月末の株価は1万7710円。五味氏の9月末時点でのそーせいのポジションはなんと132億8250万円。有報をさかのぼると大株主トップ10のリストに名前が初めて出たのが2015年9月末で25万株だった。2016年3月末には47万株まで買い増した。その間そーせいは、15年9月末の株価の3715円から16年3月末の1万6230円まで4倍以上に上昇している。少なくとも五味氏が最初に買い集めたそーせい株もその程度には値上がりしているはずだ。

そーせいの株価はその後さらに上昇、16年5月には3月末比で60%以上高い2万6180円まで上げた。今年のマザーズ市場のバイオ関連株の大相場(バイオ祭り)を牽引するシンボルストックとなり人気化したためだ。五味氏の買いがそーせいの株価に火を付けた可能性は否定できない。

そーせい株はオーバーシュートした反動のためか、5月高値をピークに下落トレンドに入る。株価が一時の半値以下になっており五味氏の動向が注目されていた。それが、直近の有報で28万株の買い増ししていたことが確認されたのだ。9月末の株価は1万7710円。保有株の時価は約133億円。半年で66億円増えていた。

五味氏のそーせいの買い増しが伝わった翌11月15日、そーせいの株価は940円高の1万5240円と6.6%の上昇となった。

同様に、投資の神様ことバフェット氏が運営する米バークシャー・ハザウェイ社が11月14日、米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で、9月末にアメリカン航空などの米航空大手4社の株式を新規取得していたことが明らかになると、米国航空会社が全面高となった。五味氏は、まさに和製バフェットといえるだろう。それだけ「五味氏銘柄」は人気を集めやすいのだ。

五味氏の保有株式は大株主になっている銘柄だけで165億円

五味氏は、そーせいだけでなく多くの企業の大株主として名前がでている。12月16日に発売された会社四季報で、五味氏が大株主トップ10に入っている銘柄を拾うと以下の16銘柄がでてくる(図表は筆者が四季報2017年冬号を元に作成)。16銘柄の12月16日時点での時価保有額は約166億円。大株主として見えないポジションも含めると200億円を超える資金を運用していると言われている。

五味氏大株主銘柄一覧_筆者作成

直近四季報での持ち株を2016年秋号の四季報と比較すると、新規で大株主に登場したのが、イーガーディアン <6050> 、ユナイテッド <2497> 、日本MDM <7600> 、セック <3741> の4銘柄。ミクシィ <2121> とフォトクリエイト <6075> は大株主のリストから消えた。

イーガーディアンに新規ポジション

掲示板監視、投稿監視のイーガーディアン <6050> が11月25日に公開した資料で、五味氏が9月末時点で同社の大株主2位に登場したことが確認された。同社の代表取締役社長の高谷康久氏に次ぐポジションで、44万株を保有、持ち株比率は4.28%。

同氏は新興市場の株を中心に大化けする銘柄を長期保有することが多いため、五味氏の保有が確認されると人気が拡がる。翌28日のイーガーディアンの株価は44円高の1353円、3.4%高と買われた。

2013年の保有株約35億円を2年で200億円に増やした

五味氏は資産家ではなく学生時代に自分で貯金した100万円で投資をはじめた普通の投資家だったようだ。決算短信や月次情報といった誰でも手に入れられる公開情報を活用しながら、じっくりと新興市場の株を信用取引でなく現物で集中投資し、長期保有しながら大化けするのを待つ投資手法のようだ。

2013年の時点では、四季報で拾える大株主のデータで五味氏の資産は35億円だった。それが2年後の2015年には200億円を超えている。ミクシィ <2121> での大成功はよく知られている。一時は250万株、100億円を超えるポジションを保有していた。

上記の現在の保有リストを検証してみたが、明らかな傾向は見て取れない。新規購入している銘柄からすると、時価総額がせいぜい400億円くらいまでの小型株や新興市場株で、業績はそこそこいい銘柄でPERも高すぎないものが多いようだ。何か期待できる商品やテクノロジーを持っておりピカリと光る銘柄が多いのが特徴といったところだろうか。 五味氏の投資手法は、忙しくて専業トレーダーでない人にでもできる。投資手法を参考にしながら、資産を増やしたいものだ。(ZUU online 編集部)