「木地の山中」と称される山中漆器 400有余年の木地師の伝統
「我戸幹男商店」は1908年（明治41年）に石川県・山中温泉で「我戸木工所」として創業し、山中漆器の伝統を継ぐ製品を作り続けています。
石川県は日本を代表する漆器の産地ですが、その中には「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」と称される3つがあります。
山中温泉で産する山中漆器は木地師の技術において日本随一とされます。木地師とは、ろくろを用いて木工品を加工・製造する職人のこと。山中漆器の源となったのは、天正年間（1573-1592年）、木地師の集団が越前から真砂（山中温泉から20kmほど南方に位置する集落）に移住したこととされます。山中温泉は「ろくろの町」としても知られていますが、これは400年以上も前の木地師の移住に端を発しているというわけです。
木の美しさを体現するテーブルウェア
「我戸幹男商店」では、天然の素材が生み出す美しい木目、木地師が一つ一つ丁寧に挽き上げた木地の完成度を重んじています。また、挽かれた後に「拭漆（ふきうるし）」が施された製品も見逃せません。「拭漆」は、漆を塗っては拭き取るという作業を何度も繰り返す技法。これによって透明感のある光沢が増し、木目が鮮やかに美しく浮かび上がります。
木の美しさが光る我戸幹男商店の製品を見てみましょう。
「TSUMUGI 汁椀 壺型 TSUBO」。Plain／Red／Black／拭漆があります。写真は拭漆。美しいフォルムと木目が見事です。
「TSUMUGI 一汁三菜椀」。写真手前からRed、Black、Plainです。口合わせの精度の高さは木地師の技術が光るポイントです。
「SHIRAN FLOWER」。Plain／Natural／Whiteがあります。写真はNatural。現代の生活にマッチする美しいデザインです。
「TOHKA WINE ブルゴーニュ」。Plain／Blackがあります。命名は「透華」から。繊細な技術が生み出した逸品です。
「KARMI 徳」。Fuki／Sumiがあります。命名は俳人・松尾芭蕉の俳諧理念の一つ「軽み」から。筋の美しさが見る人を魅了します。
「欅工芸 7.0菓子鉢」。山中漆器の特徴である加飾挽きが施されています。
このように、我戸幹男商店の製品は確かな木地師の技術が生かされたものばかり。木地は繊細で美しく、手に取ると肌合いが良く、木のぬくもりが伝わってきます。
木地師の卓抜した技術に注目
我戸幹男商店では「シルエット」「精度」に特にこだわって製品を生み出しています。
轆轤挽きでは、素材の中心軸からその同心円状に製品のシルエットが出来上がります。それは作り手にとっては制約でもあります。この制約の下、どれだけ普遍的な美を持つものを作れるか、これが木地師の挑戦でもあるのです。
精度という点では、「縦木取り」を行うのはそのこだわりの表れです。縦木取りとは、原木を輪切り、つまり水平方向に木材を切り出し、原木の成長方向を天地として素材を取る「切り出し方法」です。こうすると、そこから作ったお椀などの器の天地が、原木の天地と合っているため歪みにくいのです。ただし、素材を取る際の効率が悪いので、普通は原木を縦にスライスした木材から素材を取る「横木取り」が一般的です。山中漆器、そして我戸幹男商店が縦木取りを行うのは精度にこだわるためなのです。
挽き方にも卓越した木地師の技術が光っています。木地が透けるほどに薄い「薄挽き」、無数に施される筋「千筋」、かまぼこ型の山を整える筋「盛筋」などの加飾挽き、これらは山中漆器を支える木地師の面目躍如といえます。
伝統技術を受け継ぎ、現代の生活にマッチする製品を生み出している我戸幹男商店の製品は山中漆器の白眉ともいえます。もし機会があれば、その柔らかで美しい木製品をぜひ手に取ってみてください。
「TSUMUGI 汁椀 壺型 TSUBO」
価格：5400円（税込み）
「TSUMUGI 一汁三菜椀」
価格：2万7000円（税込み）
「SHIRAN FLOWER」
価格：5400円（税込）
「TOHKA WINE ブルゴーニュ」
価格：1万9440円（税込）
「KARMI 徳」
価格：1万4040円（税込）
「欅工芸 7.0菓子鉢」
価格：1万2960円（税込）
■お問い合わせ
我戸幹男商店
http://www.gatomikio.jp/home.html
写真提供：我戸幹男商店
(提供: プレミアムジャパン )
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